2002年6月1日 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 |
あの刈羽村住民投票の勝利から1周年を迎えたいまもまだ、MOX燃料は全国のどの原発にも装荷されていません。何と言っても、あの勝利の示す住民の意思が、プルサーマル推進に対する大きな障壁となって立ちはだかっているからです。「ストーカー行為」を跳ね返す刈羽村住民のたゆまない活動、柏崎市民や労働運動の素早い果敢な対応、それらを支える新潟県全体の運動が、貴重な成果をヒナを守るように大切に守ってきたからです。 それだけに政府や東電は、この壁を打ち壊そうとやっきになってきました。木元教子氏の挙動など、まったく異常とも言えるものです。同時にこれらの行為によって彼らもまた、住民投票の結果が無視できないことを、身をもって示してきたとも言えるでしょう。 このように、住民投票結果をめぐるつばぜり合いが行われてきたこの1年の間に、他の局面では、別の反プルサーマル運動もまた展開されてきました。それは主にフランス・コジェマ製のMOX燃料をめぐる闘いです。そしていま、東電の福島と柏崎刈羽用第2陣のコジェマ製MOXを廃棄に追い込むことが、当面の焦点として浮かび上がってきています。 「攻撃は最大の防御なり」。「ストーカー行為」や木元氏の異常な挙動に対しても、倍返しの攻撃をもって応えましょう。「東電のコジェマ製MOX燃料を廃棄にせよ」を掲げて、全国の連携した力で東電と政府を追い詰めていきましょう。第2陣のコジェマ製を廃棄に追い込めば、いまプールにある第1陣のベルゴ製MOXも棚上げになるのは必定です。 私たちは1999年11月に、京都のグリーン・アクションとともに、イギリスBNFL社製の関電高浜4号用MOX燃料のデータ不正を告発して裁判を起こし、12月16日に不正を認めさせることができました。ここに至るまでに関電と通産省は、頭から不正はないとの立場に立ち、データを隠したまま、その不正燃料を強引に装荷しようとしてきました。そして、関電も政府もBNFL社も、データ不正は認めたものの、人々を危険にさらそうとした事実やその責任については、いまだにいっさい何も認めていません。 すでに、この不正MOX燃料をBNFL社に返送するための輸送船2艘が、4月26日にイギリスを出航し日本に向かっています。この返送によって関電は禊(ミソギ)を済ませ、何もなかったことにして、次のMOX燃料の製造にとりかかるつもりでいるのです。このような態度は許されるべきではありません。私たちはいま、輸送容器の安全性などを問題にして関電との交渉を行っています。 他方、この関電の不正問題の後、福島におけるMOX裁判闘争、刈羽村住民投票へと反プルサーマル運動は連携しながら大きく発展してきました。そして、刈羽村勝利の後、順序はめぐって再び関電がプルサーマル推進の第1線に躍り出るはずでした。ところが意外や意外、せっかくフランス・コジェマ社で製造したMOX燃料をすべて廃棄にすると、関電は昨年12月26日に表明したのです。理由は、申請を出しても経済産業省から不合格にされるからというものでした。あれだけ新聞の一面広告も出してプルサーマル推進をうたう経済産業省が、事実上の「事前審査」で、できたてホヤホヤのMOX燃料を不合格にするとは、きわめて矛盾した異常な姿勢ではないでしょうか。よほどのやむにやまれぬ事情が底に隠されているに違いありません。これは彼らの行く手を遮る暗雲となるでしょう。 そこで私たちは、不合格・廃棄の真相を探るべく、関電と経済産業省に質問書を提出し、交渉を重ねてきました。その結果、驚くべき疑惑が浮上してきたのです。その疑惑とは、関電が契約したコジェマ社のメロックス工場の施設には、プルトニウムを持ち込んでもよいという許可がまだフランス政府から下りていなかったのではというものです。 メロックス工場には元々、フランス電力用MOX燃料をつくるラインがありました。しかしそのラインでは低いプルトニウム濃度(富化度)のMOXしかつくれなかったため、海外顧客用にプルトニウム濃度の高いMOX燃料をつくることのできる新ラインを設けました。この新ラインにプルトニウム持込許可が出たのは2000年4月18日です。ところが、関電のMOX燃料はすでに1999年11月に製造開始し、同年12月には製造終了していたのです。したがって、関電MOX燃料が違法に製造された疑いはきわめて濃厚です。 さて、いずれにせよ関電用コジェマMOXはすでに廃棄処分となっています。問題はこの同じ施設で、東電用の福島I-3号と柏崎刈羽3号用の第2陣MOXが製造されていることです。それらMOX燃料には何も問題がないのでしょうか。 これらの製造開始はどうやら2000年4月18日以降であるらしく、プルトニウム持込許可が出た後になっています。ところが、この新ラインで初めてBWR用MOX燃料をつくるにもかかわらず、その設備能力を調べるのにMOX燃料を使うことをせずに、なぜかウラン燃料しか使っていませんでした。ベルギーのベルゴ社では、ちゃんとMOX燃料をつくってみて施設の製造能力を試したのに、なぜメロックスではMOXを使わなかったのでしょう。そのあり得る答えはただ一つ、試験をするときにはまだ、その新ラインにプルトニウム持込許可が出ていなかったためとしか考えられません。そのために大事なMOX試験をすっ飛ばしたのでしょう。これではコジェマ製東電MOXの安全性は保証されません。コジェマ社自体の信頼性にまでも疑問が及ぶかも知れません。コジェマ製MOX燃料は廃棄にされるべきです。 刈羽村住民投票運動の最中に、平沼経済産業大臣は署名入りのビラを配り、プルサーマルが止まれば使用済み燃料を六ヶ所に運び出すわけにはいかなくなり、そうなると原発が止まって電力危機さえ起こるが、その責任を負う覚悟があるのかと住民に脅しをかけました。住民はこれさえも跳ね返して勝利したのです。あの脅しの責任を大臣はいまだに何も取ろうとしませんが、事態はますます平沼予言の方向へと動いています。プルサーマルが進まない事態の余波は六ヶ所問題にも波及しています。再処理工場に反対する100万人署名運動も開始されました。全国各地の反プルサーマル運動はますます連携を強めながら、再処理反対運動に合流して、核燃料サイクルを止める方向へと動いています。 この方向に向けて攻勢に出るためにも、いまはまず、「東電のコジェマ製MOX燃料を廃棄にせよ」との要求が、本集会の意志として打ち出されることを心から希望します。 |