_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 盗聴法の施行に関する声明 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 2000年8月14日 ネットワーク反監視プロジェクト (NaST) 盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する 市民連絡会 JCA-NET セキュリティ委員会 私たちは、盗聴法制定過程から一貫して盗聴法に反対し、また法制定後 も、廃止を強く主張してきた。強行採決の後、明らかになった連続する 警察の不祥事で、市民の警察不信は現在頂点に達している。盗聴法廃止 を求める誓願署名は20万近くにまで達しており、世論は盗聴法廃止を粘 り強く要求している。それを受けて、国会でも野党の手によって盗聴法 廃止法案が連続して提出されている。一度成立した法律に対して、この ような事態になるのはまれなことである。それだけこの盗聴法の存在が 許されるものではないことを示しているということができるだろう。 盗聴法制定後の経緯を含めて、私たちは下記の点から、盗聴法を絶対に 認めることができない。 * 盗聴捜査は、必然的に、犯罪とは無関係の膨大な通信を違法、不当に 盗聴せざるを得ないものであり、明らかに憲法の通信の秘密条項に抵触 する。 * どの国においても、一端盗聴捜査が法認されると、その範囲が拡大さ れ、条件はますま緩められ、結果として甚大なプライバシー侵害が生じ ており、日本の場合もこうした傾向を持つであろうことは明白である。 *盗聴捜査の犯罪摘発効果には大きな疑問が持たれている。他方で、警 察は莫大な予算は、甚大なプライバシー侵害を伴う盗聴捜査に浪費され ることになる。 *警察は NTTドコモに対して100億円近くの負担を要請していることが明 らかになっており、また立会人の負担もすべて通信業者の負担と報じら れている。これは盗聴法制定前に法務省、警察庁が通信業者に対しては 負担をかけないとした説明とまったく異なっており、容認することはで きない。 * 立法後も特にあらたに盗聴捜査を必要とするような犯罪状況は見いだ せない。 * 盗聴捜査は、立法の趣旨とは別に、人権団体や市民運動団体などに対 する監視の手段として用いられる可能性がある。 * 「施行規則」や「最高裁規則」などその後制定された諸規則も含めて、 捜査当局の違法捜査の歯止めが不十分である。盗聴法制定後に明るみに 出された警察官の違法な捜査が、繰り返し厳しく批判されてきたにもか かわらす、盗聴法および、諸規則は、違法捜査に対して、組織内部の懲 戒処分等の明確な罰則規定も設けておらず、法的な強制力の実効性を欠 く欠陥だらけの法律である。 * 電子メールの盗聴に関してはその手段や手続きがまったく明らかにさ れておらず、この状態で盗聴を許可することは警察による無限の電子メ ール盗聴に道を開いてしまうこととなる。 * 盗聴装置の技術的な仕様についても、使用される技術が公開されてお らず、違法捜査を支えるような技術が組み込まれる可能性を否定できな いし、捜査当局のもつ違法なプライバシー侵害技術を阻止できるような 法的な歯止めがない。 * 立会人制度は形骸化され、裁判所、議会ともに、捜査機関の違法な捜 査を速やかにチェックできる法的な強制力がない。 * 盗聴記録はデジタル化され、データベース化や改竄、盗聴操作が認め られていない他の捜査への流用などが容易であり、警察による個人情報 の違法・不当な使用を助長することになる。 以上のように、盗聴法は、いかなる観点からみても、百害あって一利な し、の悪法である。政府、与党は速やかに盗聴法の廃止の方針を持って 本臨時国会に臨み、法施行前に、盗聴法の廃止にむけて審議を進めるこ とを重ねて要求するものである。 連絡先 ネットワーク反監視プロジェクト (NaST) priv-ec@jca.apc.org http://www.jca.apc.org/privacy/ 盗聴法(組織的犯罪対策法)に反対する市民連絡会 〒152-0002 東京都目黒区目黒本町 1-10-16日本消費者連盟気付 電話: 03-3711-7766 FAX: 03-3715-9378 JCA-NET セキュリティ委員会 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21三錦ビル3階 JCA-NET 気付 電話 03-3291-2875 FAX 03-3291-2876