12月6日警視庁捜査二課は、強制執行妨害被疑事件について安田好弘弁護士を逮捕しました。株式会社住宅金融債権管理機構は、逮捕後に安田弁護士を告発しました。マスメディアは、こぞって安田弁護士が実は悪徳弁護士だったかのような論調で、捜査機関の情報を裏付け調査もなく垂れ流しています。
そもそも被疑事実自体が、会社経営に関する弁護士の業務上の助言を内容とする異例、かつ不当なものです。しかも、安田さんは既に3回に及ぶ任意の事情聴取と捜索への協力しており、逃亡したり、罪証を隠滅することなどまったく考えられない状況にありました。今回の逮捕、勾留は、刑事訴訟法から見ても、まったくその必要性のない不当なものです。実際に住管機構が告発した別の弁護士は在宅起訴であり、身柄拘束はされていません。なぜ安田さんの場合にだけ逮捕・勾留なのでしょうか?また、遮二無二刑事事件化されていった経緯も見過ごすことはできません。なぜ債権回収よりも刑事事件化を優先させたのでしょうか?さらに、なぜ逮捕後にわざわざ住管機構は告発をする必要があったのでしょうか。
私たちは安田さんと死刑廃止運動を通じて出会いました。死刑廃止フォーラムの中心的な存在として、存置論者との対話集会を企画し、国会議員に働きかけ、国連に日本の状況を訴え、執行に備えて人身保護請求などの取り組みを精力的に展開してきた人です。安田さんはきわめて説得力のある論理を持っていました。死刑は法制度や刑罰の問題ではなく、すぐれて「人権」の問題なのだということを、静かに熱く語り続けてきました。
安田さんはお金にもならず、誰も引き受けてのいない死刑事件の弁護の依頼が集中する弁護士です。そして彼はそれを引き受けてしまう弁護士です。それも名前だけ貸すような弁護士ではありません。私たちの知る安田さんは、どの弁護士もが敬遠していた麻原被告人の弁護を引き受け、月から金までほとんど連日泊まり込みで事件資料を読み込み、刑事訴訟法に忠実な弁護活動を繰り広げる弁護士です。
私たちは、麻原被告公判100回直後の政治的なタイミングに、死刑廃止運動の弱体化もねらった今回の安田さんに対する不当な逮捕・勾留、そして悪徳弁護士キャンペーンに強く抗議します。
私たちは、多様な声で、私たちが出会った安田さんとの事実を訴えていきます。一人でも多くの方が参加するよう呼びかけます。(死刑廃止フォーラム90東京)