2003年3月12日
内閣総理大臣
小泉純一郎殿
日本キリスト教協議会は、このたび3月10日・11日に第35回総会を開催して、一人ひとりの人が、かけがえのない命を神から与えられた存在であることを信じる者として、イラク攻撃により、一般市民の命が奪われることが無いよう切望し、下記の要望を政府に提出することを決議しました。なお、日本キリスト教協議会は、昨年9月、ブッシュ大統領宛てに「アメリカのイラク攻撃に反対します」という議長声明を出しました。
要望書
日本政府は、先に米国等が国連安全保障理事会に対して提案したイラク攻撃容認の新決議案の支持を表明しました。このような日本政府の態度表明は、日本国憲法を明らかに逸脱するものであり、イラク攻撃に反対し、平和を願う日本や世界の世論とはまったく相容れないものです。
米国は、国連安保理事会の新決議の採否にかかわらずイラク攻撃を断行すると言明しています。これは、国際法に違反し、国連を実質的に崩壊させるものです。またイラクへの攻撃は、中東全域を紛争の不安に陥れ、子どもたちや、力のない人々の命を奪い、イラクの人々の生活に壊滅的な打撃を与えることになるでしょう。さらに、武力で制圧するという米国の方策は、北東アジア地域をも不安定な状況に陥れることになるでしょう。
戦争により国内外の人びとの命を失った痛みを知り、平和憲法を持つ日本は、戦争による悲惨をとめる責任があります。今こそ、平和と和解の仲介者として外交的努力をすることが求められています。
日本キリスト教協議会第35回総会は、戦争に反対し、全世界の人々の平和への願いに私たちの祈りを合わせ、次のことを要望します。
日本政府は、米国のイラク攻撃を支持しないことを表明し、米国の戦争を止めさせ、平和的な手段による解決をするよう国際社会で働くこと。
以 上
日本キリスト教協議会
総会議長 鈴木伶子