2003.3.24

内閣総理大臣
小泉純一郎 様

日本キリスト教協議会

議 長 鈴木 伶子

 

日本キリスト教協議会は3月10日・11日、第35回総会を開き、いのちを重んじ、平和のために働く宗教者として、一般市民の命を奪う強力兵器の計画と使用を中止するよう、下記の要望を日本政府に提出することを決議しました。

 

要望 日本政府は、非核三原則を非核法として制定、遵守する。また、入国・寄港(寄航)するすべての航空機や艦船に対しても非核の遵守を求める。またヒロシマ・ナガサキを経験した被爆国の立場から、米国および核保有国に向けて、核廃絶を求める。

 

いま、米国政府は、世界に広がる「戦争反対」の声を無視して、イラク攻撃をおこない、日本政府はそれを支持する姿勢を明らかにしました。わたしたちは、この攻撃がイラクの一般市民の命や生活の安全を奪うことに対し、強く反対しています。長く経済制裁の下にあるイラクでは、貧困層が飢えと病気に苦しんでおり、湾岸戦争の際使われた劣化ウラン弾は、12年を経た今、子どもたちに深刻な放射能障害と死をもたらしています。米国は、あらゆる最新兵器を使って徹底的にイラクを攻撃しています。わたしたちは、次は朝鮮民主主義人民共和国の攻撃へと進み、東北アジア一帯が戦争に巻き込まれるのではないかと恐れます。

 

このような状況のもとで、米国は、核の先制使用の可能性を明言し、地下核実験再開を急いでいます。ミサイル防衛計画をすすめ、対弾道弾ミサイルシステム条約の一方的廃棄通告、包括的核実験禁止条約脱退を行い、強力地中貫通型核兵器に予算をつけるなど、核兵器使用推進の姿勢をみせています。

 

しかし、核兵器で相手国を制圧したとしても、そこに住む人々の心をつかむことが出来ないかぎり、真の平和は達成されず、放射能の影響が国境を越えて人びとに被害をもたらす結果を招くだけです。日本は、広島・長崎で、核兵器が一瞬にして一般市民のいのちを奪い、生き延びた人も、長くその後遺症に苦しむことを経験しています。日本政府は、この人びとの苦しみをふたたび繰り返さないためにも、世界に率先して米国など核保有国に対して核廃絶を求めることを求めます。

 

日本の安全を米国の核政策に託すのではなく、日本が率先して非核の政策をとり、地球上から核兵器をなくすために努力し、和解と信頼の関係を築くために働いてこそ、日本および東北アジアの平和を築くことができ、未来のすべての人類と地球の生きとし生けるもののいのちにつながると信じます。

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