沖縄問題を考える

  • 沖縄の現状と基地問題、地方主権に関する全国地域政治勢力の共同声明
  • 沖縄問題に関する地域政治勢力の分岐−
    私たちと「東京市民21」「神奈川ネット」「新潟の風」などとの重大な考え方の違い
  • 「沖縄発全国キャラバン」の報告
  • 「代理署名裁判」8/28最高裁判決傍聴記
  • 同判決に対する弁護団声明
  • 特措法改訂に対する地域政党・地方議員などの共同声明
  • 沖縄問題のリンク

    沖縄の現状と基地問題、地方主権に関する
    全国地域政治勢力の共同声明

    (1996年4月)  米軍基地の存在をめぐって日本政府との対決状態が続く沖縄県において、「沖縄県のことは沖縄県民自身が決める」ということを最も重要な柱の一つとして掲げてきた沖縄社会大衆党の呼びかけにより、本日各地の地域政治勢力が集まった。私たちは、沖縄の現状に直面しながら互いに意見を交わし、趣旨に賛同しながら参加できなかった人々の協力も得て、ここに共同声明を明らかにすることになった。

     沖縄は、近代日本の成立・発展の過程で強制的に日本の版図に組み込まれ、現在に至るまで本土政府の政策の矛盾が押しつけられてきた。先の大戦では「本土決戦」を先送りするための防波堤として日本で唯一民間人を巻き込んだ凄惨な地上戦がたたかわれ、16万人もの尊い県民の命が犠牲となり、今なお多くの人々が戦争の傷痕を負っている。そして戦後も米軍支配によって県民の土地は強奪され、さらに72年の本土復帰以降、土地強制使用はむしろ固定化・合法化されてしまった。その結果沖縄には全在日米軍基地の75%が集中し続け、その存在は県民の生活と地域の環境を日常的かつ全面的に脅かしている。
     こうした歴代日本政府の政策と日米安保条約体制に対し、沖縄県民は強い怒りを燃やしてきた。昨年の少女暴行事件を契機にそれは頂点に達し、近く予定されているクリントン米大統領の来日に伴って正式に宣言される予定の「安保再定義」による安保の世界化の動きも、一層怒りを大きくさせている。しかもそれは、単に沖縄が犠牲を強いられているというだけではなく、「他人に痛めつけられても眠ることはできるが他人を痛めつけて眠ることはできない」という沖縄の言い伝えにあらわされている、沖縄県民の平和を願う豊かな心に由来するものであることを、私たちは深く認識する。
     本土から来た各地の地域政治勢力の代表者たちは、各地を訪問し沖縄の人々と交流することによって、今、こうした沖縄の歴史と現状に直面し、日本国家の矛盾と犠牲を沖縄に押しつけてきた側の責任を痛感するとともに、沖縄県民の平和への熱い願いに強く心を突き動かされている。

       地方自治、地方主権の問題を重要な活動領域とし、平和や民主主義の問題にも取り組んできた各地の地域政治勢力は、こうした沖縄の現状に極めて強い関心を持っている。それは、沖縄と同様の問題が、規模と性質を異にしながらも本土の各地で起きているからである。原発、ダム建設、利権・金権がらみの大規模開発事業と環境破壊など、「国策」と住民の主権、生存の権利が衝突している現場に、私たちは生活し活動している。しかも、地域で貫徹されようとするその「国策」は、安保体制のようにWTO(世界貿易機構)や多国籍企業の戦略とわかちがたく結びついている。世界大に拡大する矛盾が衝突する「地域」という現場の中から、私たちは新しい社会像、新しい地域像を模索しつつある。
     そうした観点から考える時、自治と主権の考えに基づき、県民の生命、安全、平和のうちに生きる権利や財産権、基本的人権を守るために県民の総意をふまえながら土地強制使用に関わる機関委任事務を拒否し、その一方で2015年までに基地を返還することを目的とした「アクションプログラム」や、詳細な法的分析に基づく「地位協定の見直し案」を提案している太田知事と沖縄県の立場に、私たちは深く敬意を表しこれに賛同するものである。

     私たちは、以上のような認識と立場から、去る3月25日に下された代理署名裁判の高裁判決に強く抗議するとともに、一部土地の国による不法占拠状態を直ちにやめることを要求し、太田知事の代理署名命令拒否と上告を強く支持する。そして、沖縄県民が戦争を許さず強く平和を求め、世界に平和を発信する沖縄県をつくりたいと願っているがゆえに基地と安保体制との全面的な対決に入っているという現状を深く理解し、アジアや世界への侵略と抑圧の拠点を提供している日米安保条約の不当性を訴え、その廃棄もしくは全面的な見直しを求め、「安保の世界化」を正当化する「安保再定義」に強く反対するものである。

     また私たちは、本声明に示した立場と主張を実現していくために必要な行動を続け、そして今回を契機として、地方主権の確立と真の平和を求める各地の地域政治勢力の協力関係を続けていくことを明らかにし、下記に本声明に賛同する団体個人の名前を記して声明とするものである。
    1996年4月5日

    団体
     市民新党にいがた
     九州ローパス
     市民の政治・東京
    地方議員及び個人
     相坂滋子(新潟県巻町議) 武田貞彦(新潟県議) 山田達也(新潟市議) 
     本城文夫(上越市議) 鈴木勢子(新潟県青梅町議)
     嶺村正文(新潟県頚城村議)斉藤一保(新津市議) 島田清作(立川市議)
     田中光幸(魚津市議) 坂本史子(東京都目黒区議)
     福士敬子(東京都杉並区議) 美谷克己(小矢部市議) 増元 亨(唐津市議)
     続博治(鹿児島県隼人町議) 岡本浩(津久見市議) 大西幸二(延岡市議)
     北野進(石川県議) 松谷清(静岡市議) 酒井 一(尼崎市議) 
     井上ズズ(国立市議) 三宮克己(府中市議) 住田啓子(多摩市議) 
     清水信之(狛江市議) 辻松範昌(武蔵村山市議) 長野美保子(清瀬市議)
     野見山修吉(小金井市議) 富久尾浩(武蔵村山市議)布施哲也(清瀬市議)
     門間淑子(羽村市議) 宮本なおみ(東京都元目黒区議) 
     大久保青志(前都議) 下元たか子(前都議) 石井彰(自治市民93) 
     朝日健太郎(ACT編集委) 東條利一(青島ネット) 土井登美江(9条ネット)
     大倉八千代(草の実)  内田正敏(弁護士) 阿部知子(医師 平和市民)
     内藤 隆(弁護士) 中北龍太郎(平和市民関西) 前田裕晤(平和市民関西)
     橋本真一(三多摩フォーラム) 橋本久雄(三多摩フォーラム)

    沖縄問題に関する「地域政治勢力」の分岐


    私たちと「東京市民21」「神奈川ネット」「新潟の風」などとの重大な考え方の違い

     以下は、96年4月、沖縄社会大衆党の呼びかけにより那覇市で開かれた全国地域政 党の交流集会で発表された、「東京市民21」などが作成したアピールで、大田知事に 手渡されたものです。私たちは別の声明を発表し(このページの上の方参照)、この 「アピール」の賛同も求められましたが、私たちはここに見逃せない問題点があると 考え賛同を拒否しました。ここには、私たちと彼らとの「国策と地域主権」について の考え方、基地・沖縄問題に関する考え方、あるいはこうした声明を明らかにするに あたっての基本的な態度などについての大きな相違が現れていると考えています。議 論を深めるために資料として収録しました。
     なお、この声明文資料の後に、この声明の問題点について賛同団体に送付(連絡先が不明により一部のみ)した文書を収録し、さらに最近の情勢にあたってあらためてこの問題を考える文書を収録してあります。

    <資料>
    沖縄基地訴訟をめぐる民意無視の政治に憤り、大田沖縄県知事を支援するローカルパーティーと市民のアピール

     広大な軍事理知の存在による大きな犠牲を半世紀に渡り強いられてきた沖縄県民の 怒りと基地のない平和な島への願を背に、米軍用地強制使用への代理署名を拒否した 大田県知事を相手に政府が起こした職務執行命令訴訟は、反戦地主らの補助参加も証 人調べも行われないまま結審し、国側勝訴の判決が出されました。この過程に見られ る政府の姿勢は、民意を無視し、地方分権の流れに逆行したものです。また国の都合 に合わせたかに見える裁判所の訴訟指揮も、その公正さへの信頼を失わせるものとい わざるを得ません。この結果、4月1日からは、沖縄県の米軍楚辺通信所の一部用地 を国が不法占拠するという事態を迎えています。さらに、北中城村、那覇市、沖縄市 などの自治体も契約更新時の軍事基地用地としての契約を拒否する方針を決めていま す。
     私たちは、長年の苦痛に基づき「平和の島・沖縄」の展望を願う沖縄県民の要求と大田知事の主張と対応を支持し、沖縄の基地訴訟をめぐる問題に対して次のことを求めて訴えます。

    1、本来条約にかかわる事務を機関委任事務とする根拠と正当性は希薄であり、米軍基地用地としての収容手続きを自治体の首長に押つけていることこそ、その是非が問われるべきである。地方自治体法に基づく行政手続きが適切に行われていると裁判所が判断するなら、地方自治法および機関委任事務自体が持つ瑕疵について裁判所は見解を明らかにすべきである。 2、政府は、職務執行命令訴訟制度の手続きに腐心し、基地の固定化あるいは、新たな性格付けをすすめるのではなく、基地の撤去・縮小、日米地協定の見直し・改正に全力を上げる姿勢、誠意を持って県・県民と協議するとともに、アメリカ政府との交渉にあたること。同時に、沖縄県民のあまりに過酷な負担の実情をて安保・防衛問題に関する情報を十分に公開し、日本と世界の安全保障について国会を初めとした国民的な議論を起こし、合意を求めていくこと。               1996年4月5日

               千葉市民21
    								ボイスきさらづ
    								東京市民21
    								東京・生活者ネットワーク
    								新潟の風
    								民主新党いしかわ
    								「県民フォーラム」石川
    								静岡市民21
    								普民ネットワーク大阪
    								神奈川ネットワーク運動
    								民主リベラル千葉 代表 菅野泰
    								新しい風北海道会議 代表委員 
    													横道孝弘
    

    「沖縄基地訴訟をめぐる民意無視の政治に憤り、大田沖縄県知事を支援するローカル パーティと市民のアピール」についての問題提起

                   1996年4月
                   市民新党にいがた・安保沖縄問題政策グループ
     前略
     去る4月5日、御存知のように沖縄社会大衆党の呼びかけで全国各地の地域政治勢力 が集まり、大田知事との会談、全国交流集会などが開催されました。
     その中で、集まった各グループによる声明が発表され、大田知事にも手渡されまし た。声明は、「市民新党にいがた」ら3団体をはじめ30名以上の地方議員らの名を連 ねた「沖縄の現状と基地問題、地方主権に関する全国地域政治勢力の共同声明」の 他、「東京市民21」(以下「市民21」と略)が作成し、各地の「ローカルパーティ」 12団体が賛同した「沖縄基地訴訟をめぐる民意無視の政治に憤り、大田沖縄県知事を 支援するローカルパーティと市民のアピール」、さらにJネット幹事会で確認された 声明文でした。それぞれ政治的な主張の異なる勢力が、沖縄社会大衆党を媒介にして こうした共同行動を取り組めたことは、大きな意義のあることだと思います。
     その上で、私たちは「市民21」の作成した声明文に、残念ながら見逃すことのでき ない問題があると考え、ここに提起したいと思います。以下、同アピールを「市民21 アピール」と略してその内容を述べることとします。

    ■「条約に関わる事務」と「機関委任事務」について


     「市民21アピール」では、「本来条約に関わる事務を機関委任事務とする根拠と正 当性は希薄であり、米軍基地としての収用手続きを自治体の首長に押しつけているこ とこそ、その是非が問われるべきである」と述べています。この文面をすなおにその まま読めば、「本来、条約に関わる事務」は「自治体の首長に押しつけ」るべきでは ないから、「国がおこなうべきである」ということになります。確かに、機関委任事 務自体は国の事務を一方的に自治体に押しつけているという意味で、沖縄だけでなく 全国の自治体でも問題にされており、地方分権論議の中でも重要な柱として提起され ています。しかし今回のいわゆる代理署名裁判の中における「機関委任事務」をめぐ る争点はそのような一般的問題ではありません。同裁判では、「署名手続きが国の一 方的な機関委任事務なのか、自治体の判断が関与しうる事務なのか」をめぐって争点 になったのであって、「条約に関する事務」であろうと地域住民の利害にあわないも のは拒否する、というのが沖縄県側の主張です。権限の性格(機関委任事務か団体委 任事務か)がどのようなものであれ、「条約に関わる事務」だからといって国の手中 に全ての権限があるべきではないのです。
     そして現在、「本来条約に関わる事務を機関委任事務とする根拠と正当性は希薄」 と主張しているのは政府の方です。このアピールが発表される前日の4月4日、時を全 く同じくして政府の梶山静六官房長官は、代理署名裁判の判決に伴う収用手続きの進 行が間に合わず知花昌一さんの土地が国による不法占拠状態になっていることに関し て、衆院予算委員会で「『機関委任事務で知事に任せているものについても、国の存 立にかかわる問題であり、国自ら事務を行う準備を考慮に入れないとやっていけなく なる』と指摘し、機関委任事務のあり方を見直す必要性を言及」(4月5日沖縄タイム ス)しています。つまり、梶山氏は「市民21アピール」と同じ問題意識から、「本来 条約に関わる事務」を「自治体の首長に押しつけて」いたことを問題にしているので す。そしてこうした問題意識による一連の論理展開の中で、今沖縄県民の強い怒りを 招いている「特別立法」発言が出ていることに、このアピールの提案者・賛同者は重 大な認識を持つ必要があると思います。
     今、沖縄をはじめ各地で問題になっていることは、国策や安保のような国際的政策 が、地域で生きる人々の生存権や基本的人権と衝突しているということだと思いま す。地域の利害、住民の生命と対立する時には、安保条約といえどもその運用に対し て地域の側がそれに歯止めをかけたり拒否できる権限を有するべきなのであり、その ことに触れないまま、条約に関わる機関委任事務一般を政府の側に取り上げようと解 釈される主張は、現在の局面ではむしろ政府の側にくみするものとなってしまい、同 アピールが政府の目に触れることになるとすれば、「ローカルパーティの人達もこう 言っている」とあげ足を取られかねず、後方から大田知事に弓を引くようなものであ ると言っても過言ではありません。
     ローカルパーティとしてこの「アピール」の文面のような主張をされることは、本 来そうした国の制度のあり方に対して異議を唱えてきた地方政治主体としての存在意 義を自ら捨てる自殺行為に等しいと考えます。
     市民21や賛同された多くの方々の本当に思うところは別にあることを望みますが、 文面はどのように読んだとしても沖縄の主権を確保し守ろうとする意味にはとれませ ん。悪意を持った人々から見れば、「梶山発言と軌を一にした反動的アピール」とさ え受け取られかねない表現であると考えます。

    ■アピールの基本姿勢について


     また、同アピールの中の「2」で語られている「基地の撤去・縮小、地位協定の見 直し・改正に全力をあげる姿勢」という主張は、今や自民党や政府の内部でも語られ ている内容です。だから不十分だ、と短絡的なことを言うつもりはありません。しか し沖縄県の立場と政府の立場には大きな隔たりがあります。沖縄県側は、今回の代理 署名裁判の準備書面の中で、近代以降の日本統治の不当性、本土防衛作戦の捨て石の ために多大な犠牲を払わされたという事実、戦後米軍支配下の土地収用、復帰後の基 地の固定化・拡大などの問題を指摘すると共に、安保体制のもとで沖縄が強要されて いる基地をめぐる現状についても、基本的人権や平等原則との関係で違憲状態である と主張しています。そして来るクリントン米大統領訪日時に「日米共同宣言」の形で 確定されようとしている「安保再定義」によって、安保が「極東条項」を超えて世界 の危機に対応する軍事協力体制へと拡大されることに関しても、そのこと自体が憲法 の理念にそぐわないばかりか、安保条約の条文そのものをも逸脱していると主張し、 これが沖縄の基地をいっそう固定化・拡大するものだと非難しています。4月5日の会 見の時に知事自身が述べられていたことでもありますが、知事や県、反戦地主らの国 に対する非妥協的な態度の背景には、こうした基地の固定化や拡大につながる「安保 再定義」問題があるのです。また、そもそも今回の沖縄における全国地域政党の交流 集会の日程も、こうした安保再定義路線が確定されようとするクリントン米大統領の 訪日に先がけて明確な意志表示をする必要があるとの沖縄社会大衆党の判断によって 設定されたものであることを考えれば、国が進めている安保政策とその再定義問題が 沖縄県でいかに大きな重圧となっているか、容易に理解できると思います。
     さらに、「市民21アピール」の標題は「ローカルパーティと市民のアピール」と なっていますが、沖縄の歴史や現状を、本土各地の地域政党が「ローカル」という切 り口・問題意識からどのように考え、どうした観点から基地問題をとらえ、なぜ沖縄 現地で共同のアピールを発するのかといった観点が全く語られておらず、先の安保の 問題と併せて、アピールの基本的姿勢として、不十分さを感じ得ません。
     沖縄の自治体や政党が政府の進める安保政策との全面的な対決的状況に入っている 現状の中で、安保に対して明確な反対を言わないまでも、自分たちの政治的位置をあ いまいにし、しかも地域主権という観点を欠いたまま、安保の現実や再定義の動きに 触れずにこうした声明を発表されることに、どのような積極的意味があるのでしょう か。アピールはより広範な声を集めるべきではありますが、そのためにアピールの意 義を著しく低下させることになったり、ましてやそれが肝心の沖縄の主張に対立する 可能性をはらむものであれば、それはせっかく賛同された人たちの意志に反するもの となってしまうと思います。

    ■解釈困難な文章について


     また、同じくアピールの「1」の中で、「地方自治体法(ママ)に基づく行政手続 きが適切に行なわれていると裁判所が判断するなら、地方自治法及び機関委任事務自 体が持つ瑕疵について裁判所は見解を明らかにすべきである」と述べられています が、この文面はきわめて難解で意味不明です。まず、「地方自治体法」という法律は なく、「地方自治法」の誤りであると考えられます。そして、「地方自治体法(マ マ)に基づく行政手続きが適切に行なわれている」とは、いったい何の「手続き」の ことを言っているのか、この文面だけではわかりません。機関委任事務なのか、代理 署名なのか、職務執行命令のことなのか、あるいは裁判の訴訟手続きそのものなの か、またそれら全部のことなのか、不明です。また、「地方自治法及び機関委任事務 自体が持つ瑕疵について裁判所は見解を明らかにすべき」とは私たちも思いますが、 それがどうして前段の文章との論理展開で出てくるのか、わかりません。これらの点 について市民21のスタッフ(残念ながら文案作成者は不在)に問い合わせたところ、 理解のいく説明は得られなかったし、念のために法律関係者に意見を伺ったところ、 やはり意味不明とのことでした。もしかして何か優れた意味のある内容なのかもしれ ませんが、法律関係者にさえ難解なものであるとすれば、これもアピールの意義を低 下させるものとなるでしょう。

    ■「アピール」を提案・賛同された各団体の方へ


     私たちは、他の政治団体がその独自の理念・政策に基づきアピールを発表されるこ と自体に、異論を挟むつもりはありません。また、私たちと主張が異なるからと言っ て建設的批判の度を越えた非難をするようなことも慎みたいと思っています。私たち のアピールも、何度も推敲を重ね、仲間達と討議した上で発表した文書ではあります が、「市民21アピール」のように、緊急で詳細な検討の余裕のないまま賛同をいただ いたところもあるかもしれませんし、文面の中には言葉足らずの所などがあるかもし れません。
     しかし、その上で、すでに述べたとおり、知事や沖縄県自身が重要な問題として言 及されている安保再定義問題に触れずあいまいな立場のまま、しかも政府の側にあげ 足を取られかねない文面がアピールの中の重要な柱として書かれ、字句の誤りや意味 不明な文面さえも含まれており、しかもそうした問題点が多数の賛同団体から何ら指 摘されていないという事実は、「市民21アピール」があまりにも安易に作成され拙速 に賛同を求められて作成されたものたのではないかと推測せざるをえないものとなっ ています。
     沖縄で同じ一連の行動に参加し、読谷村の集団自決の悲痛な現場や安保重圧下の基 地の実態など、沖縄の歴史と現状に同じように触れ、そして知事との貴重な会見に同 席した者として、このようなアピールが公になることはきわめて遺憾です。
     もしかしたら、このような文面になってしまっているのは、アピールに賛同され た、あるいは作成された提案者本人の本意とは違うのかもしれません。しかし、危惧 する事態が現実のものとなれば、「大田知事の立場と主張を支持」という文面とは裏 腹に、大田知事や沖縄県の姿勢に対して障害となってしまう可能性すらあると考えま す。
     突然の連絡で恐縮ではありますが、以上の私たちの指摘に対する貴団体の真摯な御 検討と、御見解をお聞かせ下さいますよう、お願いいたします。

    東京市民21側の回答

     収録作業中。

    最近の情勢にあたってあらためてこの問題を考える

     97年4月、ついに「特措法」改訂が成立した。
     この成立に向けておこなわれた「橋本・小沢」会談では、安保・外交政策では地方 における機関委任事務を取り上げて、国の専権事項としてとりおこなうという方向で 認識を一致したとも言われている。これはいわゆる地方分権論議の中で大きな論争点 であり、地域政党や地方議員グループの中でもそうした方向に理解を示す傾向も一部 にはあり、それがこの「東京市民21」アピールに現れているものである。
     橋本−小沢会談で示されたこのような方向が、今回の「駐留軍用地」だけでなく土 地収用法の対象となる国家的事業全体に拡大される危険もあり、仮に本土に基地転が しをしていった場合、あるいは他の公共事業の場合、もし反対運動が起こっても、地 主の意見を聞かずに強権的に土地を取り上げ、国の都合でその使用を無期限化しよう とする−つまり、「国策」「安保・外交政策」であれば政府による強盗や略奪を合法 化できるという方向性が確立してしまったのである。
     その意味で、地方政治勢力の中からこうした暴挙を後押しするような声明が、何ら 問題意識無く提出されるという事態の深刻さを憂慮する。私たちの指摘に対し、「東 京市民21」は見当違いな回答を寄せ(後日収録)、他の団体からはいっさい回答がな い。各賛同団体の真摯な再検討を求めたい。


    「沖縄発全国キャラバン」報告

     「本土にも沖縄にも基地はいらない」と訴えて、沖縄から出発し、南北2ルートに分 かれて米軍基地を抱える本土側の自治体を中心に回り、全国に沖縄の心を届けまし た。報告を掲載。
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    8月28日最高裁判決傍聴記

    −支援者の傍聴記録です。本人の了解をいただき、掲載させていただきます。


    代理署名の最高裁判決を傍聴できましたので、そのときの様子を報告します。この裁判の正式名称ってみなさんご存知でしたか。「平成8年(行ツ)第90号地方自治法151条の二第三項の規定に基づく職務執行命令裁判請求事件」と言うんですね。裁判所前にあった告知板から。
    12:30傍聴整理券を頂戴する。
    13:30パソコンによる当選番号抽選。この模様は一般に公開。13:45当選番号掲示。
    14:20 私が傍聴席に着席。席は「ろー22」番。列は前からいろはにと付られ、裁判官席に向かって左から1234と番号が付けられている。「ろー22」は被上告人席の真後ろ。しかしこの傍聴席の椅子、なかなかいい椅子だ。また前後の間もたっぷりある。報道関係者の席が一般傍聴席とは別に一般傍聴席の左右に設けられていた。この席はテーブル付きデスクライト付きだった。裁判官席の前にある二名の速記官席(?)にはサブと思われる向かって右側の席にはすでに係官がスタンバっている。
    14:25 もう一名の速記官が入廷着席。
    しかし大法廷って思ったより広くないし、なにより暗い。雰囲気は劇場といっても過言ではない。椅子もいいし静かだし。よって、眠気が、、、あああ。
    14:25−40 法廷左右にある出入り口に控える衛視(?)の内、右側の衛視が進行状況報告か、3度ほど左側速記官に耳打ちしに行く。動くのもなくシーーンとした中で、いちいち会釈している姿が滑稽(失礼)。
    14:40 沖縄県職員(?)と沖縄県弁護団入廷着席。
    全員で18名。10名は上告人席へ。裁判の当事者の席は2列で5名づつ定員10名。よって8名は上告人席すぐ後ろの一般傍聴席へ。今回は沖縄県弁護団16名のうち15名が裁判に臨む。上告人席は裁判官席に向かって左側。上告人席の前列には全席にマイクがあり、後席には3本のマイク。席はすべて裁判官席を向いています。一部の傍聴人が拍手で彼らを迎える。
    14:41 被上告人である政府代表が入廷着席。ここは総勢8名。
    前席に5名。後席に左から詰めて3名。この席には前列左の席にしかマイクがセットされていない。ここの席も裁判官席を向いています。
    14:50 裁判所係官から傍聴こころえの説明。
    ・裁判官の入退廷時には起立しろだ、
    ・みだりに席を立つなだ、
    ・静粛にしてろだ、
    ・拍手するなだ、
    ・不体裁な行状するなだ、、、うだうだ
    場合によっては処罰もあると。
    指笛は禁止とは言わなかった。(^^;
    14:52 報道人にこころえ説明。
    ・裁判官がおでましになる裁判官席の後ろの観音開きの扉があいてから写真撮影オッケー。終了の合図があったら直ちに撮影を止めよ。扉があいてから撮影終了まで2分。
    ・撮影終了合図がでたらカメラマンは直ちに退廷せよ。14:53こころえ下知終了。
    14:57 唐突に観音開きの扉が開く。
    と同時にフラッシュが多数光り輝く。
    と同時に私の二つ左隣に座っていた反戦地主の島袋善祐氏がスケッチブックを高々と掲げあげるではないか。そしてほとんどの人はまだ着席したまま。んー、やはり裁判官に敬意を表すかと私は起立。1/5の傍聴人は着席したまま。立ったついでに島袋氏の画用紙を覗くと何やら裁判官に訴えている。「痛みをしる判決を」など数頁。やるなあ!!
    島袋氏の訴えは一分は続いた。傍聴席エリアにいる係官はすぐには気が付かなかったみたい。8/29朝日新聞朝刊には島袋氏が高々とスケッチブックをあげているところが映ってますね。某読売新聞によるとこのスケッチブックを係官二人がかりで没収したと報道してますが、これは事実ではありません。最初にきた係官は閉じてください、と島袋氏の腕を押さえつけており、没収するつもりは無かったです。島袋氏がそれに従い腕を降ろしたところに、二人めの係官がきて彼が静粛を破って、よこしなさい!、と騒いで、没収していったのです。で、最初の係官はそのときは傍観していました。島袋氏は始終無言でした。唯一傍聴者で声をだしたのは私の前の席にいた儀保違憲共闘会議前議長が「なんで人のを取るねー」、とひややかにいった程度でした。 断っておきますが全般的に最高裁の職員の態度は紳士的で、裁判所の外でも中でも強権を発動することは無かった。唯一この場面だけが強引な態度で目に付くところでした。14:59 撮影終了、とアナウンス。カメラマン達がガチャガチャと音をたてながら速やかに退廷していく。
    15:00 裁判長が「開廷します」
    15:00 それを受けて右側衛視が裁判の名称(上で書いたやつ)と上告人、被上告人の名前を淡々と読み上げる。読み終わって、、、
    15:01 裁判長「本事件の主文、上告を棄却する」
    (沖縄タイムスのwebによると「費用は上告人負担とする」と裁判長が語を続けたような書き方をしてますが、私の耳にはこれは聞こえてません、どころか閉廷という言葉も私の耳には到着してません。たぶん。)....もうすでに裁判官様達が逃げるようにソクサクと席の後ろの観音開き扉から退廷していく。
    上告席、被上告席の人がいっせいに起立する。報道関係者が全力疾走で駆け出て行く。と同時に「ナンセンスダッー」「なんなんだっー」「バカにするなっー」と怒号。
    私、いったいぜんたい何が起こったのか事態を呑み込めず、大多数の傍聴者も同様。 「不当判決だー」「沖縄をバカにするなー」え?もしかしてもう裁判終わった??と、のんきな私。私、最後の裁判官が出て行くころにやった事態を把握。と同時に私も負けじと「おまえら汚名として歴史に残るぞ」「国民審査で全員Xだ、覚悟していろ」と大声を張り上げていました。
    こういうのって法廷侮辱罪っていうんでしょうね。他にも怒号が「判決理由を述べよ」「裁判官出てこーい」「こんなでたらめな裁判は許さんぞお」怒号の嵐。すすり泣きしている女性もいました。何人かが係官に詰め寄っている。儀保氏の音頭で「最低裁判所!、最低裁判所!」コール。
    係官「もう裁判は終わりました。みなさん出てください」と何度も命じるが、出ていく人はいない。みんな怒り心頭。私も怒りに手が震えていました。
    恥ずかしながら、もうここで何がどうなって、私もどいう行動をとったのかよく覚えていません。あちゃ。(^^;;
    最高裁判所としてはここで警察権力を導入して強制排除できただろうに、最後まで警察権力を使わなかったようです。この態度は立派だと思います。これは誉めてあげましょう。
    ここで何を皆が怒ったのか。判決の内容に怒ったことではないです(も有りますが)。判決内容はみんな予想していたはずです。怒ったのは裁判官達の態度です。あれだけ沖縄が切々と切実に訴えてきた態度に対して報うっていない突き放したような態度、またいくら慣例(そんな悪しき慣例は捨ててしまえ)とは言え判決理由骨子すら述べない、傍聴者の権利をないがしろにしたその態度に怒ってたんです。そして傍聴者一人一人が自分自身に対して出された判決だったと感じていたとも思います。私も自分自身に対して出された判決言い渡しだったと認識してます。冷たいのは花崗岩の155mm榴弾砲を一発や二発受けただけではビクともしないような最高裁そのものの建物それだけにして欲しかった。裁判所の事務職員の態度を見習って欲しかったス。

    15:20 私、退廷。まだ半数の人が残っていましたがもうバカらしさを覚え「最低の裁判を見せてくれてありがとう。このことは心に刻み一生忘れることはありません」と大声でお礼をのべ一礼して傍聴席を後にしました。もう二度と司法に敬意を払うことは無いと思います。起立してやったのに!ケッ。

    その後、
    16:00−18:00 東京弁護士会館の講堂で裁判判決報告集会18:30−19:30(?)日比谷公園野音で抗議集会20:00−21:30東京駅までデモ行進。にそれぞれ参加。

     傍聴席での結末は、弁護士会館での裁判判決報告集会で報告が有ったですが、一部の新聞でも報道されていますが、なんと1時間半以上も粘り、なお且つなんとその場で抗議書まで作り申し入れをおこなっていました。やるー!!。1/3、50名以上の人達が最後まで残っていたようです。あ、一般傍聴席の数は約180人分です。私も粘っていればよかったと。反省。最高裁判所の受理印が押された抗議書のコピー入手しようとしたのですが、売り切れてしまい手に入りませんでした。悲しい。この抗議文の差し出し人は「傍聴者一同」としてくれたようです。

     裁判判決報告集会では、彼ら裁判官はやはり「政府の番犬」だったと揶揄してたのは面白かったです。有銘違憲共闘会議議長でしたかしら。もう一つの傑作は「最低裁判所!」。はい。17:00前、判決は15名裁判官全員の一致だったとアナウンスあり。参加者の間に驚きでどよめきが。
    17:20頃、判決文の骨子が配布される。ことごとく政府の主張を認め、ここまで沖縄の主張を避けるとは悲しくて悲しくて、、、17:40頃から今日の沖縄県の弁護団15名中、8名が挨拶してくださる。異口同音に不当な裁判で怒っていると。
     この日どうにか雨降らずにいたのですが、弁護士会館での集会を終わり表にでてみると、霧雨+小雨。天もすすり泣きしている〜。でもこの雨も野音での抗議集会の途中で止みましたが。沖縄の日本復帰の日も早朝まで雨でしたねえ。このときもでたらめな復帰に天が泣いている、いやアメリカの垢を洗い流してくれているんだ、と雨論争がありましたが、そのことを一人思い出していました。
     デモでは、裁判所で知り合った沖縄金武町出身のご婦人と気勢を上げて練り歩きました。沖縄基地問題FDも購入してくだいましたよ。黄色いはがきを送らねば。

     あそうそう、最高裁判所の交差点向こう側に陣取った男女二人の右翼の方のアジ演説がまたこれ傑作。
     ノボリも「在日琉球人の反乱だっ!」と。オホホホ。好き放題いってました。でもこれがまたいろいろ矛盾することをいってて面白いんだ。ほんと。(^^)
     「おまえらそんなに日本が嫌なら独立しろ!!」「だれが日本を沖縄を守っているんだっ!!」だとか。7/10にも居た右翼です。

     翌日の新聞で判決文要旨を読む。判決文の中に政府の沖縄基地縮小・撤去の取り組みの怠慢について追及があるだろうと期待していたのですが、これも補足意見としてか、しかも7名の判事しか言及していない。内容ももっと踏み込んで追及して欲しかった。また、人数も半数もいかないとは、、、トホホ。職業裁判官や官僚出の方はほとんど全滅みたいですね。

     大法廷の天井中央の大円筒形吹き抜け採光窓は、お天道様の下で公正な審理を尽くすことの理念をあしらったものと聞いています。はたして今回はその精神、理念を貫いたのでしょうか。やはり民主主義は勝ち取るものだとつくづく感じているしだいです。日本に民主主義を!

    #8/29の某読売新聞社会面の記事で「...米軍基地との「共存」を探り続けてきた沖縄県...」ですって。んーー、なんていう世論操作さんだろう。

    (東京品川Hさん傍聴記でした)
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    「代理署名裁判」弁護団声明

    (1996年8月)  本日最高裁大法廷は、沖縄の米軍用地強制使用に関するいわゆる代理署名訴訟(職 務執行命令訴訟)につき、大田沖縄県知事の上告を棄却し、福岡高等裁判所那覇支部 の原判決を支持した。
     上告から四ヵ月余、弁論から一ヵ月余という異例に早い判決言渡について、我々は 、まず、最高裁判所が真に慎重かつ公子な審理をしたかどうかの疑念を抱かざるを得 ない。
     判決は、駐留軍用地特別措置法の合憲性を肯定し、同法の沖縄県における 適用を許 容し、使用認定が重大かつ明白な瑕疵があって無効な場合には、署名等の代 行義務は ないとしながらも、本件の場合は有効な使用認定がなされているとするなど として、 沖縄県知事に署名等の代行義務があるとした。  また、判決は署名等の代行を怠るこ とによって、安保条約地位協定に基づくわが国 の国家としての義務の履行に支障が生 じ、知事の署名等の拒否は著しく公益を害する ことが明らかであるとして、沖縄の基 地の実態をふまえた県知事の署名等の拒否は制 度の予定しないところであるというの である。
     このように、判決は、原判決を誤りとする県知事側の憲法、地方自治法上の上告理 由をことごとく斥けるとともに、基地の実態にかかわる審理を拒否した原審の審理不 尽をも是認している。沖縄の米軍基地にかかわる人権上の諸問題を「行政府の責任と 裁量」に委ねた判決は、結局において沖縄基地を確保せんとする国の政策と沖縄基地 の現状を容認するものにほかならない。
     憲法の番人としての最高裁判所が、司法の独立と司法に委ねられた使命を放棄した に等しい本日の判決に強く抗議するとともに、今後とも沖縄県及び県民の求める米軍 基地問題解決に向けて更に努力する決意を表明する。  来る九月八日には、県民投票 が実施される。この投票において、沖縄県民がその意 思を鮮明にし、県民の名におい て、本日の不当な判決を厳しく批判するとともに、判 決をのりこえる運動を進めるこ とを期待するものである。
                      1996年8月28日 
    
                           職務執行命令訴訟
                            沖縄県知事弁護団 
    

    駐留軍用地特別措置法改正案に対する「本土」側地方議員・地域政治グループ・地域政党の共同声明

     これは私たち自身の問題だ! 

       

     4月11日、沖縄駐留米軍が半永久的に土地強制使用を可能にするための「駐留軍用 地特別措置法(特措法)」の「改正」案が衆院で可決された。
     この特措法「改正」案は、沖縄県の収用委員会の結論がどんなものであっても、あ るいは使用期限が切れても、米軍基地を地主の意向に反しても強制的に使用すること を可能にするものであり、すでに日本弁護士連合会をはじめ多くの団体が「現行土地 収用法の体系を根本から否定するものであり、きわめて違憲性の強いもの」だと批判 している。そしてこれは沖縄の人々が指摘しているように、実質的には沖縄にしか適 用されない、「沖縄差別立法」「差別改正」であり、戦後軍政下及び復帰後一貫して 基地の重圧に耐えてきた沖縄に一層の負担と困難、基地の固定化を強いるものであ る。

     しかし、「本土」の各地域で地方自治を主要な領域として活動する私たちにとって も、この問題は重要な意味を持っている。特措法は実質的には沖縄だけに適用される 差別立法であるが、形式上、そして実際に日本全土に適用される法律であり、今回の 「改正」もまた同様である。したがってこれは国家的政策と地方自治・住民主権との 関係をめぐる論争と攻防を反映しており、「本土」側住民ひとりひとりに突きつけら れた問題だと言わなければならない。
     現行の土地収用法体系は、旧帝国憲法時代と異なり、本来軍事施設などを除外し、 そして国の土地使用認定に対して国民の権利を守るために各都道府県の収用委員会に 裁決の権限を与えている。しかし今回の改正案は、軍事施設のために、法的手続きを 経ることなく有無をいわさず土地を取り上げ、収用委員会の権限を無力化するに等し いものとなっており、私たちはこれを絶対に座視することはできない。安保・外交政 策については国の専権事項とすべきだとする考え方もあるが、たとえそうした立場に 立ったとしても、今回の改正案のように、法的救済手段も認めず、「暫定使用」をほ とんど無期限化する事を可能にするようなものは決して容認できるものではない。

     私たちは、これまでもさまざまな場でこの「改正」案の不当性を訴えてきたが、こ れが「沖縄問題」にとどまらず「本土」側の住民や自治体に直接問われているものと してとらえ、この改正案にあらためて強く反対する。参議院においては各党・各議員 が憲法の原理を充分に考慮されて慎重に審議され、安易に人権や住民主権を侵害・制 限するような法改正をおこなわないよう要求する。以下連名を以て声明とし、関係各 位に申し入れるものである。

    1997年4月
    【呼びかけ・コーディネート団体】市民新党にいがた・全国革新議員会議事務局・九 州ローパス・静岡ローパス
    【地方議員】▼青森県/伊藤裕希(三沢市議) ▼新潟県/鈴木勢子(青海町議)/ 武田貞彦(新潟県議)/相田邦夫(三条市議)/斉藤一保(新津市議)/山田達也 (新潟市議)/梅田久子(村上市議)/高橋新一(柏崎市議)/矢部忠夫(柏崎市 議)/田中田一(横越町議)/西川哲司(下田村議)/相坂滋子(巻町議)/本田清 (亀田町議)/渡辺一夫(亀田町議) ▼富山県/田中光幸(魚津市議)/美谷克己 (小矢部市議)/金嶋茎子(砺波市議)/今井巳三郎(細入村議)/野入美津恵(大 山町議) ▼栃木県/手塚弥太郎(栃木市議) ▼茨城県/被田信一郎(龍ケ崎市 議) ▼埼玉県/星川一恵(新座市議)/森生郁代(所沢市議) ▼東京都/漢人明 子(小金井市議)/大久保青志(前東京都議)/岩木英二(元上福岡市議)/橋本文 子(日野市議)/島田清作(立川市議)/中村まさ子(江東区議)/小枝すみ子(千代田区議)/坂本史子(目黒区議)/古沢くみ子(北区議)/住田景子(小平市議)  ▼神奈川県/鐘ケ江洋子(茅ヶ崎市議)/高月雅子(茅ヶ崎市議)/大蔵月子(平 塚市議)/小澤祐子(平塚市議)/三宅節子(津久井郡藤野町議)/小林照美(相模 湖町議) ▼静岡県/松谷清(静岡市議)/白鳥良香(静岡県議)/佐野慶子(静岡 市議)/伊沢ヨシ江(三島市議)/栗原一郎(三島市議)/仁杉英夫(三島市議)/ 大杉幸好(磐田市議)/津田恵子(島田市議)/石丸恵美子(富士市議)/鈴木敏和 (富士市議)/渡辺宏(沼津市議) ▼大阪府/高橋登(泉大津市議)/小山広明 (泉南市議)/八木修(能勢町議)/一村和幸(豊中市議)/山下慶喜(茨木市議) /岡本嗣郎(高槻市議) ▼兵庫県/大月良子(西宮市議) ▼奈良県/繁田智子 (平群町議) ▼岡山県/横田悦子(岡山市議)/羽場頼三郎(岡山市議) ▼広島 県/福崎裕夫(上下町議)/三木郁子(向島町議)/川崎卓志(福山市議)/七川義 明(三原市議)/得田正明(呉市議)/中村徹朗(三次市議)/竹原孝剛(三次市 議)/松本平三(三次市議)/宇江田豊彦(庄原市議)/藤井美保子(神辺町議)/ 植田稔(尾道市議)/時本悟(因島市議)/石本豊司(世羅西町議)/金信幸男(加 計町議) ▼鳥取県/中川健作(米子市議) ▼香川県/渡辺さと子(香川県議)  ▼佐賀県/増本亨(唐津市議)/辻賢一(唐津市議) ▼大分県/岡本浩(津久見市 議) ▼宮崎県/大西幸二(延岡市議) ▼鹿児島県/続博治(隼人町議)/ 平神純 子(加世田市議)/小川みさ子(鹿児島市議)
    ※なお、この共同声明には議員以外の個人からも賛同をいただいたので、以下に名前 を記す。
    畑山敏夫(佐賀県)/中原玲子(佐賀県)/角倉邦良(東京都・国会議員秘書)/浦 田龍次(大分県・米紙意見広告を実現する会事務局)/平井 一臣(市民連帯 かごし ま) /吉見 信雄(ローカルパーティーを考える会・姶良)
     


    沖縄問題の各種ページへのリンク

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  • 沖縄米兵暴行事件について:沖縄の少女暴行事件に関する事実経過、声明、署名などの資料が掲載されているページへリンクします。頻繁に更新されています。
  • 沖縄タイムスのページ
  • 琉球新報のページ
  • 米海兵隊は日本にいらない! 日本中の声を集めてニューヨークタイムスに意見広告を!
  • みるくーゆ新聞のページ
  • 一坪反戦地主会関東ブロックのページ
  • ランナーの資料室日米安保条約、沖縄裁判に関する資料など、膨大な条約本文・裁判提出意見書などを ボランティアで入力、提供しており、各地の市民運動がこれをダウンロードして役立 てています。 この作業に感服! 利用された方はぜひ御礼・激励のメールを。
  • 「沖縄・県民投票を成功させる意見広告基金募集 」のページ
  • 派兵チェック
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