「原子炉容器上蓋の予防保全対策」および12月5日の交渉を踏まえた
関西電力の上蓋管台に関する質問書



関西電力株式会社社長 藤 洋作 様
                                                     2003年1月14日

1.上蓋管台部での渦電流探傷検査の精度は、内側にスリーブを持ち外側に容器上蓋のあるような実機条件で確認されたものですか、それとも管だけの状態で確認されたものですか。
また、そのようなことが分かる文献を提示してください。

2.「原子炉容器上蓋の予防保全対策」に記載されている検出性試験では、スリット幅は100μmとされています。しかし、実際の亀裂の幅はそれよりも大幅に小さく、傷の状況は大きく異なります。また実機では、スリーブ等の影響が雑音として信号に乗ってくるため、精度は低下するものと思われます。しかし、これらの点については「幅も小さく」との一言だけで、何の説明もなされていません。

(1)このような試験結果から、なぜ「深さ3mm以上であれば検出できる」という結論になるのか、3mmの根拠を具体的に説明してください。

(2)この検出性試験は、何年に実施されたものですか。

3.次年度以降に予定されている高浜3・4号機、大飯3・4号機の検査では、新しい渦電流探傷検査機器を使用する予定とのことですが、それは事実ですか。新型の渦電流探傷検査機器の精度および型番・名称を明らかにしてください。

4.貴社はこれまで、上蓋を交換していない4基の原発について「検査の必要性は感じていない」と述べてきました。しかし、12月5日の交渉では、高浜3号機の上蓋は、今年12月の定検で検査すると説明しました。残り3基(高浜4号機、大飯3・4号機)の上蓋はいつ検査する予定ですか。

5.高浜3・4号機、大飯3・4号機より運転時間が短く、炉頂部温度が低いフランスの原発で上蓋にひび割れが生じています。これについて貴社は「フランスの方が応力が高かったと考えられるため」、上記4基では損傷は発生しないと説明しました。また、このことは、「定性的にしか説明できず、定量的な評価はできない」と答えました。そこで再度おたずねします。貴社が根拠にしている「フランスの方が応力が高い」ことについて、その後、定量的評価を行いましたか。そうであれば、その評価について具体的に説明してください。

6.貴社が11月15日に発表した「原子炉容器上蓋の保全対策」の最後に「検査の判定基準」の項目があります。12月5日の交渉では、この「検査の判定基準」とは「検査の合否を判断する基準」との説明がなされました。しかし検査の合否判定は国が決めることであり、検査を受ける側の貴社が「検査の合否を判断する」とは、不可思議なことです。

(1)そこで、再度、「検査の判定基準」とは何を指すのかを明らかにしてください。

(2)上記「判定基準」として、3つの考え方が示されています。それぞれについて、違いを明らかにしてください。

2003年1月14日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル1階 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581



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