中川昭一経済産業相様 松永和夫原子カ安全・保安院委員長様 藤洋作関西電力社長様 美浜原発3号機事故に際して、原子カ行政に対する要望書 去る8月9日、原発運転中として国内最悪の美浜原発蒸気漏れ事故によって、5名もの尊い命が失われ、また火傷や怪我のため病床で闘っておられる6名の方々と家族の皆さんの心痛を思い、私共も憤りと悲しみを深くいたしております。「原子炉の事故ではない」ことを理解してほしいという発言が関係者の一部にありましたか、頭上から高熱蒸気が作業員に降りかかったという事実は重大です。申し上げるまでもなく、放射能漏れがあったか否かだけが問題ではないのであって、この深刻な事故の原因を徹底的に究明し、再発のための対策を講じられるよう要望します。チェルノブイリ原発事故発生以来、原発の危険性を覚え、現地の方々との交流・支援活動を行ってきている私どもは、生命の危機と隣り合わせの「原子力」には頼らない電力行政の抜本的改革を強く望むものですが、とりあえず今回の事故の経緯から、原子力発電所に関与される皆様に次のことを強く要望します。 1) 経済性より命を大切にすることを第一とする電力行政を心がけてください。今回美浜原発では検査対象の見落としやその事実を知りながら長期間放置、下講け業者に点検期閻の短縮を競わせていたことなど指摘されていますが言語道断です。以前から美浜だけでなく、関電の各電発で二次系配管の肉厚が薄くなる現象が多発し、警告を発せられていたはずです。二次系ということで油断はなかったでしょうか。また、経年化で弱った部分だけ補強することで、他の部分により大きな負荷を与えることはないのか案じられます。また、事故が起こってからその場限りの補強をするのではなく、少なくとも今回と同じ型の全施設を止め、專門家の意見をしっかり受け止めて完全な点検により再発防止を図ってください。 2) 原子カ行政全般に関して、日本に配置されているすべての老朽化した原発はできるだけ早期に廃炉とするよう措置を進めてください。また、特に環境面で懸念されている使用済み核燃料中間施設についても根本から検討しなおし、さらに安全性について課題の多いプルサ一マル計画を中止してください。 3) 原子力施設では、必ずといってよいほど、事故が起こるとデータの握造、ずさんな管理体制が間題となつてきました。先端の科学技術、人間の細心の点検・管理によっても絶対に事故を起こさないという保障がないのが原子カ発電です。日本の原子カ行政に携わる方々に対し、電力会社や下請け任せでない、トータルな安全対策と責任体制についての抜本的見直しと、その情報公開を求めます。 2004年9月13日 日本キリスト教協議会チェルノブイリ災害問題委員会 委員長 坂内義子 |