抗   議   文
ウラン残土の湯梨浜町麻畑地区保管案を撤回せよ!
方面地区住民の要求を踏みにじるな!


核燃料サイクル開発機構 理事長 殿塚猷一 様

 核燃料サイクル機構が鳥取県湯梨浜町(旧東郷町)方面地区に放置してきたウラン残土に対し、方面自治会がその撤去を求め訴えた裁判は、鳥取地裁、広島高裁松江支部での住民側勝利判決に続き、10月14日、最高裁で勝利判決が確定した。
 これに対し貴職は、11日、方面地区からわずか1qしか離れていない、同町麻畑地区にウラン残土を移転・保管すると発表した。貴職が示したこの新たな麻畑地区保管案は、判決にウラン残土の撤去先が明記されていないことを逃げ道とした、ハレンチ極まりないものである。貴職の行為は、ウラン残土放置発覚から17年間、実力撤去を含む長期にわたる運動のうえに住民が勝ち取った裁判の判決を、事実上なし崩しにし、住民にさらなる苦痛を強いるものである。ウラン残土の撤去を求めてきた方面地区の住民の要求をどこまで踏みにじれば気が済むというのか。
 11月1日、勝訴した方面自治会は、ウラン残土を撤去するため鳥取地裁に強制執行の申し立てを行った。地元住民は、貴職の人形峠環境技術センターでウラン残土を保管することを一貫して要求している。ところが貴職は、強制執行を逃れ、人形峠環境技術センターへの搬入を何としてもくい止めようと麻畑地区保管案を提示した。それをもって、15日に方面地区に対して請求異議の訴えを起し、強制執行停止決定の申し立てを行い、住民側の強制執行を妨害している。
 「ウラン残土を撤去せよ」との判決確定に対し、悪行を重ねる貴職の行為に断固抗議する。
 さらに貴機構の石村理事は、判決を自分の都合に合わせて解釈し、「撤去先について地元同意は必要ない」と述べた。盗人猛々しい言い分である。貴職は、搬出先となる岡山県との合意がないことを理由に、これまで撤去をサボタージュし続けてきた。これに対して判決は、合意がないことをもってウラン残土を撤去しない根拠にはならないと指摘したのである。にもかかわらず今度は、麻畑地区での保管案に際して、地元同意は必要ないと強弁している。まったくもって許されない主張である。同時にこのことは、日本の原子力・核燃料サイクルの中核を担い続けてきた貴職の無責任極まりない姿勢を、一層克明に示すものである。
 麻畑地区での保管は、「ウラン残土訴訟を支える会」が指摘しているように、安全面からも大きな問題を抱えている。そもそも、貴機構自らが1999年に別所地区での保管案を発表した際、「ウラン鉱床が存在しない。急傾斜地でない」ことを安全性の条件としてあげていたではないか。ところが実際は、麻畑地区は旧鉱山がある急傾斜地である。また現在でも、水や土、植物、そして大気から高濃度の放射能が検出されている。流出した土砂の一部が川に流入、汚染が拡大されていることも判明している。残土埋設のためにトンネル掘削をすれば、ウランやラドンといった危険な放射能が周辺に撒き散らされる。住民をこれまで以上に被曝の危険にさらす麻畑地区保管案など、絶対に許されない。

 麻畑地区保管案を即刻撤回することを強く要求する。
 方面地区住民が求める、人形峠環境技術センターでウラン残土の保管を行うよう要求する。

2004年11月16日
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
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