本日夜、東電の南直哉社長は、福島第1・第2原発、柏崎刈羽原発で、検査の不正が発覚したことを受け「プルサーマルの大前提である信頼を損ねた。MOX燃料の導入をお願いすることはできない」として「プルサーマル計画を当面延期する」と発表した。これら原発で、シュラウドひび割れ等に関する29件もの記録改ざんがあったという。 東電にプルサーマルを行う資格などない。政府・電力は、即刻プルサーマル計画を白紙撤回すべきである。六ヶ所再処理工場の建設を即刻中止せよ。六ヶ所MOX工場計画を白紙撤回せよ。プルトニウム利用政策・核燃料サイクル政策を撤回せよ。 刈羽村長・柏崎市長・新潟県知事は、「東電を信じる」「国を信じる」と言い続け、東電・国のお先棒を担いでプルサーマルを強行しようとしてきた。品田村長と西川市長は、検査記録の改ざんを行っていた東電に水先案内されヨーロッパに出かけ、「MOX燃料のデータ不正はない」などと派手なパフォーマンスまでしてみせた。昨年の住民投票で明らかになったプルサーマル反対の民意を踏みにじり、プルサーマルを強行しようとしてきたことについて、村民・市民に謝罪し、その政治的責任を明らかにしなければならない。 保安院は、東電の点検記録改ざんを2年前から知っていた。それを今日まで隠し続けてきた。保安院の責任もまた重大である。さらに保安院は、シュラウドにひび割れが存在しながら運転を続けるいることについて、すぐに停止する必要はないと発表した。また、シュラウド等の炉心部の検査は、「直接原子炉の安全性に重大な影響を及ぼすものではないため、定期検査で国が直接立ち会って確認する対象ではない」としている。なんという「安全文化」だろうか。ひび割れ等が確認されている8基の原発(注)は即刻停止し、徹底的に検査すべきである。 今回の検査記録の改ざんは、80年代後半から90年代にかけて行われていた。この時期は、配管のひび割れ・蒸気発生器細管損傷の多発等により、原発の修理費が高騰していった時期である。経済効率をあげるために、修理費を削減するため、記録の改ざんが行われていたに違いない。 現在、電力各社と国は、原発の経済性追求に一層拍車をかけようとしている。国の総合エネルギー調査会は、今年2月から「検査の在り方に関する検討会」を開き、定期検査等の原発の検査制度全般について抜本的に改悪しようとしている。「電力会社の自主性」「コストパフォーマンスの向上」を軸に、原発検査を電力会社の責任に任せ、定検の短縮・配管に損傷があっても事後修理を認める等々を導入しようとしている。今回明らかになった東電の自主点検検査記録の改ざんも、やり放題ということになる。電力自由化の中で、原発の経済性を最優先させ、原発を一層危険な状態で運転しようとしている。定検等の検査制度全般の抜本的改悪に反対しよう。 ★政府・電力はプルサーマル計画を白紙撤回せよ! ★六ヶ所再処理工場の建設を中止せよ!六ヶ所MOX工場計画を白紙撤回せよ! プルトニウム政策・核燃料サイクル政策を撤回せよ! ★シュラウド等にひび割れのある8基の原発を即刻停止せよ! ★定検短縮・簡略化等の検査制度の抜本的改悪に反対しよう! (注)2002.8.29 原子力安全・保安院の発表資料より シュラウドに未修理のひび割れが存在する疑いがあるもの ・福島T−4 ・福島U−2 ・福島U−3 ・福島U−4 ・柏崎刈羽1号 ジェットポンプの固定用部品に未修理の隙間、摩耗が存在する疑いがあるもの ・福島U−2 ・福島U−3 ・福島U−4 ・柏崎刈羽2号 ・柏崎刈羽5号 |