イギリス最大の原子力発電会社は、核廃棄物を再処理に送るのを中止するつもりであると政府に伝えていた。 ブリティッシュ・エナジー社は、使用済み核燃料を地下貯蔵施設に送る前に、放射能が減少する間、イギリス中の原発で約20年間貯蔵することによって処理したいと述べている。 東キルブライドに拠点を置くこの会社は、イギリスの電力の約25%を発電していて、イギリスの原発は、スコットランドではトーネスとハンターストン、イングランドではハートルプールとサイズウェルとブラッドウェルとダンゲネスとヒンクリーポイントにある。また、アメリカとカナダでも原発を操業している。 2006年までBNFLとの再処理契約があるにもかかわらず、ブリティッシュ・エナジー社は、サイズウェルB原発からの使用済み核燃料輸送をすでに中止していていることを明らかにした。 ブリティッシュ・エナジー社・取締役社長、ロビン・ジェフリーは、イギリスでの活動が利益をうまないならば、スコットランドからアメリカに移ることになるだろうと警告した。この動きは、政府の廃棄物処分政策に対する大きな挑戦である。 ウェストミンスター[訳注:霞ヶ関のような意味で、イギリスの政治の中心地]と原子力産業は、長期貯蔵が安全であると公衆を説得するという大きな問題に直面している。4年前、カンブリア地方のセラフィールドに貯蔵施設を建設する計画が拒否され、イギリス中の他の投棄場所候補の公表は、騒ぎを引き起こした。 ブリティッシュ・エナジー社の計画は、環境大臣マイケル・ミーチャーに解決策を提案するよう圧力を加えることになるだろう。先週、サンデイ・タイムスは、15基の新原発が必要と結論付けた政府のエネルギー政策レビューを暴露した。 ジェフリー氏は、サイト内貯蔵という方法は、再処理よりも7倍も安くあがるので、すでに我が社の北アメリカの原発で取り入れられていると述べた。 「再処理は、まったく非常に高くつく使用済み燃料取り扱い方法であるというのが、我々の見解だ。」とジェフリー氏は述べた。「アメリカの直接処分で、1メガワット/時あたり70ペンスであるのに対して、イギリスの再処理費用は5ポンドである。我が社が国有企業であったときに、BNFLと(セラフィールドでの再処理)契約を結んだ。今、我々が言っているのは、そんな余裕はないということだ。」 BNFLと契約を結んで以降、顧客の電力料金は30%値下がりし、使用済み燃料取り扱い費用は11%増加したと、ブリティッシュ・エナジー社は述べている。 ジェフリー氏は、直接処分は、結果としてプルトニウム備蓄にならないので、環境の面でも再処理よりも優れていると主張した。 イギリスがかつて再処理の選択肢を選んだ主な理由は、プルトニウムを使える「高速増殖」炉を作るという原子力産業の当初の意向があったからだが、いまではそのような計画は放棄されていると、ブリティッシュ・エナジー社長は述べた。 圧力団体である「地球の友」のエネルギー活動家、ロジャー・ハイマンは「ロビン・ジェフリーが、再処理が高くついてお金を無駄にすると言っているのは正しいが、投棄場所に捨てることができると言っているのは間違っている。これは、原子力産業が廃棄物取り扱いの戦略を持っていないことを示している。」と述べた。 |