ニューヨークのマンハッタンから数十キロ北にある、エンタジー社のインディアン・ポイント2号炉では、少なくとも8月後半以降、使用済み核燃料貯蔵プールから漏水が続いている。最近、敷地内の井戸で採取されたサンプルからトリチウムが検出され、今回の漏洩が地下水の汚染をもたらした可能性が出てきた。環境団体や地元当局、国会議員等は、エンタジー社やNRCが、9月下旬まで漏水を公表しなかったことに激しく抗議している。同時に、地下水の汚染問題について、更なる調査や対策を要求している。さらに、地下水や飲料水の汚染だけでなく、近くを流れるハドソン川の汚染や生態系への影響も懸念されている。 この原発は運転開始から31年。20年間の原発寿命延長に反対してきた地元の環境団体は、「プールに亀裂が生じているなら、他の原発の構造物も同様に劣化している可能性が高い」「漏えいしているプールに入れる廃棄物を生産するとは馬鹿げている」と原発の即時閉鎖を要求している。 以下に、10月19日付のTHE JOURNAL NEWSの記事を紹介する。 |
インディアン・ポイント2号原子炉周辺の5ヵ所の井戸から採取した最近のサンプル調査において、微量のトリチウムが発見されたことを、インディアン・ポイントと連邦政府の規制官たちは昨日確認した。水素の放射性同位体であるトリチウムは、同原子炉の使用済み燃料タンクから、少なくとも8月後半以降、漏れ続けている水で運ばれたと見られる。 [ニューヨーク州]ブキャナンにあるサイトで稼動中の2基の原発を所有しているエンタジー・ニュークリア・ノースイースト社の役員は、発見されたトリチウムのレベルは、環境保護庁が飲料水に対して許容しているレベルよりはるかに低く、公衆およびサイトで働く労働者達に危険を与えるものではないと述べた。 トリチウムは蛍光時計や出口表示板によく使用されており、ガンのリスクを増加させる相対的に弱い放射線を放出する。 原子力規制委員会当局は、これまでに発見されているトリチウムの濃度を確認し、昨日開催された関係省庁の電話会議に参加した。その会議でエンタジー社は漏洩の原因とそれが周辺地域に与える影響を確認するための計画の詳細を述べた。当初、漏洩量は1日あたり0.5リットルであった。しかし、同社が水回収システムを変更してからは、1日に回収される水の量はおよそ2リットルになっている。 同社は次のような処置を実施する計画を立てている。 ・インディアン・ポイント2号炉周辺のサイト内で、さらに8つの井戸を掘って検査を行う。これは約1ヶ月以内に開始する。 ・使用済燃料プールのライナー部分を調査する。最初は水中カメラで、その後プール内にダイバーを潜らせてクラックを探すことになるだろう。これは今後2週間以内に開始される。 ・2ヶ月以内に漏洩軽減計画を策定する。その中には、漏洩水の捕集及びサイトからの除去も含まれるだろう。 当初エンタジー社が彼らに漏えいを知らせるまでに数週間もかかったことにいらだちをつのらせていた地元の選出議員や緊急事態管理局は、何らかの対策を要求していると語った。 ロックランド郡長のC・スコット・ヴァンデルホフの報道官であるC・J・ミラーは、ヴァンデルホフは、原子炉により近い地点における初期の試験サンプルのトリチウムの濃度が、許容レベルの10倍に達していたことを特に懸念しているのだと述べた。 「それがインディアン・ポイントの所有地内であるにせよ、そこは人口密集地近くに位置しており、ハドソン川堤防の右手にある」とミラーは述べている。 ロックランド郡の役員達は、昨日の関係省庁の電話会議において、ハドソン川の水の検査を要求した。また、州の環境保護局を直ちに参加させるよう求めたウェストチェスター郡の要求を支持した。 「いかなるレベルにせよ地下水の汚染は受け入れがたい」とミラーは述べた。「さらに、我々はそれがどのぐらい長く続くのかわからないのだ」 エンタジー社とNRCの役人は、昨日、ニューヨーク州の環境保護局及び、漏洩のモニタリングを行っている州の他部局にも会議を公開したと述べた。 「我々の行っている作業を監視しようとする全ての人々を歓迎する」とエンタジー社のスポークスマン、ジム・スティーツは述べた。 |