2002年9月26日
米国合衆国大統領
ジョージ・ブッシュ様
日本キリスト教協議会
議長 鈴木伶子
アメリカのイラク攻撃に反対します
親愛なる大統領閣下
私たちは日本にあるキリスト者として心から世界の平和を願い、神が私たちを平和と和解のための道具として用いてくださる事を祈っています。
私たちは、米国における「9・11事件」でなくなられた市民の死を共に悼み、その残されたご家族の痛みと悲しみを共にしています。しかし、同時に「テロへの戦争」という名目で10月7日から始められた米国によるアフガニスタンへの軍事行動によって殺された数千人にのぼるアフガニスタン人の死を同じ痛みと悲しみをもって覚えています。
私たちは今、この時に、如何なる形での暴力の行使もが、神が創られて良しとされた被造世界を破壊し、神に似せて造られたいのちを人間の手によって奪い取るものであること、そして暴力は、暴力の連鎖しか生み出さず、真の問題の解決と平和をもたらすものでないことを主張すべきだと考えています。
ブッシュ大統領が、イラクを「悪の枢軸国」だと非難し、イラク攻撃への危機が差し迫るこの時に、私たちは日本キリスト教協議会の名において米国単独であれ、国連決議によるものであれイラク攻撃に反対を表明します。もしアメリカがイラクへの攻撃を開始するなら、アフガニスタンにおけると同様に多くの非戦闘員、特に女性、子ども、高齢者がその犠牲とされる事が容易に予想されます。今日イラクでは、湾岸戦争以来の制裁処置によって食糧・医薬品など日常必需品の輸入が制限され、それによって多くの子どもたちが病気で死に、飢えで苦しんでいます。また、米国によるイラクへの攻撃は、中東地域の平和と安全を脅かし、それが世界にもたらす影響力は計り知る事が出来ません。
私たちは、アメリカが大国主義・一国主義の立場に立って世界の警察官のように振る舞うのではなく、世界の国々や人々と平和と和解を求めて共に歩む国になって欲しいと願っています。
ブッシュ大統領が、イラクへの攻撃の方針を変え、イラクとの平和と和解に向けた対話の努力を忍耐を持ってしてくださることを願います。そして神がブッシュ大統領に、暴力を使わないで問題の解決に向かう勇気と知恵を与えられるように祈ります。