南京大虐殺72ヵ年 証言を聞く東京集会に参加を 

 今年の12月は、あの1937年「南京大虐殺」から72年目になります。当年7・7盧溝橋事件をもって本格的な中国侵略に乗り出した日本軍は、8月上海に上陸し、激戦の末、首都南京に向けた攻撃を始め、上海から南京へ至る各地で、一連の奪い尽くし、焼き尽くし、殺し尽くすという暴行を繰り返しました。12月13日首都南京に攻め入った日本軍はさらに掠奪、強姦、殺戮を恣にし、阿鼻叫喚の地獄絵が現実のものとなりました。それは、“人類に対する冒涜”とまで言われた残忍なものでした。
 私たちは、この歴史を忘れず二度と繰り返さないために、この13年間、12月に南京から生存者をお招きして、証言集会を開催してきました。
 私たちは、南京における日本軍による大規模な残虐行為の事実を直視し、その原因と背景を究明し続けることは、二度と加害者とならないための重要な責務であると考えてきました。
 ノーモア南京の会は、今年9月中国東北部を訪問し、日本の中国侵略の凄まじさを目の当たりにしてきました。日本の中国侵略の歴史は、明治以来一貫してきたものです。1894年日清戦争(甲午戦争)においては、南京大虐殺を彷彿とさせる、旅順大虐殺が繰り広げられました。そして偽満州国の建設、中国侵略の全面化を通して、「暴支膺懲」のスローガンのもとに、中国植民地支配と中国蔑視のイデオロギーは積み重ねられていきました。それは日本陸軍の作戦だけではなく、日本軍将校から一般民衆にまで、そして老若男女を問わず、小さな子供にも教育され、広く浸透した考えでした。こうした歴史の上に南京大虐殺は繰り広げられました。
 今、日本と中国の間は、ますます密接なものとなっています。いまや日本の経済構造は米国よりも中国との間に緊密な関係を作っています。このようななかで、米国ではオバマ民主党政権となり、日本では民主党等の連立政権となりました。オバマは米国一国主義を批判し、核の廃絶への意欲を語り、日本の鳩山政権は、「東アジア共同体」構想を打ち出しました。
 しかし、政権の転換が本当の転換となり、「対テロ戦争」と言われる軍事介入、侵略戦争、民族、宗教抑圧のない新しい時代を作るにはまだ多くの問題の解決が必要です。
 そして新しい未来のためには、ただ「未来志向」という言葉ではなく、過去と向き合い真剣にとらえ返す社会的な力が必要です。過去を直視し、教訓とすることなしに、未来を切り開くことはできません。改憲の動きが表立っていないとはいえ、日本がアジアにとってまたもや新たな脅威とならないという保証はありません。
 今、一方では、歴史修正主義者による教科書の書き換え運動に止まらず、戦後補償や在日外国人の権利に反対する新しい右翼潮流の妨害も激化しています。再び極右勢力や歴史修正主義者たちが跳梁跋扈するようなことを決して許すことはできません。

 私たちは12月13日(日)に東京で南京大虐殺72カ年を記念する証言集会を催したいと思います。私たちは今年も、南京大虐殺の生存者をお招きして証言を聞くとともに、南京戦での被害者と加害兵士の証言とをまとめた映画を上映する予定です。この集会を契機に、ともに南京大虐殺やもろもろの侵略の歴史に向かい合い、真剣にとらえ返していこうではありませんか。