2002年9月20日
総理大臣 小泉純一郎 様
法務大臣 森山眞弓 様
東京都新宿区西早稲田2-3-18-24
日本キリスト教協議会
総幹事 大津健一
2002年9月17日の死刑執行に強く抗議します
政府・法務省が、2002年9月17日に、浜田美輝さん、春田竜也さんに対して、死刑を執行したことに対し、日本キリスト教協議会は、強い怒りをもって抗議します。国連で死刑廃止条約が締結されて以来、本日の2名を含め、43名に死刑が執行されてきました。そのたびに、世界の過半数の国々が、「死刑は野蛮な刑罰であり、その存廃に関する議論の余地はない」という共通認識を強めてきました。コフィ・アナン国連事務総長も「死刑執行猶予2000年キャンペーン」に関する声明において、各国政府に“人の生命を奪った者の生命を奪うことを正当化できるか”と問いかけてきました。日本政府は今、この問いかけを、“社会を保護する責務を有する国家が、自らを殺人者として同じレベルに引き下げ、殺人者が他人を扱ったのと同じように殺人者を扱った”こととして、謙虚に受け止めねばなりません。
昨年6月、欧州評議会は、日本と米国に対して2003年1月1日までに、死刑の停止または廃止にむけての措置を講じない場合、日本のオブザーバー資格を見直すとの決議を行いました。このことからしても、今回の日本政府の死刑執行は、国際社会の人権理解を踏みにじる恥ずべき立場を選択したことを認めるべきです。そして“人命が最優先で尊重される社会”を、国際社会の中で実践していけるよう、死刑制度を即座に廃止するべきです。
日本キリスト教協議会は、日本におけるプロテスタント諸教派・団体が加盟するキリスト教団体であり、これまでも総会決議にて死刑廃止を求め、日本政府の死刑執行停止と、死刑制度の廃止を求め、政府に対する働きかけを繰り返してきました。キリスト者は、神から与えられた“一人一人の生命が、かけがえのない存在である”ことを信じるゆえに、生命の全体を神に委ねています。その生命を国家が奪うことを、いかなる理由であっても認めることはできません。政府・法務省は死刑の執行を停止し、死刑制度を廃止し、そのための議論を促進するために、死刑についての情報を公に開示し、死刑囚の権利保障と犯罪被害者の救援制度を改善することを強く求めます。
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キリスト教教会関係者各位
主の平和をお祈りいたします。
9月17日、2名の死刑確定者に対して、死刑が執行されました。この執行に対し、日本キリスト教協議会は、小泉首相と森山法務大臣に抗議声明を発表しました。そしてキリスト者の立場から、このたび政府の選択した死刑執行は、国際人権規約委員会から、すでに厳しく指摘されているように、根本的に誤った、また恥ずべき行為であり、行ってはならないものであることを、強く訴えました。また私たちキリスト者は、神にそのすべてを委ねている人間の生命を、いかなる理由があろうとも、人間の一方的作為で死に至らしめることがあってはならないことを伝えました。
以下にその抗議声明を送ります。皆様の日々の取り組みに置いても、このたびの死刑執行の根本的過ちを深く受け止め、同じ過ちが二度と繰り返されないよう、死刑制度廃止の動きを、少しずつでも確かなものとしていただくことを強く呼びかけます。
主の平安
2002年9月20日
日本キリスト教協議会幹事
木谷英文