皇太子妃出産に対する、
国会・政府・マスコミの「祝意」の押しつけと過剰報道に対して
厳しく抗議する
昨年12月1日、皇太子妃は女児を出産した。これに対し、小泉首相ら三権の長はただちに皇太子夫妻を訪ね祝意を表した。マスコミにおいても、狂騒ともいうべき、異常で過剰な天皇及び天皇家への祝意・賛美の宣伝で埋め尽くされた。その報道には、祝意の押しつけへの疑問・批判は皆無であった。
こうした押しつけがましい態度は許されるのか。天皇・皇太子夫妻・皇族はそれほど特別で偉い存在なのか。明治以来の天皇と天皇制国家が、それほどすばらしいものだったのか。近代日本の歴史を知っている者は、むしろその正反対であった。
出産は完全に私事である。天皇家とそれに関心を持つ者のみが、内々に個人的に祝うべきものである。私たちは、前天皇の死去の際の弔意、現天皇の即位の礼・大嘗祭の強行によって引き起こされた祝意、皇太子の結婚の際の祝意など祝意の強制に対して反省してきた。
日本においては、憲法に定められた国民主権・人権・平和こそなくてはならぬものなのである。しかし国会も、政府も、マスコミも、この憲法をないがしろにし、祝意の押しつけと過剰報道に徹した。その行き着く先は亡国である。私たちは心からなる憂いをもって、この祝意の強制に抗議し、国会・政府・マスコミが今後祝意の強制・押しつけを行わないよう、強く要請する。
2002年1月7日 日本キリスト教協議会 靖国神社問題委員会 委員長 森山 サ