2月10日未明,京王帝都電鉄は,野宿労働者数十人が毎日朝6時から夜 11時までの間,体を休める場所として利用していた京王新線新宿駅周辺 の通路及び,階段の踊り場の一部を全く何の予告もなしにフェンスで封 鎖し,一部に植木鉢を置くなどして野宿労働者締め出しを強行した.
京王新線新宿駅構内には,警備員,私服警官,京王帝都電鉄の腕章を つけた所属不明の者が多数配置され,現在もものものしい雰囲気にある.
京王帝都電鉄広報部は,駅利用者の苦情をこの強攻策の口実にしてい るが,今回の措置と,新宿警察署や東京都がもくろむ新宿西口一帯から の野宿労働者一掃という方針との関連は直接的にも間接的にも明らかで ある.
京王新線新宿駅構内で体を休めることは,失業して住む家を失った野 宿労働者にとって自らの生命を維持するための必要最低限の生活手段で あった.特に冬季には,吹き抜けの地下ロータリーでは明け方にかけて の寒さのために充分な睡眠をとれない人々が,せめて駅のシャッターが 降りるまでの間は比較的暖かい京王新線構内にいて,寒さから身を守っ ていたのである.野宿労働者は一般の駅利用者の迷惑にならないよう に,柱の間などにダンボールを組んでいたし,夜も10時頃から自主的に 他の場所に移動していた.このような人々を一年で一番寒い時期に,し かも24時間居住することのできた4号街路が都によって封鎖された直後 に締め出すとは正に殺人行為である.実際に10日の朝には,京王新線構 内から追い返されて,より寒い場所に移った男性が,その後に容態を悪 化させ,救急車で搬送されるという事態も起きている.まぎれもない人 間である野宿労働者をあたかも野良犬や野良猫に対するかのように追い 出し,野垂れ死にを強制していく京王帝都電鉄のやり方は決して許すこ とができない.
ヨーロッパなどでは人道的配慮から駅構内を夜間も開放する事業体も あると聞き及ぶ.京王帝都電鉄は民間企業とはいえ公共企業である.こ のような事業体が人間の生存権という基本的な権利に対し,何ら配慮を 行わず,これを侵害する行為を強行することは社会的に容認できるもの ではない.
我々は以上のような観点から以下の事項を申し入れる.