CONTENTS[098] 99/11/24 ・日韓NCC女性委員会交流プログラム報告 女性委員会委員 加藤信子 ・第3回日韓NCC女性委員会連帯・交流会議 ・寄せ場に聞く−寿の現状− 日本基督教団神奈川教区寿地区センター 三森妃佐子 ・WCC先住民族サポートプログラム「先住民族国際会議」報告 レラの会 長谷川由希 ・東海ウラン臨界事故に関する声明 日本キリスト教協議会議長 徳善義和 ・お知らせ |
日韓NCC女性委員会交流プログラム報告 女性委員会委員 加藤信子 |
10月4日から7日まで、第3回日韓NCC女性委員会連帯・交流会議が、神奈川県芦ノ湖キャンプ村に於いて開かれた。 韓国・在日韓国・日本のキリスト者女性たち44名が集まり、「東アジアの平和と日韓女性たちの役割−キリストにおいて一つとなる(エフェソの信徒への手紙2:11〜18)」という主題で行う。 初日に横須賀基地めぐりが予定されていたが、韓国の飛行機の都合で中止となり、NCC平和・核問題委員会委員長の小笠原公子さんより、スライドを使用して日米新ガイドライン関連法案をふまえて、基地の現状とこれから予想されること等を伺う。再び戦争への道を歩まないよう、常に見張り行動することの重要性を感じる。 静かな秋の気配をかもし出す、すすきの群生や芦ノ湖を眺めて食事を頂き、自己紹介。22名の韓国の方々の力強いたくましさのあふれるパワーに力づけられる。宿舎は6、7名のグループが、各々キャビンに分宿する。 日本担当の開会礼拝は、中央に青い布が十字架の形に置かれ、これを囲むように全員が円形に腰かけ、ローソクがともされてゆく。悔い改めの祈り、平和を求める祈り、エフェソの信徒への手紙2:11〜18が、日韓交互で献げられる。 講演は、日本YWCA総幹事の鈴木伶子さんより「立ち帰って生きよ」のメッセージを頂く。神以外のものを神とした私たち日本人の罪の数々。力と富を神として、謝罪も、補償もしないまま、再び日本が、軍事化の色彩を強めている。その方向性を変えるために全力を尽くさねばならない。それが次の時代に対する責任である。神に立ち帰り、新しい心と霊を求めることが急務である。 東北アジアの平和は、日韓が米国との軍事同盟を解消し、北朝鮮との平和外交を進めることなしには達成できない。 エゼキエル書8:22「立ち帰って生きよ」、力と富を神とすることをやめ、神を神とすること等、力強く語られる。 各々の国での活動報告の中で、韓国からの金允玉(キム・ユンオック)さんの言葉が胸を突く。日本は憲法9条や、非核三原則があるのに、自衛隊を強化し、米国との軍事同盟を一層完璧なものとすべく、国会で三つの関連法案を通過させた。新ガイドラインは、東アジアの平和を破るものであり、日本の平和憲法にもとるものである、と。 三日目のメディテーションで、天野文子さんが北朝鮮に行かれたときの体験を話された。朝露が朝日を浴びて美しく、草むらの上で輝いている湖畔に立つ。 同胞に思いを馳せる韓国の方々と共に、一日も早く統一されることを祈りつつ涙して聞く。次会には、朝鮮民主主義人民共和国の女性が加わって下さることを切に祈る。天野さんの「朝鮮民主主義人民共和国の人を孤立させてはいけない」という言葉が、深く心に残る。 分団協議は、各キャビンで行われた。2回目の分団は、韓国の提案により全体会に切りかわる。前会は、日本、韓国、在日と3つの決議文が出されたが、今年は一つの決議文をというみんなの願いが感じられた。 一つでも、二つでも具体的な行動を決めよう。民族差別、特に在日朝鮮人の子どもを守っていこう。等々次々に意見が出る。 聖書研究を通し、主イエス・キリストの平和こそ、私たちが求める平和であることを確認する。各キャビンのグループ毎に、「平和」の表現をする。その平和実現のために、積極的に、具体的に行動してゆくことが決議された。日本政府に対しての要望、日韓両政府に対しての要望、教会に対しての要望等が出された。当面の私たちの行動は、日米新ガイドライン体制に反対すること、JUBILEE2000のキャンペーンの支持、2000年女性国際法廷の支援が決議された。 韓国の人たちとの想い出の一つは、フリータイムの二つの案が出された。大湧谷へロープウェイで行くのと、近くのホテルの温泉へ行くという案が提示された。どちらかに希望する名前を書くようにとのアナウンスがあった。韓国の人たちは両方に名前を書いていた。討議は短くし、両方へ参加したいという韓国の人たちの熱心な要望が通って、全員両方に行くことが出来た。西原さんのお骨折りのおかげである。もし、私たちが韓国へ行って、同じ場面に直面した時、きっと両方に行きたいと思っても、一つを選ぶのではないだろうか。 予定されていた二回目の分科会も「分科会はやめて全体で集まりましょうよ」と、思ったことをはっきり示される。 私は前回に続いて二回目の参加になるが、韓国の人たちの明るさ、力強い積極性に教えられることが多かった。各々にこれからの私たちの生き方が問われ、それが次会の成果へとつながってゆくのだろうと思うと、大きな責任を感じるが、連帯と交流の意義の深さをしみじみ、かみしめるのである。 (日本キリスト教婦人矯風会) |
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第3回日韓NCC女性委員会連帯・交流会議 決 議 文 |
日韓NCC女性委員会は、1999年10月4日〜7日、神奈川県芦ノ湖キャンプ村において、日本・在日韓国・韓国のキリスト者女性たちが集まり、第3回日韓NCC女性委員会連帯・交流会議を開催しました。
1996年、1997年の2回の会議で、日本の植民地支配と侵略の歴史を振り返り、罪責告白し、東アジアの和解のための道を模索してきたことを積み重ね、今回はさらに深めて「東アジアの平和と日韓女性たちの役割−キリストにおいて一つとなる(エフェソの信徒への手紙2:11〜18)」という主題で行いました。
世界は今、軍事的・経済的・性的・身体的・心理的・自然に対する暴力など、強者の弱者に対する暴力が蔓延しています。朝鮮半島は、未だに南北が分断され、互いに対峙しています。また、冷戦時代の最後の地と言われ、深刻な平和の危機にあります。私たちはこの会議で、日本が経済的な富を基盤として軍事的にも強者となり、朝鮮半島をはじめとする東北アジアの平和を脅かしていることを認識しました。聖書研究をとおして、弱者を支配し実現する平和は強者の平和であり、決して本当の平和ではないことを確認しました。私たちは強者の支配と暴力を阻止する主イエス・キリストの平和のみが、私たちの明るい未来を約束するものであると信じます。
日韓NCC女性委員会は、生命を生かす女性の霊性によって、あらゆる形態の暴力に抵抗しつつ、イエス・キリストの平和を実現するために、積極的で能動的に行動を展開しようと次のように決議しました。 ■日本政府に対しての要望 −債務返済に追われ、民衆の生活が犠牲となっている国に対して、債務の取消しを求めます。 −日本軍「慰安婦」をはじめとする、戦争被害者に対する賠償を要求します。 ■日韓両政府に対しての要望 −国家予算の多くを費やす軍事費の削減と軍備の縮小を求めます。 ■教会に対しての要望 −教会が性差別を克服し、平和を創り出す働き人として女性を用いるように求めます。 −教会が物質・拡張主義を反省し、社会構造的に小さくされた者の側に立つことを求めます。 ■私たちの行動 −互いの情報交換、広報、平和のリボンによる戦争協力反対の意志表明、平和祈祷日な ど、多様な行動で日米新ガイドライン体制に反対していきます。 −債務に苦しむ国々に対し、債務の取消しを求め、JUBILEE2000のキャンペ−ンを引き 続き支持します。 −日本軍性奴隷制を裁く2000年女性国際戦犯法廷を支援します。 −朝鮮民主主義人民共和国へ食糧・医薬品等の支援を続け、交流のために努力します。 −東アジアの緊張関係に起因する在日コリアンの子どもや女性への暴力に強く抗議し、 今後も抗議行動を展開していきます。 −東アジアを非核地帯とすることをを目指しながら、核廃絶のために努力します。 私たち日本・在日・韓国のキリスト者女性たちは、これらの決議が実現するまで、非暴力抵抗運動を続けることを決意します。 1999年10月7日 日韓NCC女性委員会連帯・交流会議 参加者一同 |
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URM特集 Part2 寄せ場に聞く−寿の現状− 日本基督教団神奈川教区寿地区センター 三森妃佐子 |
現在野宿労働者の数は新聞報道によれば全国で約2万人とでいわれており、現実は3万人を超えるのではないかと言われています。原因は、もちろん不景気によります。神奈川県内では3000人強。横浜駅周辺で
100名、公園等で約100 人、川崎約1000人、関内・寿周辺役400 人です。小田原30人(120人)
、相模原15人(100人) 、横須賀25人、鎌倉15人等[( ) は、新聞報道又は予想]
。このように野宿労働者は増える一方です。夜まわりをする中で「何か困っていることはないですか」とたずねると、ほとんどの人が「仕事が欲しい」といいます。仕事を探してくれというのです。病気で具合が悪いと言うのであれば、救急車を呼ぶとか、病院に連れていくとか、福祉事務所に相談に行くということはできるのですが、仕事がないという相談には、一緒に頭を抱えてしまいます。また、仕事を探す場合、履歴書には住所を書く欄があるのですが、そこに、「なんとか地下道とか、なんとか公園」とは書けないわけです。かといって、寿地区の住所を書いたところで、寿ということで仕事がないというのです。にもかかわらず仕事をしない怠け者と思われるのです。しかし、本当に仕事はありません。寿の失業率100%です。今、野宿を強いられている人たちの多くは、高度経済成長の時期の経済を支えてきた人たちです。また、最近は、リストラや、倒産によって野宿する人たちが増えています。仕事がないということは、金がないということですからその日から、食うものもなく、泊まるところもないのです 。 そして、野宿を強いられている労働者は、追い出しにあっています。駅からも、公園からも、あらゆる所から追い出されています。ある日、横浜の公園で追い出しがあるというので、仲間で行き、その場で交渉しました。その話し合いの中で、公園は、休む所であって寝てはいけない、住んではいけないという条例があると言うのです。神戸の場合は、災害であって特例だというのです。その時、この不景気もりっぱな人災ではないかと思ったわけです。そして、その日は、一方的な追い出しはしないという約束をし終わりました。 また、青少年たちは、野宿労働者を「プータロー狩り」「ケラチョ( 虫ケラ) 狩り」といって、エアガンを撃ちまくったり、ロケット花火を打ち込んだり襲撃しています。しまいには、俺たちはいいことをしたといって開き直り逮捕されても反省のいろは全く無いというのです。なぜ、野宿している人たちが、このような目にあわなければならないのでしょうか。これは、日常生活の中で日雇い労働者の人たちの働きが分からないからだと思います。私たちの生活全般を見回しても、何一つその人たちの働きに寄らないものはないと思います。例えば、横浜では、ベイブリッジとか、ランドマークタワーでも、完成すれば「きれいだ」「これで横浜も観光地として誇れる」「国際都市横浜」と外見を評価します。しかし、このようなビルの建設、また道路工事等は、きつい、汚い、危険な労働です。これらは、すべて日雇い労働者の汗と力によらなければなりたたないのです。 横浜は、誰もが一度は、訪ねてみたい所のようです。日本最大の貿易港・日本一高いランドマークタワー・ベイブリッジ・横浜スタジアム・外国人墓地・港の見える丘公園・中華街・元町・伊勢佐木町・官庁街等とざっと頭に浮かんでくるものを羅列しただけでもこんなにあります。 実は、寿地区は、これらの観光地、繁華街に囲まれた一角にあります。JR石川町駅北口をおりて右に曲がれば中華街、左に曲がれば寿地区です。多くの人が、気づかずに通りすぎてしまう谷間に位置しています。あたかも、繁栄の表と裏をあらわしているかのようです。 現在の寿地区は、他の「寄せ場」と違い、 200から 250メートル四方という狭い地域に、約102 軒のドヤが立ち並び、約6500人の人たちが生活しています。非常に人口密度の高い地域です。また、圧倒的に単身の男性が多く、外国人出稼ぎ労働者も多く生活しています。部屋の広さは、 2〜3 畳、安いところでは、 1日1000円位から、高いところでは2500円、炊事場、トイレは共同です。建物は、隣接しているため、風通しや日当たりが悪く暗い部屋も多いので、生活する環境としてよいとは言えません。 現在は、生活保護層が人口の8割です。この数年間は、56歳から60歳にかけて入ってくる人たちが多く、2600人の人たちが生活しています。身体しょうがい者は 280人強、精神しょうがい者は2000人位。なぜ、こんなに、寿地区に集まってくるのでしょうか。その理由とていることは、家族関係や核家族化の問題や住宅問題・地域の中で受け入れられず居場所を失い出てくるということもあります。このように様々な問題が重なり合って寿にくるのです。また、横浜市はドヤを住居として認めているため、生活保護を受けることができるので、他県の福祉事務所から回されて来ることもあるとか。今、町は日雇い労働者の町から福祉の町へと変わりつつあります。 (日本基督教団教師) |
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☆WCC先住民族サポートプログラム「先住民族国際会議」報告 「先住民族/知識/アイデンティティ」 レラの会 長谷川由希 |
7月4日から10日、フィリピンのケソン市でWCC(世界教会協議会)主催の会議が開かれた。テーマは「先住民族/知識/アイデンティティ」。
WCCの他にCPA(Cordillera Peoples Alliance)とフィリピンの2つの教会組織がホストになり、アジア地域を中心に12カ国から約20人の先住民族が集った。 WCCは1970年代から先住民族の抱える諸問題に関わってきている。先住民族に関し、神学的影響の反省、歴史的分析、民族学的協議を国連レベルのネットワークと啓発のなかで行っている。その中心を担うIPP(先住民族に関するプログラム)。そして社会のなかで、女性、子供、先住民族などに対する教育のプロセスについてのプログラムを行っているEEF(世界教会運動)。この2つのWCCのなかの組織が「先住民族と教育」という事柄に対し、共同で研究を行い始めている。先住民族の文化的遺産や伝統から先住民族の知恵に学び再発見すること、そして先住民族のコミュニティにおける教育の方法、独自の考え方、伝承方法に重点を置いている。今回の会議はこの研究の方向づけのために行われたものである。 ケソン市の教会宿泊施設で参加者と、1週間共に過ごし朝から夜までミィ−ティングを重ねた。参加者の多くはクリスチャンであり、地域での教育実践者であった。 話し合いは大きく4つの段階に分けられ、まずはお互いを理解しあうことから始まった。1人ひとりが自民族の教育の現状、自国の政府の現状について発表していった。共通して、独自の教育の方法と教育の機会は奪われた状態であり、皆それを取り戻すことを願い実践している。それぞれの教育を取り巻く環境は多様である。軍事政権下にあり教育を完全にコントロールされているビルマのチンや、民族学校をもち自分達の言語を話すノルウェーのサーミなど、現状の違いを確認することは話し合いをする上で、互いに必要なことであった。また、会議室のなかに自分達の伝統工芸品やパンフレットを展示し、毎朝行われた礼拝では自分たちの文化のなかで大切なことを発表しあい、互いの持つ文化についても共有していった。 次に「先住民族の教育とは」というテーマで話し合いを続けた。先住民族独自の教育とは、生活のなかにあり、先祖の知恵に学び、次世代の子供たちのアイデンティティ形成に欠かせないものであることを最初に確認しあった。その上で、独自の教育を実践するために現在何が問題であって、何が必要なのかについて総体的に話し合われた。そのことは我々先住民族が、社会のなかでどのような立場にあるのかを再確認することでもあった。挙げられたことは、周縁化され、抑圧され、搾取されている民族であるということ。そして我々は何を求めているかについては、土地権、教育権、自己決定権が挙げられた。先住民族独自の教育そして先住民族の知恵は、それらを取り戻すために欠かせないものであること、原動力となるものであることを確認しあった。また、現在それぞれが直面している鉱山開発、ダム建設、軍事政権、同化政策は教育と深く関係している。先住民族の独自の教育の実現は土地、コミュニティ、非先住民族、教会を含め総体的に検討すべきだということが見えてきた。 さらに我々の目指すもの、そしてそのために何を信じ、価値をおき、原則とするのかについて話し合った。そのなかで6つのテーマが挙げられた。土地、言語、歴史、芸術、神学、政治的運動である。それぞれのテーマに対して多くの意見が出され、特に興味深かったことは、歴史について捉え直しが必要であり、先住民族自身によって正しい歴史が書かれ、同時に次の世代に伝えていくべきであるということが強調されたことであった。また神学に関しては、他の土地から来た考え方を受け入れてしまった、その過程について熟考することも大切だがそれを我々のものとして応用していくべきだ、という考えが出された。私は芸術の担当になり話し合った。自分達の芸術は挙げればきりがない程でてきた。芸術は文化であり、生活であり、先祖を表し、生きたままで次に伝えていくべきだということを話した。そのなかでは非先住民族が芸術を研究し明文化するのではなく、自分達が芸術を実践するものでなければならないということが強調された。 最後にWCC、その他の教会、地域、学校に対する具体的提案について話し合った。私は地域への提案のグループに入った。フィリピンのアエタの男性は日本のODAの悪影響について訴え、ビルマのチンの男性もそのことについて賛成した。私はその場でODAのアジアの先住民族に対する侵略の恐ろしさを再認識し、先住民族としての情報のネットワークの重要性を提案した。またアボリジニ−の男性は自国における鉱山開発について、そしてアジアにおけるオーストラリア企業の鉱山開発について関心を示し、先住民族同士のネットワーク作りの重要性を確認し合った。その他に、自分達の言葉による、特に教育に関する出版物を発行していくことを台湾のタイヤルの女性が提案した。また、タイのカレンの男性は先住民族同士の体験交流を行い、他の先住民族の知恵からも学ぶことを提案した。この場で挙げられた事柄は、アイヌも実行に移すことが可能であり、必要なことである。 この1週間、参加者と共に自らの現状を顧みて、他の先住民族の現状を知り、自分達を客観視しあった。1日中会議室のなかで話を聞きあい、うなずきあった。時には、相手が次に何の言葉を発するのか想像できるほど直面している事柄が共通していることを感じた。また、どれだけ苦しく、厳しい現状なのかを伝えあい悲観したこともあった。そのような時は、この場に来た意味を確認しあった。悲観的、感情的になりがちな話し合いでは常に冷静に次のステップを踏むための提案がなされた。また一度に多くの仲間に出会い、多くの知恵を共有でき、この会議は私にとってまさに先住民族としての教育であったことを感じている。 |
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東海ウラン臨界事故に関する声明 資源エネルギ−庁長官 河野博文 殿 |
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9月30日、茨城県東海村にある(株)ジェー・シー・オー東海事業所で、臨界爆発事故が発生した。この事故により、10月1日現在、放射線による急性障害で入院した3人の従業員を含む39人の従業員、消防士3人、隣接するゴルフ場で作業中の地域住民7人が被曝したと伝えられている。茨城県の測定によれば通常値の16,000倍という大量の放射能が漏洩し、200人近い周辺住民が避難、工場周辺350メートルは立ち入り禁止、周辺3kmの道路封鎖、周辺10kmの住民に屋内退避措置が取られ、常磐線も運転を中止した。
このような臨界爆発事故は、日本の核施設として初めて、最悪の事態であり、このような大事故を起こした事業者、監督官庁・科学技術庁の責任は重大である。 今回の事故は、高速増殖炉実験炉「常陽」のための高濃縮ウランの精製作業中に、必要とされている手順を無視して作業が行なわれたことによると伝えられているが、徹底的な原因究明が必須である。同施設を封鎖し、全工程、全環境の安全確保体制の再点検をすることは当然のことである。 基準容量2.4キログラムの沈殿槽に16キロもの高濃縮ウランが人の手によって充填されたということは、臨界管理体制の欠陥であり、また、安全性よりも効率を優先させる核施設の実態を表しているものである。 現段階で、中性子の反応を起こしていると思われた冷却水を抜き、ホウ素を注入したため核分裂反応そのものは一応収まっていると報道されているものの、近隣の周辺住民はいまだに避難した状態であり、また放射能の除去、農作物や水への影響の調査もこれからであるなど、周辺の住民に与えた影響と不安、損害はあまりにも大きい。 そもそも、同施設のような高濃縮ウランを扱う施設が一般住宅と隣接した場所で操業していることは、重大な問題である。同施設に限らず、横須賀の同種の施設なども住宅に隣接して操業をしていることが見逃されてきたことは問題である。 また、安全規制についても、原子力発電所と比べて緩やかであるとすれば、重大な問題である。高濃縮ウランのみならず、原子力発電所で使われるウラン燃料を作る核燃料製造工場の安全規制、立地条件、さらにそこからの輸送に関しても、徹底した規制が行なわれていなければならないはずである。 立地条件、安全規制などの基本的な理念が、住民・環境の安全をないがしろにした形で行なわれていることが、今回のような臨界爆発事故につながっている。 以上の状況にも関わらず、野中官房長官は、記者会見での質問に答えて、 「今回の事故は国民の原子力の安全性への信頼をそこなうようなものではない」という趣旨のことを述べている。「原発の問題でないと思えるくらい基礎的な」事故という同長官のコメントは、これまでの美浜原発での冷却水漏れ事故、「もんじゅ」事故、「ふげん」事故、前回の東海での事故の経緯を全く考慮にいれず、市民の不安を問題としない姿勢の表われである。 私たち日本キリスト教協議会に連なる33のキリスト教教団・団体は、「いのちを選ぶ」という視点から、当該業者、監督官庁、政府、科学技術庁に対し強く抗議すると共に、政府、科学技術庁、通産省、監督官庁、当該自治体に対し、以下のことを要請する。 1.政府、科学技術庁は、核燃料製造を含む、原子力発電所に関わるすべての核施設における安全確保体制の総点検を行うこと。 2.ジェー・シー・オー東海事業所を含む全国7箇所の核燃料加工施設について、臨界事故に対する安全性の点検を行い、不十分な施設は直ちに閉鎖すること。 3.核防災マニュアルを作成し、核施設周辺住民に配布徹底すること。 4.核防災マニュアルと同時に、核事故を想定した防護服、ヨウ素剤など、緊急対応ができるように整備し、核防災訓練を行うこと。 5.いわゆる「2000年問題」に対応するため、すべての核施設を一時停止すること。 6.すべての核施設について、危険性と問題点を公開提示し、その可否を住民に問うこと。 7.政府、科学技術庁は、原子力長期計画を根本から見直し、核エネルギーに頼らないエネルギー政策を打ち出すこと。 以 上 |
1999年10月1日 日本キリスト教協議会 総幹事 大津健一 同 平和・核問題委員会 委員長 小笠原 公子 |
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お知らせ |
■出版物紹介 <WCC Publications> "Becoming a Christian - The Ecumenical Inplications of Our Common Baptism" WCC信仰職制委員会幹事 Thomas F. Best & Dagmar Heller編 貸し出しいたします。興味のある方は事務局までご連絡下さい。 <NCCの出版物> 「見えない手錠を解く日まで」−石川一雄さんに聞く「部落差別と狭山事件」− NCC部落差別問題委員会 頒価100円 パンフレットの中に東京高裁への再審開始請求と、東京高検への全証拠開示要求のためのハガキがついています。お役立て下さい。 <2000年 一致祈祷週間式文> 「神はほめたたえられますように・・ 神は私たちをキリストにおいて祝福で満たして下さった」(エフェソ1:3〜14) WCC信仰職制委員会とカトリック教皇庁一致促進委員会が準備した式文を、NCCとカトリック中央協議会とで翻訳いたしました。式文は無料(送料実費)でお分けいたしております。必要な方はNCC信仰と職制委員会までご連絡下さい。 ■日本軍性奴隷制を裁く「女性国際戦犯法廷」を成功させるため協力をお願いします。 2000年12月に予定されている「女性国際戦犯法廷」の開催の目的は、@「慰安婦」という日本軍性奴隷制が女性に対する戦争犯罪であった真相を明らかにすること。A被害女性たちの尊厳を回復し、日本政府に戦争責任・戦後責任をとらせること。B性奴隷制や強かんなどの戦時・性暴力が今後世界各地で繰り返されないよう、女性の人権が尊重される平和な新世紀を創ることです。この女性戦犯法廷は以下の実行委員会が中心になって開催されます。 実行委員会 加害国 日本 VAWW NET Japan(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)代表:松井やよりさん 被害国 韓国 挺身隊問題対策協議会 代表 :尹貞玉(ユン・ジョンオック)さん フィリピン 女性の人権アジアセンター 中国 上海慰安婦研究センター 台湾 台北市婦女救援社会福利事業基金会 北朝鮮 「従軍慰安婦」太平洋戦争補償対策委員会 インドネシア ジャカルタ法律扶助協会挺身隊問題対策協議会 国際諮問委員会 委員11ヶ国 11人 代表:インダイ・サホールさん 法律顧問 テオ・ファン・ボーベン教授(オランダ・マーストリヒト大学) ロンダ・カブロン教授(米国ニューヨーク市立大学) NCCでは11月11日に行われた第6回常任常議員会で「女性国際戦犯法廷」開催に協力することを決議いたしました。NCCにつながる皆さんにも「法廷」開催のためにご協力をお願いいたします。 *女性国際戦犯法廷基金(何口でも結構です) 団体一口2,000円から 個人一口1,000円から *また「法廷」に寄せる思いや「慰安婦」問題への提案など何でも自由にメッセージをかいて VAWW-NET Japanまでお送り下さい。
■<留 学> WCCが設立したボセー・エキュメニカル・インスティテュートの2000年の募集要項が来ています。 興味のある方はNCCの事務局までご連絡下さい。 |
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