テネシー州・セコヤ原発の上蓋損傷は警戒を引き起こす
Tenn. Reactor lid's damage triggers alert


2003年1月18日
John MangelsとJohn Funk
Plain Dealer Reporters

翻訳:美浜の会&グリーン・アクション




 テネシー州のセコヤ原発は、冷却材漏洩から原子炉上蓋のわずかな損傷を発見し、連邦規制当局が腐食の脅威について昨日、国内原発に再び警告するのを促した。

 破壊的であるがあまり理解されていない潜在的な冷却材漏洩の問題に関するNRCの関心の高まりは、昨年起きたオハイオ州のデービス・ベッセ原発の事故が主な理由である。冷却材漏洩からおこる腐食が、数年間かけて厚さ6.5インチの鋼鉄製の上蓋にパイナップルサイズの貫通穴をあけていたことを3月に作業員達が発見した。唯一、薄いライナーだけが、原子炉からの漏洩と、原発の緊急システムを厳密に試すことから、高線量の冷却材を守った。

 デービス・ベッセ原発の大失敗は、数回の調査とNRCが自らの監督責任をどのように扱うか、とりわけ漏洩と腐食を発見するために原発に要求される検査の徹底さと頻度について再考を迫った。

 損傷は、12月26日、チャタヌーガ市に近いテネシー峡谷公社のセコヤ原発の2基のうち1基の上蓋で見つかった。この損傷は、デービス・ベッセ原発で見つかったのに比べて小さかった。トレド地方のデービス・ベッセ原発では、冷却材の重要な成分であるホウ酸の腐食効果で、上蓋から重さ35ポンドの大きな塊を失った。[デービス・ベッセ原発を所有する]ファースト・エナジー社は、交換用上蓋を購入しなければならなかった。[上蓋購入費用は]その会社が停止中の原発を修理するのに費やしている4億ドル以上の一部分である。

 比べてみると、冷却材漏洩からの酸は、セコヤ原発の上蓋にわずかなくぼみを刻んだだけだった。細長い溝は、長さ約4.5インチ、幅0.5インチ以下、深さ0.1インチで、上蓋を修理する理由にするほど大きくなかった。

 「それは少しザラザラしているだけのようだ」とNRCの原子力規制部門のビル・ベッカーは述べた。

 それにもかかわらず、損傷がもたらした通常とはちがう状況は、NRCの関心を喚起し、国内69基の軽水炉に対する昨日の警告をもたらしている。このような警告は、たんなる情報的なものだけで、NRCの優先度の高い告示とは違って、特別な対策を要求していない。

 デービス・ベッセ原発に関する告示や情報通知と同じように、昨日の注意報告は、原発操業者は、最小の冷却材漏洩でさえも、自分勝手であってはいけないと警告した。

 「これは確かに新しいことで」、小さい漏洩は比較的害がないという「現在の仮説への挑戦だ」とベッカーは述べた。

 デービス・ベッセ原発と同じような原発は、高圧のもとで運転しており、そのため、超高温の炉心をひたしている冷却材は沸騰せず、核燃料棒を溶融させないのである。圧力のために、冷却材がパイプの接合部でしみ出るのは珍しいことではない。

 冷却材漏洩が、600度の原子炉上蓋に打撃を与えるとき、きまって、冷却材は瞬時に蒸気に変わり、ポップコーンのようなホウ酸結晶を残す。デービス・ベッセ原発の損傷が明るみにでるまで、原子力産業とNRCの従来の知見は、乾燥した酸化物の残留物は、金属上蓋に対して比較的有害ではないというものだった。

 しかし、制御棒を上蓋の内外に通すノズルの小さなクラックからの冷却材のしみ出しは、デービス・ベッセ原発の作業員達が原子炉頂部に数年がかりで築いた大量の乾燥した酸化物を再度湿らせた。濃縮酸化物が丸天井に貫通穴をあけるのに約4年かかった。

 この状況は、セコヤ原発とは幾分違った。セコヤ原発では、5月から12月にかけてパイプの接続金具の漏洩により、冷却材が保温材を通じてしたたり落ちており、約20ポンドの乾燥したホウ酸を残す結果となった。何が腐食の活性化を引き起こしたかは、定かでない。

 酸化付着物が再び湿ったのかどうかを含め、「我々はいまだに詳細を検討中である」と、原子力産業界の組織である核エネルギー研究所の技術部長アレックス・マリオンは述べた。

 より大きな問題は、いかに早く腐食が発生するかであると、監視グループである「憂慮する科学者同盟」の核技術者デビット・ロッチバウムは述べた。もし腐食が18ヶ月以内−停止して燃料の再装荷を同時に行う次の定検までの典型的な期間にあたる−に深刻な損傷を引き起こすことが可能ならば、NRCはより短い運転期間を命令しなければならないかもしれないと、ロッチバウムは述べた。