南京大虐殺受難者30数万人という数字の問題について
中国人民抗日戦争史学会副会長
侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館元館長
朱成山
(2017年東京証言集会講演から一部抜萃)
まず押さえておくべき事は
ここで私は中国学術界による南京大虐殺受難者30数万人という数字の問題について重点的に話したいと思います。
しかし、数字問題は虐殺の規模と程度に関わる事なので、科学的、歴史的事実に基づいて考察する必要があります。この数字には主にいくつかの理由があります。
先ず、30数万という数字は戦後東京極東国際軍事法廷と南京戦犯軍事法廷の「二つの法廷」での歴史的な判決です。南京法廷は直接「30万人以上」という判決を下し、東京法廷は間接的に「20万人以上」の判決をくだしました。だが、その数字には「揚子江に投げ込まれた死体や、土中に埋めたりその他の方法で処理された死体は含んでいない」とされています。
次に、38万以上の死体埋葬の各種記録があること。ひとつは慈善団体による18.5万余りの死体埋葬で、これには崇善堂に埋められた112,267体、同善堂で埋められた22,683体、そして、「回族埋葬隊」によって埋められた400体が含まれています。二つ目は個人によって埋められた3.5万余りの死体があり、それには湖南の材木商である盛世征と昌開運によって埋められた28,730体、南京市民の?芳縁、張鴻儒、楊広才等によって埋められた7,000余りの死体が含まれており、それ以外にも多くの民衆が親族の死体の埋葬をしているが、それについての完全な統計資料はなく、考察することはできません。三つ目は偽政府が合計6,200体余りを埋葬し、それには南京市政府の監督である高冠吾による3,000余りの死体埋葬と、偽下関区長である劉連祥による3,240体の埋葬が含まれています。四つ目は日本軍による死体損壊の痕跡が15万体あります。もし全ての収容され埋葬された死体と日本軍によって損壊された死体を合わせた数を考察し、又、損壊された死体と埋葬された死体の統計上起こりうる重複を考慮したとしても、南京大虐殺での被害者数は30万人以上だという根拠になります。
第三には、南京大虐殺での幸存者と埋葬を目撃した証人が4,000以上の口述資料を残しており、虐殺の規模と残忍性の程度が証明されます。記念館の所在地である江東門一帯だけでも一万人以上の殺害と埋葬を自ら目撃した朱有才、王秀英等の証言があります。
だからまとめると
南京法廷:直接「30万人」という判決
東京法廷:間接的に「20万人以上」の判決
但し、その数字には「揚子江に投げ込まれた死体や、土中に埋めたりその他の方法で処理された死体は含んでいない」
38万以上の埋葬記録
1.慈善団体による 18.5万余り
(崇善堂による112,267/22,683、回族埋葬隊による400を含む)
2.個人による3.5万余り
3.偽政府による合計6,200余り
4.日本軍による死体損壊の痕跡が15万体