内閣総理大臣
小泉純一郎様
靖国神社参拝に抗議する声明
本日午後、小泉首相が靖国神社に参拝したことに対して、私たち平和を求めるキリスト者は、この参拝が、平和を願う人々の思いを踏みにじり、憲法に規定された政教分離原則を侵したことに対して強く抗議します。また、今後靖国神社への参拝を繰り返さない様に要望します。
靖国神社は、かつての侵略戦争で天皇のために死んだ人々を「英霊」として祀るだけでなく、戦争遂行責任者をも神として祀っています。また靖国神社は、国家神道として日本の侵略戦争を支える役目を果たしてきました。このような中で政教分離原則は、国家が再び特定の宗教を保護し、誤った方向に行かないようにとの願いをもって憲法に規定されました。
国家の最高政治指導者である首相が、宗教法人靖国神社を参拝することは、この政教分離原則を踏みにじるだけでなく、国家神道靖国神社に支えられてなされた過去の日本の侵略と植民地支配の歴史を肯定し、それによって辛酸をなめさせられてきた近隣諸国の人々に過去の悪夢をよみがえらせ、日本への信頼を首相自らが裏切る行為になります。
この時期世界の状況は厳しく、日本では1月20日から始まる国会において有事法制三法案の審議が予定され、またアメリカはイラク攻撃の機会を狙っています。私たちキリスト者は、日本が平和主義に立って、近隣諸国の人々だけでなく、世界の人々からも信頼される平和な国であることを願っています。首相の靖国神社参拝は、首相の有事法制成立への熱心さと併せて日本が再び戦争への道を歩むのではないかという懸念を抱かせるものです。このような懸念を抱かせる参拝を再び繰り返さないように要望します。
2003年1月14日
日本キリスト教協議会 総幹事 大津健一
同 靖国神社問題委員会 委員長 森山 サ
もどる