OSPAR会議の加盟国が、6月末にコペンハーゲンで、会合をもつだろう。デンマーク提案のセラフィールドとラ・アーグの即時再処理中止動議が、議事日程にある。この動議は、まだ十分な支持を得ていない。 (530.5169) WISE アムステルダムー北東大西洋の海洋環境保護会議(OSPAR会議)の1998年の首脳会議での原子力産業に関係する主な決定は、ヨーロッパの使用済み燃料再処理産業から北東大西洋への放射能垂れ流しを減らすことだった。ラ・アーグと同様にセラフィールドは、2020年までに、技術的に可能な「ほぼゼロ」にまで海への垂れ流しを減らさなければならない。そして、政府は、「2000年までに」垂れ流しを事実上減らすよう「積極的に働く」だろう。 OSPARの差し迫る目的は、セラフィールドとラ・アーグでの再処理中止の開始のようだった。ひとつだけ疑問が残っている。いつこれを実行するのか。セラフィールドでの即時再処理中止を求めるアイルランドの動きが、デンマークのような北欧諸国内で支持を得た。アイルランドは、再処理中止と関連する事業の中止を要求するだろう。とりわけ、セラフィールドの即時閉鎖を要求するだろう。アイルランドの立場への支持は、6月26日から30日に、コペンハーゲンで開催されるOSPAR2000の開催前に、イギリス政府への圧力を増しているようである。アイルランドとデンマークのほかに、4カ国(フィンランド、アイスランド、ノルウェイ、スウェーデン)が、セラフィールドとラ・アーグの閉鎖を強く支持している。この数は、少なくとも2倍にならなければならない。再処理閉鎖を強制するには、OSPAR加盟16カ国のうちの4分の3にあたる、12ヶ国が、この動議に賛同しなければならない。しかし、OSPARの規則によれば、フランスとイギリスには、動議を拒否する権利がある。しかし、デンマークとアイルランドの動議への広範な支持があれば、拒否することが難しくなるだろう。 この提案が認められた場合には、この結果は、広く波及し、積極的なものとなるだろう。例えば、放射性廃液の海への垂れ流しの中止。全ヨーロッパ中や、日本から再処理工場への核輸送がキャンセルされなければならなくなる。そして、廃棄物量の拡大をやめさせる。再処理事業が廃棄物を初めに搬入された廃棄物の20倍にも増やしている。 とりわけ、ドイツ政府の態度が、注目される。OSPAR会議へのドイツ派遣団は、ユルゲン・トリティン環境大臣が率いている。トリティンは、ドイツ政府と相談しなければ、いかなる決定もしないことは、明らかである。これまでドイツは、デンマークの提案に賛同するかどうか、最終的な決断をしていない。ドイツ政府は、ドイツの電力会社が、セラフィールドとラ・アーグと膨大な注文をしているという、圧力をうけている。ドイツの注文がなければ、セラフィールドとラ・アーグの再処理工場は、ほとんど生き残れないだろう。また、ドイツの原子力産業は、外国に核の「ゴミ収集人」がいることを歓迎している。再処理工場がなければ、すべての使用済み燃料をドイツ国内に貯蔵しなければならない。ドイツのNPPsから約4540トン以上の高レベル廃棄物が、再処理のためにラ・アーグに、650トンがセラフィールドに搬出された。ドイツは、ラ・アーグの最大の顧客であり、セラフィールドでは、日本に次ぐ2番目の顧客である。 ドイツのように、オランダ政府は動議への支持について、最終的な決断をしていない。これまでのところ、オランダがどうするかは不明である。オランダ代表団の最終責任者である運輸領海事業の大臣の同僚のEls de Witが、オランダ国内の論争で、「緊迫している」ことについて話した。6月初めに、異なる部署で、放射能問題に責任のある環境大臣(VROM)が特別出席して、審議されるだろう。NGOの発言によって、決められるだろう。オランダの立場は、1998年のOSPAR会議で作成された2020年までにほぼゼロにまで垂れ流しを減らすという戦略上にあると、彼女は話した。国会では、社会民主党(PvdA)のエネルギー・スポークスマンJelle Feenstraが、再処理中止を要求しているデンマークとアイルランドに賛同しているようである。自由民主党(D66)のMarijke Augusteijnは、今のところ再処理工場に使用済み燃料を搬出するという選択肢はないと考えている。国会委員会の最近の審議で、Jan Pronk(PvdA)環境大臣が、Dodewaardの使用済み燃料をセラフィールドのどこかに今秋に輸送すると発表した。オランダ議会の与党のように、環境大臣も、セラフィールドの所有会社BNFLを困らせている一連の問題が会議の再開までにやむだろうと考えている。 OSPAR会議は、1992年9月28日、パリでの調印式で始まった。会議は、ベルギー、デンマーク、ノルウェイ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリス、ルクセンブルク、スイスによって調印され、批准された。 原子力産業界内でさえ、核のゴミの再処理中止を方向付ける指摘が、より強く現れている。最近のBNFLの最大の顧客である、ブリティッシュ・エナジーは、再処理の即時中止を要求した。 ブリティッシュ・エナジーのマイケル・カーワン財務理事は、「我々に関する限りでは、再処理は経済的にナンセンスで、すぐにやめるべきだ。」と、述べた。ブリティッシュ・エナジーは、困っているBNFLと40億の契約をしている。これは、THORPのベースロードの3分の1に相当する。ブリティッシュ・エナジーは、使用済み燃料の直接貯蔵に変更したら、費用が3分の2に削減できると考えている。ブリティッシュ・エナジーの喪失は、アメリカでのBNFLの大きな失敗と同時に起こった。アメリカ・エネルギー庁(DOE)は、ワシントン州のハンフォード・サイトでの高レベル廃棄物ガラス固化の金になる契約をやめた。この決定は、BNFLの計画が、1998年の69億ドルから今年の152億ドルに、サイト内ガラス固化施設の設計と建設と操業の費用見積もりが、2倍以上になったのをうけてのものである。この契約は、地中の177個のタンクに貯蔵されている5500万ガロン(208000立法メートル)の液体高レベル廃棄物を処理して、固化するものだった。アメリカのBNFLは、ここ2、3週間で2回目の打撃を受けている。DOEは、イエローストーン国立公園内のアイダホ降下サイトにゴミ焼却炉建設の契約をBNFLとしていたが、DOEは、公衆の抗議を受けて、この計画を中止した。(WISEニュース527.5152「BNFL chairman:look at the unthinkable」を見よ)MOXねつ造スキャンダルとセラフィールドの安全問題の後に、アメリカとの契約の失うことは、イギリス政府のBNFL部分民営化計画に、さらに暗い影を落とすことだろう。 |