東電・広野火電の「凍結解除」で矛盾は解決するか?



                                  2001年4月8日   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会

 東電は福島県知事の批判に応えて広野火電の建設凍結を解除したと一時伝えられた。実は、3月末に発表された平成13年度経営計画によれば、平成12年度計画で設定されていた運転開始時期を、広野5号は2年、広野6号は3年後ろにずらしている(後の電源開発計画表参照)。東電は福島第一7,8号の建設計画の凍結もいったんは打ち出したが、福島県知事の意向を受けてすぐに取り消した。これも運転開始時期を各1年後ろにずらしている。
 東電のホームページで公表されている種市副社長の記者会見(2月8日)では、さまざまな構造的変化によって最大電力が伸びないようになっているため、このまま電源開発計画を進めたのでは過剰設備を抱えることになるとの強い危機感が語られている。このような危機的な状況があるのに、広野火力や福島第一原発の建設を進めるというのは本当だろうかと疑わざるを得ない。
 そこで電源開発計画がどのように修正されたのか、それによって過剰設備の危機は解決されるのかを、平成13年度経営計画に基づいて見てみよう。下のグラフは平成13年度と12年度の経営計画から作成したものである。13年度計画では最大電力の伸びを1.6%と想定しているのでそれを採用した。このグラフから次のような特徴を読み取ることができる。
1. 最大電力はH8年度から伸びがほとんど止まり、電源設備とのギャップがすでに拡大している。
2. この最大電力の実際の動きなどからすれば、年率1.6%の伸びは過大評価ではないか。
3. 今回の電源開発の修正原理は、年率1.6%の最大電力の伸びにほぼ合うように、とりあえず平成17年度の量を決めたことのように見える。
4. 建設中止はないため、平成22年度の予定量は減少しない。そのため、仮に最大電力の伸び年率1.6%が実現しても、7〜800万kW程度の過剰設備が生じることがすでに目に見えている。
■こうして見ると、福島第一原発や東通原発が実現する見込みはまったくなく、それらの凍結解除は東電の一時しのぎのごまかしに過ぎないことが分かる。広野火電も基本的に同じ運命にあり、その凍結問題が必ず再浮上せざるを得ない。そうなると、何の利益もないプルサーマルを福島県が受け入れる必要はなくなる。こうして、核燃料サイクルの見直しまで含めた再検討が、必然的に重要で現実的な意義をもつようになるだろう。




                    東電・主要な電源開発計画(平成13年度)−平成12年度計画からの修正




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