韓国訪問にあたっての
日本キリスト教界代表の共同声明
私たち、カトリックおよびプロテスタント諸教派と団体からなる日本キリスト教界の代表18名は、現在の日本が再び戦争への道を歩んでいることに深く憂慮し、2001年12月3日から5日までの3日間、韓国を訪問しました。韓国キリスト教界代表も誠実にこれを受けとめ、両国キリスト者は、共に協議し、この地域に平和の主である神の御旨が行われるよう、共に働く決意をしました。
かつて軍国主義時代の日本は韓国を植民地支配し、この国の人々を極度に苦しめました。当時の日本のキリスト教界が、それをとどめることができず、中でも韓国キリスト者に神社参拝を強制したことは、神のみを神として崇め、隣人を愛しなさいという聖書の戒めに背いた重大な罪でありました。今回訪韓した日本のキリスト教界代表は、神と隣人の前に、この罪を深く悔い、赦しを求めるとともに、これらの犠牲や殉教を無駄にしないことを決意しています。
しかしながら、今年2001年になって、日の丸・君が代の強制、教科書問題、小泉首相の靖国神社参拝、そして自衛隊の海外派兵という事態が引き起こされてしまいました。過去の過ちを認めようとせず、侵略戦争を美化し、戦争準備へと進むこのような状況の中、日本のキリスト者はできる限りの反対運動を展開してきました。「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書の採択阻止については一定の成果をみたものの、全体としてはこうした新たな右傾化の流れを食い止められなかったことに対して、私たち日本のキリスト者は大きな責任を感じるものです。このような危険な右傾化の流れは益々強まることでしょう。それゆえ私たちは、過去の歴史を直視しつつ平和と和解のために取り組みつづけてまいります。
私たちキリスト者は、主イエス・キリストがご自分の十字架を通して、敵意という隔ての壁を壊し、平和を実現させ、神との和解をもたらして下さったことを信じ、この福音を宣べ伝え、神の意思を世界に実現しようと努めています。日韓の教会とキリスト者が、共に手を携えて現在の諸問題に取り組むことができるよう、神の導きを請い願います。
平和の主、イエス・キリストのご降誕を待ち望みつつ
2001年12月4日
日本カトリック正義と平和協議会 会長 松浦 悟郎
日本福音同盟 常任理事 藤田 洋
総主事 稲垣 博史
日本キリスト教協議会 議長 鈴木 伶子
副議長 吉高 叶
総幹事 大津 健一
日本基督教団 総幹事 竹前 昇
日本聖公会 沖縄教区主教 谷 昌二
日本バプテスト連盟 理事 小河 義伸
日本バプテスト同盟 理事長 天野 邦彦
在日大韓基督教会 議長 李 炳 球
総幹事 朴 寿 吉
前総幹事 姜 栄 一
日本キリスト教会 議長 久保 義宣
書記 久野 真一郎
日本キリスト教婦人矯風会 会長 高橋 喜久江
日本YWCA 副会長 ランデス・ハル
総幹事 松下 起子
(順不動)