高浜3号機プルサーマルに関する要望書

関電プルサーマルの新たな問題
使用済燃料プールの臨界安全性について、国の具体的基準はありません。
関電は自ら基準を緩和しています。緩和した基準値でも安全余裕はわずか0.3%です。
六ヶ所再処理工場の試験終了は2年延期。ガラス固化工程で完全に行きづまっています。
第二再処理工場は「2010年頃から検討開始」→「これから10年で検討」(原子力委員会 近藤委員長)

使用済MOX燃料の行き先はますます見えなくなっています
使用済MOX燃料の処分の方法や原発プールの安全性が確認されるまで
MOX燃料の装荷を認めないでください

 
高浜町長 野瀬 豊 様

 日頃、原発の安全確保や高浜町の豊かな自然を守るために、ご尽力いただきありがとうございます。

 関西電力は、10月中旬の定期検査で高浜3号機にMOX燃料を装荷し、プルサーマルを開始しようとしています。
 私たちは、プルサーマルの開始を憂慮しています。プルサーマルは、ウラン燃料を燃やすように設計された通常の原発で、プルトニウムを含むMOX燃料を燃やすもので、安全余裕が減ることは国も認めており、本来の設計に反する危険な運転を無理に行う行為です。

 とりわけ、使用済MOX燃料の行き先はますます見えなくなっています。
 日本原燃は六ヶ所再処理工場の完成を2年延期すると発表しました。再処理の最終試験工程でガラス固化技術が完全に行きづまっているためです。使用済MOX燃料を再処理する予定の第二再処理工場の計画は、六ヶ所再処理工場の順調な稼働が前提となっています。六ヶ所再処理工場試験終了の延期は使用済MOX問題にも大きく影響します。
 実際に、原子力委員会の近藤委員長は、9月10日に青森市で開かれた「ご意見を聞く会」終了後に、第二再処理工場について、「これから10年で検討する」と述べました[別紙:デーリー東北9月12日記事]。これは、原子力政策大綱の「2010年頃から検討開始」という方針からも大幅に後退しています。このままでは、使用済MOX燃料は高浜原発のプールに超長期にわたって居座ることになります。このような、昨今の核燃料政策が行きづまっている状況下で、プルサーマルだけを急ぐ必要はなにもありません。

 さらに、使用済MOXが保管される高浜3・4号プールの安全性に関して、深刻な問題があります。

1.プール貯蔵の臨界安全性について、国は具体的基準を持っていません
 使用済燃料プールの臨界安全性について、安全委員会の指針では「燃料の貯蔵設備及び取扱設備は、幾何学的な安全配置又はその他の適切な手段により、想定されるいかなる場合でも、臨界を防止できる設計であること」(指針50.燃料の臨界防止)となっています。しかし、原子力安全・保安院に確認すると、「臨界に達しない」ための国としての具体的基準はないということでした。国は、自らの具体的基準も持たずに、電力会社が出してくる数値を確認しているとのことです。これ自体が大きな問題です。

2.関電は、臨界安全性の基準値を緩和。それでも安全余裕はわずか0.3%
 さらに、関西電力は、臨界に達しないための中性子実効増倍率の基準値を0.95から0.98に引き上げています。高浜3・4号機のプールは、満杯に近づいたためにリラッキング工事が行われました。また、高浜1・2号機で使用する高燃焼度燃料の使用済燃料を3・4号機のプールでも保管します。今年1月の安全委員会に出された保安院の資料では、これらを勘案した実効増倍率は0.977になっています。以前の基準値0.95をはるかに超えています。実態が基準を超えるからといって、基準を緩和するようなことが許されるでしょうか。東京電力や中国電力などは、現在も0.95を採用しています。さらに、緩和した基準値0.98と比べても、安全余裕はわずか0.3%しかありません。このようにギリギリの状況で、地震が起きた場合等に臨界事故が起きる危険性はないのでしょうか。

3.関電は国に提出した設置変更申請書で臨界評価の解析を出していません
 また、2003年のプールリラッキングに伴う設置変更許可申請書では、実際のラック寸法に即した解析条件やその結果が記載されていません。同様のリラッキングは大飯3・4号機や美浜3号機でも実施されています。これらについては、実際の条件での臨界評価等が申請書に書かれています。国の技術基準の「解釈」として、「臨界計算により、燃料が臨界に達しないことを確認された構造であること」と国は定めています。しかし、高浜3・4号機のプールの場合、肝心の変更許可申請書でこの「臨界計算」を国に提出していません。

4.関電のプール管理では、微量のプール水漏えいを防げません。資料も公開していません。
 米国で起きている使用済燃料プールからの放射能汚染水の漏えいについては、6月にも紹介しました。その後、8月3日に市民団体と国との交渉の場でもこの問題についての具体的対策が問われました。それに対する国の回答は、保安院内部の既存の検討会のようなもので情報を集めているだけで、議事録もなにもないということでした。収集した資料を公の場で検討し、電力会社に指示を出すようなことは何もしていないとのことでした。
 また、6月にもお伝えしたように、関電のプール管理では、微量の漏えいを検出することはできません。漏えい関知システムについて、具体的にどのようになっているのか資料さえ公開していません。例えば、別紙のように東京電力は漏えいシステムについて地元に説明しています。


 以上のように、プルサーマルが開始されれば、使用済MOX燃料の行き場はありません。さらに、保管されるプールの安全性にも深刻な問題があります。
 遠い霞ヶ関での議論ではなく、地元で人々の安全や自然環境を守っておられる貴職に、慎重に検討していただきたく要望します。

要  望  事  項

1.国に再度、使用済MOX燃料の処分の方策を明らかにするよう求めてください。

2.高浜3・4号機プールの臨界安全性について、国と関電に確認してください。

3.以上の内容について、結果を広く公表し、町民をはじめ県民や周辺住民に知らせてください。

4.少なくともそれまでは、MOXの装荷を認めないでください。


2010年9月29日

  プルサーマルを心配するふつうの若狭の民の会
  グリーン・アクション 
  美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 

(10/09/29UP)