さる9月2日、ドイツの検察当局は、テロリズム扇動のかどで、ドイツ国内法に抵触している疑いがある、として、オランダのインターネット・プロバイダー(接続や、ホームページその他の情報発信サービスを提供している)xs4allへのアクセスを禁止する措置をとった。
その理由は、1970年代に創刊され、その後非合法とされた左翼系の雑誌"Radikal"が、ホームページを置いているから、としている。直接的には、核廃棄物の輸送ルートなどの情報を流し、政府の核政策を監視するように呼びかけたことが、テロリズム扇動とみなされたという説も流れているが、その点は明確ではない。
ドイツ検察当局は、国内のインターネット・プロバーダーに、このxs4allへの接続を一切ブロックするように働きかけており、現に多くのプロバーダーがこの要請に応じ、ドイツ国内からは、xs4allへのアクセスが困難になっている。
ちなみに、xs4allには、3100のホームページが置かれており、"Radikal"とは何の関係もない他のホームページも、ドイツ市民は見ることができなくなっている。
世界的なムミア・アブ・ジャマルの支援運動の中心となっている FREE MUMIA Home Pageもこのxs4allに置かれている。
この政治的検閲は、連邦地裁で違憲判決の出たアメリカのCDA(通信品位法)をはじめ、インターネットへのさまざまな検閲や制限が顕在化し、比較的新しく、市民運動にとっても、オルターナティブなジャーナリズムにとっても有効な手段となりつつあるこのメディアを、自分たちの支配下に置こうとする各国政府や巨大企業などの動きに危機意識をもっている世界中のネットワーク市民から、大きな非難をあびており、世界各地で、禁止された"Radikal"の記事を自分のホームページに掲載する動きが出ている。