「深刻な過失と怠慢」に対して運転会社BNGに有罪判決
ソープ再処理工場の事故で50万ポンド(約1億円)の罰金を科される
BNG, Guilty of 'Serious Faults and Failures', Fined £500,000 for THORP Accident.

2006年10月16日 COREプレスリリース
http://www.corecumbria.co.uk/


カーライル刑事裁判所において今日、セラフィールドのソープ再処理工場での昨年4月の事故に対し、英国原子力グループ(BNG)に50万ポンドの罰金が科された。この事故は国際原子力事象評価尺度(INES)においてレベル3に分類された。

BNGは施設の所有者である原子力廃止措置機関(NDA)への契約に基づき、ソープ再処理工場を運転している。BNGは今年初め、ホワイトヘブン下級裁判所における最初の審理で健康安全局(HSE)によって告訴された3つの罪状について罪を認めた。原子力施設法1965に基づく罪状は、セラフィールド施設の許可条件への違反とも関係しており、HSEによって次のように要約された。
(i)指示命令書を作成し、それに従うことをしなかった。
(ii)安全システムがうまく機能している状態にあることを確かめなかった。
(iii)放射性物質が閉じ込められること、もし漏えいが起こっても検出され通報されることの確認を怠った。

BNGへの罰金を科するに際して、オープンショー判事は、BNGが罪を認めたので罰金75万ポンドが50万ポンドに引き下げ、これは3つの罪状それぞれに対する30万ポンド、10万ポンド、10万ポンドの罰金からなると法廷で述べた。さらに彼は、BNGが漏えいを、8ヶ月ではなく「おそらく数日のうちに」検出しなかったことは有罪判決に値する深刻な怠慢であると述べ、事故を引き起こした「累積する怠慢」と「警報を大目に見る作業員の文化」を法廷に思い出させた。

BNGの答弁で提示された減刑措置をおおむね却下して、オープンショー判事は、事故の危険性と重大性はゼロであった(臨界に至らず、環境への影響も負傷もなかった)ので、全体として罪は重くないというBNGの申し立てを完全に退けた。彼はBNGに総計68000ポンドにのぼる訴訟費用の支払いを命じ、会社に28日の支払猶予を認めた。

2005年4月20日にHSEの原子力施設検査局(NII)に報告されたこの事故は、83000リットルの高レベル放射性の溶解された核燃料と硝酸とが検知されないまま、推定で8ヶ月にわたり、工場の清澄セル内の破損配管から流出する事態を引き起こした。工場は即時閉鎖され、それ以来閉鎖したままである。18ヶ月再処理契約分が保留状態になっていたこの閉鎖の間に、BNG自身の事故調査委員会に従いBNGが課した18の勧告に加え、NIIから2つの改善通達と49の勧告がBNGに出された。

刑事裁判所の判決後、COREのスポークスマンであるマーティン・フォワードは次のように述べた。「今日の罰金は事故に直結したひどい怠慢のレベルを反映している。適切な安全レベルを維持しそこなったことに対して8月にNDAが科した200万ポンドの罰金と合わせて、BNGが自ら招いた大失敗から学ぶことを我々は希望する。しかし、我々はあまり期待し過ぎてはいない。なぜなら、BNG自身の調査委員会が結論したように、セラフィールドの作業員の文化は同様の事故が将来発生しないことを保証し得ないからである。」

事故時(ソープ再処理工場の11年目)、この工場は計画よりほぼ3年遅れて運転されていて、最初の10年の運転で完了するよう当初に計画されていた使用済み燃料7000トン(ベースロード)のうち、たった5729トンが再処理されただけであった。未処理の使用済み燃料には、700トン以上の海外からの燃料とブリティッシュエナジー社(BE)の改良型ガス冷却炉発電所からの英国の燃料が含まれる。もしこれらの「ベースロード」契約が完了した時にはさらに多くの燃料(ポスト・ベースロード)、大半はBE社からの燃料がソープ工場で再処理される契約がなされるであろう。

工場の再開は、すでに何度も計画されているが、今では2007年初めごろに設定されている。ただし、要求されている全ての勧告がNIIの満足とNDAの同意が得られるように「始末が付けられている」ことを条件として。しかしながら、ソープ再処理工場の将来は現在NDAと政府によって綿密に再吟味されている状況にあり、NDAと政府が、工場でのさらなる再処理に正当性があるかどうかに関して最終決定を下すことになる。

事故にかかった費用はまだ十分定量化されていないが、5000万ポンドから数億ポンドまでさまざまに見積もられてきた。ソープ再処理工場の損傷セルの(修理ではなく)改修は現在完了しているが、損傷した装置と配管を迂回することによって、最終的には工場の再開を認めさせるであろう。システムが変更された結果として、ソープ再処理工場の将来の処理能力は、設計仕様よりもかなり低く制限されると予想される。

マーティン・フォワードは続けて述べた。「使用されることになっているシステムと配管が、金属疲労や他の応力が原因で事故の間に非常に広範に損傷した核施設と全く同様の経歴を繰り返すことを想定して、我々はソープ再処理工場の再開を非常に懸念している。工場は当初設計されたとおりに再び運転されることは決してありえないので、この『金のかかる厄介者』を生き返らせる十分な根拠はない。我々は即時閉鎖を要求し続ける。」