集会基調


1.東海村臨界被曝事故は、日本の原子力史上最大、チェルノブイリ事故以降最大の事故である。2人の労働者が死亡し、1000人を超える住民・労働者が被曝した。しかし、政府・科技庁は、被曝被害を切り捨て、事故の幕引きを完了させようとしている。
  一方、私達は、この1年間の運動を通じて、ついに科技庁のデータ隠しの証拠をつかんだ。また、阪南中央病院の調査委員会と地元「被害者の会」の連帯した力によって実現した実態調査は、被害の深刻な実態を明らかにしつつある。
  これら具体的に明らかになったデータ隠しと被害の実態をもって、新たな運動を開始しよう。来月の科技庁交渉を成功させよう。事故の真相を明らかにし、被曝被害に対する健康管理・補償を勝ち取っていく力としよう。

2.集会では、@政府・科技庁のデータ隠しの証拠と、それが氷山の一角であることを推測させる諸事実等について明らかにし、議論を深めよう。A特別報告として、7月に行われた阪南中央病院の「予備調査」の報告を行っていただき、被曝被害の実態について認識を深めよう。来週から始まる本調査への支援・協力を行っていこう。Bこの調査のもとになった線量評価の基本的な考え方について説明を行う。CMOX闘争では、現在の焦点である、東電・福島T−3MOX使用差止裁判について、東京から、中心的役割を担っておられる原告をお招きして、裁判闘争の争点と進行状況等について報告を受け、連帯を強めよう。対関電のMOX闘争については、新たに浮上したBNFLとの新契約を阻止する運動について報告し、議論を深めよう。

3.10月11日、茨城県警は前JCO東海事業所長等6名を業務上過失致死容疑で逮捕した。亡くなられた二人と共に作業を行い大量の被曝を強いられた横川さんは、逮捕された。一方、社長は逮捕を免れ、親会社の住友金属鉱山も無傷となった。県警の今回の逮捕は、最高責任者の責任は一切不問にし、事故の幕引きを狙ったものである。
  事故の最大の責任を負うべき政府・科技庁・安全委員会は、すべての責任をJCOの作業員に押しつけ、事故を引き起こし、多くの住民・労働者を被曝させた自らの責任を一切回避している。10月13日、科技庁は一時滞在者等229人の被曝推定作業を終了し、健康管理検討委員会は解散した。御用学者を総動員して、住民・労働者の被曝線量を最大限に値切り、50ミリシーベルト以下では健康影響なしとして、被曝被害を切り捨てた。政府は、「放射線障害であることを被害者自身が証明せよ」として、健康被害に対しては1円たりとも補償を行っていない。
 
4.事故1年を経て、政府の強引な事故の幕引き等に対し、地元では怒りと不信が強まっている。「臨界事故被害者の会」は、来週から始まる阪南中央病院の実態調査(本調査)を全面的にバックアップするため、チラシ入れ・調査票の配布等々全力を挙げて取り組まれている。風評被害に対する賠償すら事故から3ヶ月のみとするJCOと国の賠償に対し、地元食品業者は損害賠償請求の訴訟に踏みきった。地元から伝えられる声によれば、住民の意識は、徐々にではあるが確かに変化しつつあるという。「被害者の会」との連帯を強めていこう。

5.私達は、事故直後から1年間、膨大な事故調査資料と格闘し、政府・科技庁の被曝被害の過小評価に対し批判を行ってきた。綿密な調査・批判活動と、地元から寄せられた資料によって、ついに、科技庁のデータ隠しの決定的証拠をつかんだ。事故当日、本米崎小学校で旧動燃が測定していたγ線の定点連続測定値には、子供達が下校した時刻をはさんで1時間25分もの空白があった。私達の質問書に対し科技庁は、「モニタリング車の配置換えのため、その間のデータは存在しない」と回答していた。しかし、「あるはずのない」4時30分の測定値が記載された資料が存在していたのである。その測定値は高い値を示している。
  このデータは、政府のデータ隠しを証明するものである。さらに、本米崎のデータ隠しは、多くのデータ隠しの氷山の一角である。そのことを裏付ける資料も明らかになってきた。1年を経て、まさに新たな運動の出発である。自らに都合の悪いデータを隠し続け、その上で行われた事故調査・線量評価そのものを一からやり直すよう要求しよう。隠し持つ全てのデータを公開させ、事故の真実の姿をあぶり出していこう。それを通じて、国の責任を徹底して追及し、健康被害に対する健康管理・補償の要求を勝ち取っていこう。

6.阪南中央病院「被曝線量・健康実態調査委員会」と「被害者の会」の連帯した力によって実現した「予備調査」によって、想像を超える深刻な健康被害の実態が明らかになり始めている。
  調査対象となった住民の中で、半数以上もの人々が、倦怠感や、体調の異変、のどの痛み、頭痛、息苦しさなど、様々な自覚症状を訴えている。急性的症状とでもいうべき、深刻な被曝被害を強く示唆している。政府・科技庁の「3人以外に被害なし」との主張は、事実でもって覆されている。
  さらに、綿密な行動調査の結果、推定被曝線量は予想以上に高く、多くの人が非常に高い線量を浴びていたという事実が明らかとなった。最高の人で、200ミリシ−ベルトに近い被曝。100ミリシーベルトを超えた人は3人。5人が50ミリシーベルトを超える被曝を受けた。科技庁の線量評価の平均7倍もの被曝線量となる。被曝した住民の最高は21ミリシーベルトとする科技庁の評価は明らかに過小評価である。
  さらに、線量と被害の相関も傾向として明らかとなり、線量の高い人ほど被害が深刻だという事実が確認されている。
  来週から本調査が開始される。さまざまな形で、支援・連帯を行っていこう。

7.MOX反対運動の目下の最大の焦点は、東電・福島T−3のMOX燃料使用を阻止することにある。高浜4号MOX使用差止裁判を引き継いで、8月9日、福島地方裁判所に福島T−3MOX使用差止裁判が提訴された。福島県民214名を含む1107名の原告団が結成され、裁判闘争が闘われている。裁判の中心的役割を担っておられる原告を迎え、裁判闘争の争点と進行状況について報告をしていただき、連帯を深めよう。
  さらに、対関電のMOX闘争では、BNFLの新MOX工場SMPとの新契約を阻止することが新たな課題となった。BNFL社長来日にあわせた即刻の抗議行動など、運動の状況と意義について討論を深めよう。

8.政府・科技庁のデータ隠しの証拠、阪南中央病院の実態調査によって明らかになりはじめた被害の実態、線量過小評価を示す諸事実。これら、積み上がり始めた諸事実をもとに、政府・科技庁の被害切り捨てを厳しく追及していこう。
  隠し持つ全てのデータを公開させ、事故調査・線量評価そのものを一からやり直させよう。これらを通じて、健康管理と被曝被害に対する補償を実現させていこう。
  来月に科技庁交渉を行おう。交渉に向けた準備に取りかかろう!

10月11日午後4時15分、岩佐嘉寿幸さんが慢性呼吸不全のため亡くなられました。享年77歳でした。岩佐さんは、原発内で被曝し、被曝労働の実態を訴え、「岩佐裁判」を闘ってこられました。岩佐さんの闘いとその魂に学び、それを継承し、東海村臨界事故の被曝被害切り捨てを許さない、新しい闘いに全力をあげよう。



                      ス ロ ー ガ ン 
             ★科技庁のデータ隠し糾弾!
             ★政府・科技庁は隠し持つ事故データを全て公開せよ!
             ★事故調査・線量評価を一からやり直せ!
             ★住民・労働者の被曝被害に対する健康管理・補償を行え!

             ★東電MOX裁判闘争と連帯しよう!
             ★関電とBNFLの新MOX契約を阻止しよう!
             ★フランス・コジェマとの新たな再処理契約を阻止しよう!


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