「本当の私」と言いながら手渡されたのがこの稲刈り姿の写真。普段はビシッとスーツ姿で決まっている加勢川さんとのギャップにビックリ。アメリカン・エキスプレス(以下アメックス)で社会貢献を担当しながら、「グリーン・ハビタットの会」という団体で有機農法の酒米づくりをし、西多摩の豊かな自然が残る東京都青梅市に暮らす加勢川さんに、今回は話を伺った。
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アメックスの社会貢献スタンスは2つ。
1つは会社ぐるみで楽しむチャリティーイベント。例えば、社長含め役員たちがバーテンダーになって社員にカクテルを販売し、その売上をNPOやNGO団体に寄付したり、ボーリング大会で社員がストライクを出すごとに会社が100円出して、そのお金を寄付したり。さり気なくチャリティーに参加できるくらいが、社会貢献の始めの1歩にはいい気がします。
もう1つは、社員個人の活動のサポート。アメックスには、社員がボランティアをしているNPOやNGOに助成するというプログラムがあります。1団体に寄付できる金額は10万円ぐらいですけど、昨年は世界中の500団体に対して総額50万ドルの助成をしました
つまりアメックスでは、会社がお膳立てするイベント的なボランティア活動は行っていません。そういうものがきっかけになる人もいるかもしれませんけれど、その大半は継続性がなくて。やはり、自分の住む地域で自分で探し出してボランティアをしている人の方が、ずっと継続的に活動していますよね。
外国人社員の話を聞くと、彼らは当たり前のように地域でボランティア活動をしているし、しかもマルチなんです。1つの団体だけじゃなく、友達と一緒に病院を手伝って、両親とは教会を手伝って…って。教育の違いあるけど、日本にもそういう人が増えればいいなって考えています。だから“Your
Chance to Help”(あなたのお手伝いするチャンス)として、社員に色々な分野の団体のボランティア情報を発信し続けています。
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私が、地域への関わりが大事だって意識しだしたのは、やはり青梅市という古くからの街に住んだことが大きいですね。始めは自治会とかがうるさくて、なんかうっとうしいし、すっごく嫌でした。「自治会費だけ払えばいいや」って何もやらなかったんです。でもある時、町内会の役員をすることになって、地域を住みやすくするために、裏で動いている人がいることに気づきました。自分でやってみるとそれがすごく大変で、もう、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたね。やっぱりこういうことは、地域で暮らす者の1つの義務として、みんなで分担してやらないと、地域が崩壊しちゃうって思いました。
でも、歴史ある街は本当に排他的。10年住んでいても「よそ者」だし、青梅なんて3世代ぐらい住まないとダメなんじゃないかな?
やっぱりそういうところが変らないと、いくら地域に参加しろって言ったって参加しづらいですよね。
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「グリーン・ハビタットの会」はすごく楽しい!
私の周りにもやりたいって人がいっぱいいるから、ニーズはあるんです。でも、田んぼを提供してくれる農家がいない。というのも、都心の人はいつでも田んぼに行けるわけじゃないので、その間は農家の人にお願いして面倒を見てもらわないといけないから。もちろん私たちは借地代のほかに指導料&管理費みたいなかたちで何十万か払っていますけれど、それでも農家にしてみれば、手間がかかるし赤字ですよね。
だから、そういう相場みたいなものができればいいなって思います。最近、林業とか農業とかの体験プログラムが増えてるけど、あんまり安い参加費でやっちゃいけない気がします。参加者が体験するまでに維持・管理してくれている人がいるわけですから。
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森とか木が持っている時間の「ものさし」って100年とか200年とかで、人間とは全く違いますよね。その「ものさし」の違いを理解しないと、「森とともに暮らす社会」にはならないと思う。だから、都市設計する時もそうですけれど、自然をそのままにすることが、将来どれだけの価値になるかって考えるべきですね。
青梅市の永山丘陵開発、反対!
(編集部)
SAKIKO KASEGAWA
東京生まれ、東京育ち。結婚した相手にダマされて(?)
93年から青梅での田園生活を始める。7年前からアメックスの社会貢献を担当し、97年グリーン・ハビタットのメンバーと出会い田んぼを始める。
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森の列島に暮らす・03年 12月
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