核のゴミキャンペーン第3号

核のゴミキャンペーン第3号 1996.12.26

ニュージーランド、南太平洋フォーラム…太平洋から反対の声

12月18日、ニュージーランド政府は、日本政府に対し高レベル放射性廃 棄物の海上輸送に関して詳細を求めており、すでに同国近郊を通らないでほし い旨を伝えていることを明らかにした。また、南太平洋の16カ国・地域が加 盟している南太平洋フォーラムも輸送に関する事前協議を求めている。核輸送 船が喜望峰ルートを通過したのは1992年から93年にかけてのプルトニウ ム輸送の時で、その時はソロモン諸島、ミクロネシア連邦などの排他的経済水 域を航行し、反発を招いた。また、ハワイ、アメリカンサモア、グアムなどの 太平洋選出のアメリカ国会議員も前回同様、安全面の諸問題が完全に解決され るまでの輸送の延期をクリントン大統領に求めている。(詳細はグリーンピー ス・ジャパンまで)


新ライマンレポート翻訳版完成

はじめに


一昨年、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の鋭敏化問題を指摘したアメリ カの核管理研究所のエドウィン・ライマン博士が、今回は海上輸送中にガラス 固化体輸送容器が海に沈んだ場合の影響評価レポートを発表した。このレポー トは、今回の高レベル放射性廃棄物の輸送を前に、ガラス固化体の健全性に関 する再検討のために、グリーンピース・インターナショナルがライマン博士に 依頼したものである。高レベル放射性廃棄物のパナマ運河通過を危惧する中米 のパナマで12月6日にスペイン語で発表された。

このレポートによれば、高レベル放射性廃棄物の輸送物が海中に水没した場 合、輸送容器の気密性が健全であり続けることは不可能で、かならずガラス固 化体が海水と直接接触することになる。これによってガラス固化体から漏れ出 した放射能は、その周辺の住民のガン死の危険度を50年間で7%増大させると している。以下はおおまかな要約である。

1 輸送船の防護余裕に限界

レポートはまず、輸送船が沈没するような状況として船舶の衝突事故をあげ、 その際の衝撃で輸送容器それ自体も破損すると予測する。輸送船を運行してい るPNTL社は、衝突に対する耐久性があると主張しているが、それは15ノットで 24000tの船に対してまでのこと。25〜30ノットの船や10万t以上のタンカー と衝突することもある。かりに30ノットで5万tの船と衝突したら、PNTL社の 想定の8倍の力が加わる。

このような想定はOECD/NEAによる、ガラス固化体海洋底処分の研究で行われ ている。その想定被害の大きさから、OECDの研究は「ガラス個化体輸送の沿岸 での事故発生は許容しえない」と結論づけている。

2 キャニスターは鋭敏化で2ヶ月ともたない

容器のシールドが壊れガラス固化体と海水が直接接触するようになると、な んと2ヶ月たらずでキャニスターは腐食、中のガラスが剥き出しになる。キャ ニスターのステンレスが、ガラス固化体製造工程の鋭敏化で、非常に腐食しや すくなっているからである。鋭敏化とはステンレス鋼が約400℃〜800℃の温度 領域に一定時間置かれた場合起こる現象。腐食と機械的衝撃の両方に対する耐 性を大幅に低下させる。COGEMAの使用するSUH3 09タイプのステンレスは炭素 含有量が重量あたり0.15%と高く、もっとも鋭敏化しやすい。COGEMAはこの問 題が顕在化してから炭素含有率を0.08%に低減したというが、以前からそうい う特殊なSUH309を使っていたとは考えられない。

3 放射能の放出は最初が最大

海中でガラス固化体が塩分を含んだ海水にさらされると、一般的に放射能の 進出は加速される。とりわけセシウム137、アメリシウム241、キュリウム244 が浸出率が大きく、周辺の住民への被爆に大きく寄与する。しかもそれらが浸 出する割合は、漏れはじめの時期が最大で、定常状態の100倍にも達する。つ まり、漏れはじめる前に容器を引き上げられるか否かが重大な問題となる。ガ ラスから海水中に溶け出した放射能によって、その周辺の住民のガン死の危険 度は、50年間で7%増大する。この数字を米国に当てはめると、ガン死の生涯危 険度が25%増加するということになる。

4 いまだ未解決の問題だらけ

このほか,1994年のライマン・レポートが指摘し、今も未解決の問題がある。 一つは輸送容器の合成ゴム(エラストマ)製シールが非常に熱に弱く、なぜ金 属製のシールに換えないのかという疑問である。もう一つは、すでに知られる ところとなったキャニスターステンレスの鋭敏化問題で、なぜCOGEMAがこのよ うな材質をえらんだのかという疑問である。

おわりに

このレポートのテーマはガラス固化体の海中への水没だが、海中で進行する ことは六ヶ所村の施設の中でも進行し得る。ただその速度がもう少しゆっくり で、2ヶ月ではないだけである。それは2年なのかもしれないし、20年かもしれ ない。ただ確実にいえることは、200年といえるほど長くはないということで ある。ぜひこのレポートを活用していただきたい。この全文はパソコン通信版 には載せられると思います。

●エドウィン・ライマン博士はアメリカのプリンストン大学環境エネルギー研 究センターで博士号を取得、現在はポール・レーベンソール所長のいる核管理 研究所のスタッフとなっている。

グリーンピース・ジャパン 竹村英明


12月24日事務局会議報告

やはりクリスマスで、参加者は少なく7人。しかし内容はきわめて濃厚で有意 義な会となった。

賛同・呼びかけ状況

賛同・呼びかけ団体は合計40となり、個人賛同・呼びかけを含めてついに50を超えた。 各団体・個人があと一つ増やせば100に!めざそう!

1月16日には電事連へ

電事連・・・電気事業連合会。輸送船パシフィック・ティールがフランスのシェ ルブールを出るのは1月16日。この日に何をするか。科学技術庁、日本原燃な ど憎い相手はいろいろあるが、核のゴミ事務局では電事連への抗議申し入れに 集中しようという話に。以下はその大まかな内容。

1 申し入れ行動

 大手町経団連ビルの電事連へ。ただし喪服で。日本へ核のゴミが運ばれる大変 な日。管理しきれない放射能をかかえた悲しい未来が約束される日。白黒幕の 横断幕、お供えする白い菊の花も用意して。私たちの悲愴な気持ちを電事連に 伝えよう。

2 弔電攻撃

 電話作戦というオーソドックスな手法もありますが、核のゴミという放射能の 棺桶を受け取るのが日本の電力会社ですから、その総元締めの電事連会長あて の弔電にするのがふさわしいと思います。全国各地からお悔やみの言葉が届い たらどんな気持ちに?会長さんのハートに訴える、弔電の「名文句」があった ら教えて下さい。

3 FAX攻撃

 一日に何十枚もの抗議FAXが電事連に届いたとき、私たちの運動の数が見えて きます。ただこの作戦の難点は、まだFAX番号が良くわからないこと。誰か調 べて教えて!

はがきチラシ企画コンペ

企画はだいぶ煮詰まってきた。が、もう一息。やっと裏表の企画がそろったが、 裏面の核のゴミ・グラフのアイデアが少し不明。それからこれは私見だが、 「原発のゴミ。 もう諦めるしかないのでしょうか?」というコピーがあまり にも悲観的。と、いうわけで、この件は次回に持ち越し。

次回事務局会議のお知らせ

日時1月6日 午後6時30分から
会場ストップ・ザ・もんじゅ東京事務所
東京都新宿区西新宿7-20-14-302
tel/fax 03-3366-6470

● 事務局あてに、ご意見・ご提案・ご報告を寄せてください。また、賛同・ 呼びかけに応じていただいている方は、この通信の一枚目に明記されている口 座に5千円をお振り込みください。


核のゴミキャンペーン・第2弾

■郵便振替[核のゴミキャンペーン]00150-1-728279
■Email;QWA03554 ■ホームページ http://www.jca.or.jp/nwaste/
■連絡先:グリーンピース・ジャパン03-5351-5400
     グリーンアクション075-701-7223
     ストップ・ザ・もんじゅ東京03-3366-6470