小泉首相および閣僚の伊勢神宮参拝に抗議する
小泉純一郎首相および6閣僚は、1月4日、伊勢神宮に参拝した。私たちは、これまでくり返し抗議してきたにもかかわらず、今年も行われた伊勢神宮参拝に対して強く抗議するものである。
首相が、旧大日本帝国憲法のいう「万世一系ノ天皇」の私的な祭祀施設であり、現に一宗教法人である伊勢神宮に「参拝」し、同神宮庁において年頭の記者会見を行うことは、憲法第20条が定める「政教分離」の原則に反し、同神宮に国が特典を与えるものと言わざるを得ない。
かつて、日本が、天皇の名による戦争と植民地支配によって、アジア・太平洋地域の人々に言語に絶する苦難を与えたとき、その精神的支柱となったのは国家神道であり、そこにおいて伊勢神宮は靖国神社と並んで決定的な役割を果たした。日本国憲法は、国家神道が軍国主義を支えてきたことの反省として、政教分離の原則を掲げたのである。
ここで、国の機関である首相が、こうした経緯を知りつつ伊勢神宮に参拝することは、同神宮を再び国の宗教施設とし、憲法によって明確に否定されたはずの国家神道を再興しようとする意図を持つものと受け取らざるを得ない。政府が天皇を神格化し、権威あるものとして、靖国神社や伊勢神宮と結びつくことは、きわめて危険であり、日本の将来を誤らせるものとなるであろう。
私たちは、首相および閣僚の伊勢神宮参拝に、再び強く抗議すると共に、今後いかなる形においても国家神道の復活を目指すような行為の行われることのないよう要請するものである。
2002年1月7日
日本キリスト教協議会
靖国神社問題委員会
委員長 森山 サ