放射能漏れ施設は永久に閉鎖とセラフィールドは言う
Close nuclear leak plant for good, says Sellafield

ソープ再処理工場は決して再開すべきではない─責任者
Thorp reprocessing should never be restarted - boss


オリヴァー・モーガン 産業担当編集者
オブザーバー 2005年5月15日(日)


http://politics.guardian.co.uk/green/story/0,9061,1483998,00.html


カンブリアのセラフィールド・サイトの所有者である原子力廃止措置機関(NDA)は、プルトニウムとウランを含んだ高放射性の液状の核燃料の漏えいの後、その主要な再処理工場を永久に閉鎖することを望んでいる。

その動きは、英国の再処理計画に早期の終了をもたらすだろう。英国の再処理計画は、民事のエネルギー需要のためにウランを再利用する一方で、英国の核抑止力のためにプルトニウムを供給しようと60年代に考え出された。

いずれにしても、硝酸に溶かされた約20トンのウランおよびプルトニウム燃料の漏えいは、核燃料再処理工場(ソープ)を何か月間も閉鎖しておくだろう。

しかしNDAの上級情報筋は(NDAは英国中の20のサイトで核施設を廃炉にするために設立された政府機関)、ソープ再処理工場を閉鎖しておくことが最も経済的な選択肢であると現在考えており、またその閉鎖は、政府が開始することを切望していると多くの人が考えている新しい原子力発電所の建設をめぐる議論の的から、常に論争を呼び起こしていた再処理を除外するという選択肢でもあると考えている。

「その見解は、ソープ再処理工場は運転再開すべきではないということです」と上級の情報筋は述べた。

運転したとしても、その工場が利益を出さないことを職員達は指摘する。ソープ再処理工場の数値は、NDAの2005−6年の計画の中で区別されていない。しかしながら、公表された数値は、22億ポンドの総予算の中で、NDAはBNFLから受け継いだ商業運転による約10.8億ポンドを受け取ることを示している。この中で、NDAは、世界中の核燃料の再処理および輸送から6億3510万ポンドを得ることを期待している。

この数値の大部分は、ソープ再処理工場の操業によるものだろう−その操業は、日本、ドイツおよび他の海外顧客からの契約に加えて、ブリティッシュ・エナジー社の原子力発電所の使用済み燃料を再処理するものだ。しかしNDAはまた、セラフィールドから大きな費用を背負い込む−それは2005−6年で7億2740万ポンドになる見込みである。さらに、分離されたプルトニウムおよびウラン用の最大3つの新しい貯蔵施設が必要であり、各々ほぼ2億ポンドのコストがかかる。

一方、NDA職員は次のように述べた:「政府は新しい発電所について考え始めています。その見解は、再処理に依存する新世代の原発があるべきだと主張することはできないだろうということです。」

ソープ再処理工場を閉鎖することは、「高放射性の液体」(ウランとプルトニウムを含む使用済み核燃料)の膨大な備蓄を削減するのにかかる時間を4.5年縮小するだろう。原子力規制当局は、2015年までに扱われる残務を強調した。また、ソープ再処理工場の閉鎖は、アイリッシュ海への排出を大幅に削減するだろう、それはアイルランド政府との持続的な緊張の種だった。

NDAの最高責任者イアン・ロックスバラは、閉鎖に関する決定は政府の責任だろうとオブザーバー紙に語った。彼は次のように付け加えた:「NDAは、秋までに、セラフィールドを含めて、それが操業する20のサイトの計画を作らなければなりません。最近の出来事[ソープ再処理工場の漏えい事故]は、明らかにそれを前進させました。」

一方、ブリティッシュ・エナジー社の情報筋は、民営化された原子力運転会社はなんらかの新しい原子力発電所を運転したい、しかしどんなプロジェクトにも主要な投資利害関係を持つことは望んでいないと示唆した。エネルギー市場が不安定であることを考慮すると、個人投資家が新世代の原子炉の建設に出資する意欲をもっているかどうかは疑わしい。

その情報筋は、新しい発電所の運転は所有権や資金調達から分離しておくべきだと考えている。


[訳者注]
原子力廃止措置機関(NDA:Nuclear Decommissioning Authority)は、今年4月1日に設立された省庁から独立した公的機関。NDAは、BNFLとUKAEA(英国原子力公社)の所有する諸施設を引き継ぎ、マグノックス炉の廃炉や除染(クリーン・ナップ)等に関する法的・財政的責任を負う。NDAは、ソープ再処理工場からの収益を、これら施設の除染等の費用にあてることを想定している。