政府・科技庁による被曝隠しと線量過小評価を示す諸事実
データ隠しの決定的証拠−第3のピークあらわる!

                                                2000.10.15


目  次

1.第3のピーク登場!ついに暴かれた政府・科技庁によるデータ隠し

2.4時半前後の県測定値(16:17〜16:33)は、第3のピークよりも更に高線量−もっと大きな山がまだ隠されている。

3.科技庁は旧動燃の測定データをまだまだ隠している!


 政府・科技庁によるデータ隠しの決定的証拠が明らかとなった。1時間25分の空白の中に、第3の、しかももっとも大きなピークが隠されていたことが判明したのである。
 旧動燃が本米崎小で実施した定点連続測定データのうち、15:30から16:55までの1時間25分間、データの存在しない空白の時間が存在する。データは事故当日13:55から翌日17:01まで、ほぼ正確に10分間隔で測定されており、1時間25分もの空白はあまりにも不自然である。
 必ずデータが隠されているに違いない。この確信に基づいて、われわれは科技庁に対し、データの公開を要求してきた。
 しかし科技庁は「モニタリング車の配置換えのため1時間25分の空白ができた」と、アリバイを主張、データの存在を否定し続けてきた。
 ところが、地元から寄せられた資料によって、空白の15:30〜16:55の間、ちょうど子供達の下校時間である16:30に、4.6μSv/hという実測値が存在していたことが確認されたのである。
 しかも、この数値は、科技庁の線量評価式の約9倍以上という高い線量率であり、これまでに判明している2つのピークよりもさらに高い、第3のピークとなることが分かった。
 政府・科技庁は、高線量を示すデータ=都合の悪いデータを隠すため、嘘に嘘を重ね、「配置換え」などというアリバイまで、でっちあげてきたのである。極めて悪質なデータ隠しである。

 しかし、これは氷山の一角に違いない。もっと多くの「都合の悪い」データを隠し続けているということを推認させる数多くの諸事実がある。
 都合の良いデータだけを使った線量評価など到底信じられない。新たに判明した第3のピークを突破口に、政府・科技庁にデータ隠しを認めさせ、隠し持っているすべてのデータを公開させよう。事故調査・線量評価を一からやり直させよう。
※実測値の単位はμGy/hとなっていますが、γ線の場合、ほぼ1μGy=1μSvとなるので、ここではわかりやすくするため、全てμSv/hとしています。

1.第3のピーク登場!ついに暴かれた政府・科技庁によるデータ隠し

 これまで科技庁が、嘘に嘘を重ね、必死になって隠し続けてきた定点連続測定データの第3のピークの存在がついに判明した。政府・科技庁によるデータ隠しの一端が、具体的な形で明らかになった。
 
@旧動燃が本米崎小学校で実施したガンマ線定点連続測定データについて、科技庁が、事故調査委員会資料という形で一般に公表しているのは、9月30日13時55分から、同日18時41分までであった。【資料1】



Aところが、旧動燃のホームページでは、翌10月1日の17時01分まで測定が行われていたことになっている。【資料2】
 われわれは、科技庁に対し、全測定データの公表を要求(質問書No.3(7/12))。7月18日になって、科技庁は10月1日17:01までの実測値をはじめて明らかにした。その結果、科技庁が2番目のより大きなピークを隠していたことが明らかになった。【資料3】



Bしかし、これで全てのデータが公表されたわけではなかった。9月30日15:30から16:55まで、1時間25分間のデータがすっぽりと抜け落ちていたのである(グラフの黒丸)。われわれは、さらに、この空白に隠された全てのデータの公表を科技庁に要求した(質問書No.4(7/26))。
 これに対し、科技庁は、「測定時間の空白は、モニタリング車等の配置換えを行ったために生じたもの」とアリバイを主張。10月2日の回答では、「本米崎のモニタリング車をJCO西側に移動、替わりに、大洗から派遣された別の車を本米崎に移動した」などというまことしやかなシナリオまで持ち出し、「データはない」と言い続けてきた。

Cしかし今回、地元から寄せられた資料によって、第3のピークの存在がついに明らかとなった。「モニタリング車の配置換え」などという話は、真っ赤な嘘。科技庁は、第3のピークを隠し、1時間25分の空白を作り出すため、嘘に嘘を重ねてきたのである。



 第3のピークは、データ隠しの決定的証拠である。科技庁にデータ隠しの事実を認めさせ、嘘をついてきたことに対する釈明と謝罪を行わせなくてはならない。隠し持つすべてのデータの公開を厳しく要求してゆこう。


2.4時半前後の県測定値(16:17〜16:33)は、第3のピークよりも更に高線量−もっと大きな山がまだ隠されている。

 今回、明らかとなった第3のピークは、まだまだ隠されている実測値の一部にすぎない。第3のピークよりもさらに高く、しかも、時間的な広がりをもった、台地状の一連の実測データがまだ隠されていると推測させるに十分な根拠が存在する。
 16:17から16:33にかけて、茨城県は、原研那珂東側道路を車で移動しながら13の地点でγ線空間線量を測定している。【資料4】この県の測定時間は、本米崎定点連続測定データの空白の時間帯のちょうど真ん中に位置する。また、JCOから見て、県の測定ポイントは、本米崎小と同様、ほぼ風下方向に当たる。特に測定点@については、JCOから見て本米崎小と同一方向に位置し、しかもJCOからの距離がほぼ1kmと、本米崎小(700m)よりも遠距離にある。本米崎小での線量は、測定点@の実測値より高くなることはあっても低く なることはなかったはずである。

 したがって、県の測定データは、同時間帯の本米崎のデータと十分比較可能であり、下図のように、本米崎の実測値に、県の実測値を重ねて比較する手法は、まだ隠されているはずの実測値を推測するための有効な方法である。
 グラフを見て欲しい。第3のピークをその一部として含むような、台地状の大きな山が隠されているであろうことが、十分な蓋然性を持って推測されるのである。



★政府・科技庁は、なぜデータを隠しているのか?

 4時半前後、かなり高線量の一連の実測値が隠されていることはほぼ間違いない。しかし、政府・科技庁は、これらのデータを、なぜ隠し続けているのか?どのような不都合があるのか?この点が大きな疑問として浮上する。
 このピークをもたらしたものは、希ガスやヨウ素など、放出放射能ではなく、転換試験塔からの直達成分なのかも知れない。もしそうだとすれば、このピークは、この時間帯に、急激に核反応が進んだということを示す証拠となる。そうなれば、γ線に比例して、中性子線も数十倍多く放出されていたことになり、被曝線量も変わってくる。
 政府・科技庁の線量評価は、10:35〜11:00のバースト後、経過時間にともなって線量が減少してゆくというモデルに基づいている。このモデルは、JCO敷地内の粉末加工棟にあったγ線エリアモニターの実測値のみに依拠して作成されたものである。隠されているデータは、政府・科技庁の事故シナリオを突き崩す決定的証拠なのかも知れない。
 しかし科技庁は、後述するように、具体的な検討も何も一切なしで、これらの異常値の原因をすべて放射能雲によるものだとしている。それは本当なのか?県のデータは、南北約1km以上にわたる広範囲で、高い値を記録している。ガスの拡散だけで、はたして、このような現象に説明がつくのか?風向、風速、降雨等の気象条件、地形、転換試験等からの放出形態や放出条件等々、あらゆるファクターを考慮、検討した上で、これら一連のデータが整合的に説明できるのか?政府科技庁はピークの原因について、具体的に説明する義務がある。



3.科技庁は旧動燃の測定データをまだまだ隠している!


 1時間25分の空白の他にも、科技庁が旧動燃の測定データをまだまだ隠していることは確実である。

(1)13:55〜17:00までの定点連続測定データはバラバラ。この時間帯のデータも隠されている

 まず第一に、13:55〜17:00までの定点連続測定データは、測定間隔が大きく、その幅もまったくランダムであり、この時間帯すべてにわたってデータが隠されている疑いが強い。17:00以降、翌日1日の17:01までの測定間隔はほぼ10分刻み(20:11以降は正確に10分刻み)であるにもかかわらず、14:50から15:30までの40分間、14:32から14:50までの18分間、14:10から14:32までの22分間等、大きな間隔が空いている上に、時刻がバラバラである。【資料3】
 モニタリング車に搭載されている測定装置(NaI(TI)検出器)は、時間的に連続した線量率を自動的に計測・記録してゆくことが可能であり、連続的な測定データが必ず存在しているはずである。1時間25分の空白以外にも、データが隠されいるに違いない。

●旧動燃がおこなった本米崎定点連続測定について、チャートによる連続測定、あるいは10分間隔での記録等、具体的な測定方法を明らかにさせなければならない。
●14:10から14:32までの22分間、14:32から14:50までの18分間、14:50から15:30までの40分間等、公表されていないデータを明らかにさせなければならない。

(2)JCO西側近傍でのγ線の測定データはたった一つしか公表されていない

 次に、JCO西側近傍での測定データだが、核種分析のための試料採取は17:51〜22:42まで行われているにもかかわらず、γ線空間線量の測定は17:55のみの1つのデータしか公表されていない(事故調資料第2-8-1号)。【資料1】
 γ線と資料採取は同一のモニタリング車でおこなっていたはずであり、本米崎では少なくとも13:55〜16:03までは並行して試料採取とγ線が行われていた。JCO西側近傍でも、並行してγ線の測定が行われていたはずである。
 また、先に述べたように、本米崎での定点測定データも、事故調資料では一部しか公開されていなかったのである。JCO西側近傍でのγ線測定データは、少なくとも23:00前後まで存在するはずである。

●旧動燃がおこなったJCO西側近傍でのγ線空間線量の測定時刻と実測値をすべて明らかにさせなければならない。

(3)JCO北側近傍でのγ線の測定データも隠されているはず

 さらに、JCO北側近傍での測定データについても、核種分析のための試料採取は17:10〜22:57までおこなわれているが、γ線は17:03〜18:20までの8つのデータしか公表されていない西側近傍と同様、北側近傍についても、23:00前後までのγ線測定データが存在するはずである。【資料1】

●JCO北側近傍でのγ線空間線量の測定時刻と実測値をすべて明らかにさせなければならない。

(4)JCO東側近傍、南側近傍でのγ線の測定データは一切公表されていない

 また、核燃料サイクル開発機構のホームページによると、JCO東側近傍、南側近傍でもγ線空間線量の測定、および試料採取がおこなわれていたと考えられるが、これらのデータについては一切公表されていない。

●JCO東側近傍、南側近傍でのγ線空間線量の実測値、および核種分析の結果をすべて明らかにさせなければならない。

(5)高い値となっている8ポイントについて、測定地点を明らかにさせなければならない

 さらに、事故調資料第2-8-1号にある旧動燃がγ線空間線量を測定した@〜Gまでの8地点であるが、地点Gのデータをはじめ(JCO近傍最大値の約6倍)、高い値となっている。しかし、この8地点については測定地点が明確に示されていない。【資料1】

●旧動燃がγ線空間線量を測定した@〜Gの測定地点を明らかにさせなければならない。




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