六ヶ所MOX燃料加工施設審査指針の問題点―主に「適用対象としての原料」に関して
六ヶ所MOX工場では、プルトニウム・ウラン混合物だけでなく
プルトニウム単体も取り扱う
◆なぜプルトニウム単体を取り扱うのか
◆臨界事故の危険性は考慮されたのか


2005年2月28日 美浜の会

(これは、2002年7月8日付け小山の名前で一部の人たちに配布したものであるが、最近 になって六ヶ所MOX工場問題が浮上してきたため、改めて美浜の会としてほぼそのまま掲載する)

 「ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料加工施設安全審査指針」は平成14(2002)年4月11日付けで原子力安全委員会により決定された。そこでは、指針の適用対象となる加工施設として、「MOX粉末に劣化ウラン酸化物又は天然ウラン酸化物の粉末を加えてプルトニウム富化度を調整し、軽水炉用燃料に加工する施設であって、主要な工程が乾式の施設に適用される。ただし、MOXとは、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のものとする」と規定している。つまり、加工工程の出発点となる原料として、プルトニウム単体をも扱う可能性を認めている。
ここでは、六ヶ所MOX燃料加工施設でプルトニウム単体を原料として扱う場合の危険性が、指針策定過程でどのように取り扱われたかという問題に限定して検討する。その結果、実にずさんな論議の過程を経て、プルトニウム単体も六ヶ所MOX燃料加工施設で扱われ得るようになったことがわかるであろう。

はじめに
 MOX燃料加工施設に関する安全審査指針については、平成12(2000)年11月27日付けで原子力安全委員会から原子力安全基準専門部会に検討の指示が出され、その部会の基にMOX加工施設指針検討分科会が設けられて、平成13(2001)年1月23日に第1回会合が開かれた。それから分科会は17回開かれ、基準専門部会での議論、意見公募などを経て、平成14(2002)年4月11日に原子力安全委員会によって指針が策定された。
 このような安全審査指針自体は、かなり抽象的なものであるため、その問題点をいろいろと指摘しても、水掛け論に終始する可能性が高い。そればかりか、このような論議は、MOX加工施設を前提にした枠内に入り込む危険性をもっている。それよりもいま明らかに問題になっているのは、このような施設の必要性そのものである。プルサーマルの動向などから、このような施設は不要であることが一般的に認められるならば、指針の論議に入る必要などまったくないというものである。
 しかし他方、運動や世論の現有の力としては、このような施設や指針を一蹴できるほどに強いとは言えないために、どうしても相手の土俵に足を掛けざるを得ないという事情がある。そのような意味で、指針について検討せざるを得ないのであろう。
 だが、指針の全体を細かく検討するのは非常に消耗する作業である。そのため少数の端的な問題点に限って少し深入りして検討することにした。その問題点の最たるものは「臨界事故の危険性」であるが、今回はとりあえず、臨界事故を起こす材料及びその取り扱いという意味で、「加工の対象」に目をつけることにした。ここに明らかな問題点が見えているからでもある。
 したがって、これは六ヶ所MOX燃料加工施設の審査指針全般に関する分析ではない。指針のうち、「適用対象」に関する、さらに「適用対象」のうち主として加工の出発点となる原料という限定された部分に関するノートである。

原料について
 ここで、「適用対象としての原料」とは、MOX燃料加工過程の出発点となる原料の問題である。六ヶ所MOX燃料加工施設の現計画では、原料として、六ヶ所再処理工場から製品としてパイプで送られてくるPu:U=1:1のMOXが想定されている。これに酸化ウラン(劣化ウラン)を混ぜて適当な富化度のMOX製品を作ることが加工の目的になっている。ところが、指針策定の過程で、この原料を1:1MOXに限定するのではなく、イギリスやフランスで実施されているように、酸化プルトニウム単体(と劣化ウラン)をも含めるべきだという意見が出され、結局そのようになった。従って、六ヶ所MOX燃料加工施設でも、酸化プルトニウム単体から出発することが将来あり得るという前提で安全性を考えなければならない。
 さらに、実際の論議の中では、「適用対象」に関して次のような点が議論で混同され錯綜している。
(1)MOX及び軽水炉について
・ 加工過程の出発点の原料であるMOXと、加工の終点である製品としてのMOXの混同。
・ 軽水炉については、製品としてのMOXを使用する場が軽水炉か高速増殖炉かの問題と、加工原料の元の再処理に提供される使用済み燃料の由来が軽水炉か高速増殖炉かという問題の混同
(2)「適用対象」のもう一つの検討点は、加工過程が乾式に限られるか、湿式も含むかという点。
水分があれば中性子の減速が進むため臨界事故に結びつきやすいが、湿式過程は除外されていない。また、水分で問題になるのはH2O中の水素であるため(中性子と同質量の水素が、玉突きの玉のように、中性子をもっともよく減速させるから)、水でなくても、水素を含む樹脂のようなものが含まれているかどうかも問題になる。この点、樹脂は最初からある程度含まれている。

プルトニウム単体の何が問題になるか
 ここで問題にするのは、はじめ原料としては、Pu:U=50%:50%のもの、すなわち富化度が50%のものが想定されていたのに、純粋PuO2をも原料に加えることになったことである。そのことで臨界事故に結びつきやすくなることが、どの程度真剣に考慮されたのかという点である。
 臨界事故を起こすのは、主にプルトニウム中の核分裂性プルトニウム(Puf)であるが、この割合を多めにとって80%としよう。そうすると、単体Puでは原料中のPufの割合はそのまま80%であるが、1:1原料の場合には40%となる。この違いは分科会第4回に提出された参考資料2にいくつかの指標として掲載されている。例えば、臨界質量で見ると、PuO2で約50kgだが、1:1MOXでは約180kgと3.6倍の差がある。つまり単体Puを扱うと1:1MOXの場合の1/3.6の塊で臨界に達する。
臨界に関連する議論の過程で、しばしばJCO事故が引き合いに出され、「予期せぬ出来事や操作など」が心配されている(例えば内藤委員)。一般的に言えば、水がどこからか(例えば事故や意図的操作などで)持ち込まれれば、それだけで臨界事故が起きないという保証は消滅する。その際、純粋Puを扱っていれば、臨界事故の危険性は数倍増する。この施設の起こす臨界事故の結果は、JCOの比ではない。
他に、労働者の放射線被曝なども単体Puでは大きくなる(Puから生まれるAm241による)。従って、単体Puを原料として扱うべきかどうかは慎重に考慮すべき問題であり、事実指針策定の論議過程で委員の中からそのような心配の声がだされている。それにもかかわらず、実際の論議はきわめて不可解でずさんな経過をたどった。このことを以下で明らかにしたい。

原料をめぐる分科会での論議経過の概略
■ 第1回(H13(2001).1.23)、第2回(H13(2001).2.14):日本原燃が計画している六ヶ所MOX燃料加工施設での計画が説明され、原料としては六ヶ所再処理工場から出てくる1:1MOXが想定されていることで議論が進んだ。
■ 第3回(H13.3.2):突然事務局から「原料としてはPuO2単体も考慮する」が、ある誤解に基づいて提案されたが、その誤解については何も議論にならなかった。
■ 第4回(H13.3.23):1:1MOXとPuO2単体との違いが、「参考資料2」として報告されたが、その違いが各指針や安全性にどのような影響を与えるかなどの議論はいっさいなかった。
■ 第5回(H13.5.22):事務局より「委員のコメント」として、「原料粉については、両方(PuO2,MOX粉)使えるようにしてはどうか」と提起されたが、ほとんど議論なし。
■ 第6回(H13.6.29):第5回分科会での上記内容が委員の「了解」事項とされた。
■ 第7回(H13.7.3)、第8回(H13.9.4)、第9回(H13.9.14):とくに何もなし。
■ 第10回(H13.10.11):事務局より指針案が初めて提案され、その中の「適用対象」として、「ただしMOXとは、ウランとプルトニウムの混合割合が任意のものをいい、ここでは二酸化プルトニウム単体も含むものとする」という表現が初めて登場した。しかしそれ以前の分科会論議ではそのような「混合割合が任意のもの」などという表現はいっさいでていない。
■ 第11回(H13.10.25),第12回(H13.11.13),第13回(H13.11.22):基本的に第10回分科会での結論のままで、特別な議論なしに推移。
■ 第14回(H13.12.14):この分科会の前に、この分科会の親組織である原子力安全基準専門部会第4回(H13.11.30)が開かれ、そこでの原料問題が指針に反映されているかというコメントを受けて事務局より、原料を「混合脱硝により製造したMOX」にする(つまりPuO2単体は含めない)という提案が出された。これに同調する複数の意見が出されたものの、最後に鈴木(篤)原子力安全委員の強引な押しによってPuO2単体も含めるように引き戻された。
■ 第15回(H13.12.20)、16回(H14(2002).1.30):議論は元のサヤに納まり、奇妙なことに、先のコメントを出した原子力安全基準専門部会第5回(H14.2.8)でも何も異論なしに了解された。
■ 第17回(H14.3.26):意見募集によって、この「混合割合が任意」に対する疑問が出されたが、それに対する回答では、「プルトニウム割合が50%のMOXとプルトニウム酸化物単体との特徴に大きな差はないことから、指針としてはこの差を考慮する必要はないと考え、プルトニウム割合に上限を設けず検討したものです」とした。しかし、このような内容が分科会の過程で具体的な違いに即して検討され確認されたことは一度もない。それどころか、範囲を50%MOXから広げることに何度も疑問が出され、その違いが指針に反映されているかに懸念がもたれている。ところが最後の分科会では誰もその懸念をもちださなかった。このような経過、姿勢こそが問題にされるべきではないだろうか。


(資料)

適用対象としての原料をめぐる論議の過程
(注:★印は美浜の会の注釈、引用文中の下線も美浜の会)

★工程の出発点である原料をどう限定するか、50%:50%MOXかPuO2単体かは、臨界事故の危険性とも関連する重要問題であるはずだが、これから示すように、この問題は何度も行きつ戻りつしながらあいまいな経過をたどり、結局は不可解な結論となった。

分科会第1回(H13.1.23)における想定--ここでは、日本原燃の立場が以下のように説明された
○日本原燃(米田) まず、事業のスコープでございますが、前提条件としまして、原料等の調達でございますが、当社の再処理施設から回収されるプルトニウムとウランの比率が1:1のMOX粉末、母材としまして、ウランでございますが、原料ウランは、基本的に当社のウラン濃縮施設において発生します劣化六フッ化ウランを外部に再転換委託しましてできました劣化UO2 粉末、これを用いることとしております。」
○大谷委員 このMOX加工の前提条件として再処理から出てくるプルとウラン1:1のMOX粉末ということになっているんですけれども、プルとウランを合わせたMOX粉末をつくるのは、再処理工場側でやってくれるというふうに考えていいのか、あるいは、加工指針の中で、プルとウランを混ぜたMOX粉末をつくるところからスタートして指針を考えるというのは、えらい違うんだろうと思うんです。その辺、教えていただきたいのですが。○日本原燃(株)(米田) 六ヶ所の再処理工場では、脱硝工程がございまして、プルトニウムにつきましては工程上50:50、いわゆるプルとウラン1:1の溶液で製品が出てくるということで、それを再処理工場側の脱硝工程でもって脱硝いたしまして、1:1の混合の粉末をつくるという工程になってございます。 したがいまして、それは再処理工場の方でやりますので、私どものMOX工場は、1:1になってMOXの粉末を受け取って加工に入っていくということで、トータルのプルトニウムは50%のプルトニウムを受け取って加工に入るというふうに考えております。」
○小山委員 先ほどスタート物質を50%のMOXというお話だったのですが、そうだとすると、再処理工場の運転と、このMOX工場は常に連動すると理解してよろしゅうございますか。つまり、再処理工場の運転とは切り離して、どこからか別にプルトニウムが来るということはない施設だと理解してよろしゅうございますか。○日本原燃(株)(米田) 原則、そのように考えております。○鈴木(篤)主査 この点は、また詳しく伺いたいと思います。」

分科会第2回(H13.2.14)
鈴木(篤)主査 もう一つ、原料としてのプルトニウムをどの程度スペシファイしておくべきなのかというご意見ですが、これは多分、むしろこの分科会で個別ないろいろな臨界量等についてのご検討をしていただくに当たって、かなり慎重にご検討いただくべきことではないかと思いますが、いかがでしょうか。」
★注: この問題提起は、製品としてのMOXをどの範囲で使うか、高速増殖炉まで含めてかという流れの途中で突然だされたが、ここでは議論にならなかった。しかし原料の規定が臨界量等の検討の基礎にあることを示唆している。結局、この第2回での「対象」に関しては、製品として高速増殖炉用まで含めるべきか、乾式か湿式か、PWRかBWRかという議論だけで、50%MOXから広げるような話は出ていない。

分科会第3回(H13.3.2)
事務局からの資料 「M分第3-1号」に以下の記述が突然現れた。 
「2.指針策定の基本方針
 (2)当面の安全審査の対象として考えられる、国内の軽水炉用MOX燃料の加工施設として現在計画中の民間MOX燃料加工施設を念頭に置き、以下のような観点で調査審議を行う。
(1) 原料としてはPuO2単体粉末も考慮する
(2) 湿式回収工程については考慮しない。」

★当然この「原料としてPuO2単体粉末も考慮する」に対して委員から次の疑問が起こる。
○内藤委員 質問なんですけれども、3−1号で、2の(2)の1」のところで現状としてPuO2 単体粉末も考慮するというふうにしましたということと、それから、3の(1)適用対象として、軽水炉用MOX燃料の加工施設を対象とするというところが矛盾しないかなという感じがするんですけれども、このPuO2 単体粉末も考慮するという言葉を入れた理由はなんでしょうか。○佐川管理官 これは前回も、きょうはちょっと仁科先生はご欠席なんですが、仁科先生からもコメントとしてあったわけでございますけれども、日本原燃さんが考えていらっしゃるのはプルトニウムとウランの比率が1対1のものを考えているというわけでございますけれども、原料としてということで、ひょっとしたら外国から輸入するかもしれないということも考慮した方がいいんじゃないかということで、これについては、当然、劣化ウランとまぜますので、特に内藤先生がご指摘のように、これだから軽水炉MOX燃料の加工と矛盾しているのではないかというご指摘には当たらないのではないかと考えております。」

★そこで、第2回分科会でこのような発言があったかどうか調べてみると、仁科発言として該当するのは次の箇所しか見当たらない。
(第2回より)「○内藤委員 この前もちょっと言ったんですけれども、今回、指針として対象にするのは何かということで、この紙の基本方針のところで、国内の軽水炉用MOX 燃料の加工施設を対象というふうになっているので、1つとしては、指針の名前自身、軽水炉用MOX 燃料、正式に言うともう少し長いんでしょうけれども、MOX 燃料施設の審査指針という名前をつけて、それで、安全委員会の方から出された答えになっているかどうか。安全委員の方から何を頼まれているかというところにもよるんですけれども、そう考えていいかどうか。要するに軽水炉用、それに名前をつけるかはまた別にして、そう我々は考えていいかどうかというのが1つと、私はそれでいいと自分では思っているんだけれども。 それと、軽水炉用というと軽水炉で使うMOX なんだけれども、そこに使う燃料自身が軽水炉の燃料を再処理して出てくるプルとかウラン、それに限定して考えていいのか、ほかのいろいろなところからプルというのは出てきますね、将来的には。そういうものまで念頭に置くのか。先ほどの臨界量とか何とかというのは240が17%という、今の再処理の、あれでやったときに出てくる燃料の方から考えると非常に妥当なんですけれども、それ以外のところから出てくる燃料、例えば高速炉は今ないかもしれないけれども、そういうところまで考えるかどうか。 もう一度言うと、要するに軽水炉用MOX 燃料というふうな名前をつけて考えていいかということと、軽水炉用MOX というのは、軽水炉の使用済み燃料を再処理した燃料だよと、燃料を取り扱うんだよと限定していいかどうか、その辺のところを議論しておく必要があるんじゃないかと思います。
○鈴木(篤)主査 おっしゃるとおりだと思いますけれども、この点については何かほかの委員の方々からご意見なり、関連したコメントございますか。今の内藤委員の 仁科委員、どうぞ。○仁科委員 この前、このことが議論されたときに、私の取り方は、念頭に置くという文になっていますね。念頭に置くという文はどう考えるかなんですけれども、念頭に置くけれども、適度に普遍性を持たせるというふうに私はとったんです。つまり、これから、内藤委員がおっしゃったように、どういう種類の燃料が出てくるかもしれないというような場合もある程度一般性を持たせてというふうに私はとりましたけれども、その辺。」
★上の議論で、内藤委員の問題提起は、主に再処理の対象にするのは軽水炉の使用済み燃料なのか、それとも高速増殖炉の使用済みまで含めるべきか、それによってMOX加工で扱う原料の性質も変わるということ。50%MOXか純粋Puかという話ではない。仁科発言もこの内藤発言の流れに沿っている。まして「外国から輸入するかも」などという話しはいっさいない。なぜここから資料3-1の記述が出てきたのか、非常に不可解であるが、とにかくこの「瓢箪から駒」のような話(あるいは意図的誤解)がこれ以後を規定してしまったのだから恐ろしい。

分科会第4回(H13.3.23)
★このときの資料「M分第4−1号」では、対象について原料については何も触れられていない。
★議論の冒頭の事務局・佐川管理官の発言では、以下のように「まだ決着がついていない」とされている。
○事務局(佐川管理官) まず、適用対象のところでございますけれども、この右側に書いてございますが、指針の適用対象をどうするかということで、まだ決着ついておりませんけれども、例えばプルとウラン、1:1のものを原燃さんが想定しているものでくくるのか、PuO2 まで念頭に入れるのか。あとは、例えば湿式工程は考えなくていいのか等々についていろいろご議論いただきたいというふうに思っております。これについては後ほど参考資料の方でご説明したいと思っております。」
○事務局(佐川管理官) 続きまして、参考資料2ということで、適用対象のご議論の参考になればと思いましてPuO2 単体と1:1MOX粉末との比較等についてということで、これにつきましては、サイクル機構さんの方からご説明願いたいと思います。」
★ということで、サイクル機構の高橋氏から、1:1MOXとPuO2との臨界量などの違いについて、資料2で説明。例えば臨界質量については、PuO2で約50kg、1:1MOXで約180kgと3.6倍の差がある等。
★ところがこの重要報告について、この後の議論ではPWRとBWRの違いだけが問題になって、肝心の1:1MOXとPuO2との違いについてはまったく何も議論にならなかった。

分科会第5回(H13.5.22)
配布された資料「M分第5−4号」の「委員からのコメント」欄に次の記述
「(適用対象) ・「民間MOX燃料加工施設」を対象、主工程は乾式工程。・原料粉については、両方(PuO2,MOX粉)使えるようにしてはどうか。」
★これについて以下の議論あり。この議論はそれだけ。
○竹下主査 それでは、2ページ目の適用対象、これも最初のころ議論があったかと思いますが、民間MOX燃料加工施設、これはよろしいですね。主工程は乾式工程である。  それから、原料粉については両方使えるようにしてはどうか。PuO2だとか、あるいはMOXだとか限定しなくてもいいのではないかという議論があったように思ったんですが、いかがでしょうか。  このコメントに沿って進んでいると私は理解しているんですが、このコメントをいただいた方、内藤委員ですか。 ○内藤委員 小山さん。○小山委員 そのとおりだと思いますよ。特に変わったところはない。 ○竹下主査 内藤委員。 ○内藤委員 適用対象で2つのことが書いてあって、これがさっき主査がおっしゃった頭のところに来る文章に関係すると思います。この指針は何のためにつくったか、どこに対象を考えているというところに関係すると思いますが、この2つの文章を一緒に入れると、民間MOX施設を対象にしますといっている。そうすると、普通の人が考えると、富化度はせいぜい50%以下、20%ぐらいかなという考えを持たれるんじゃないかという気がするんですが、PuO2というと、ウランとまぜたことを考えれば100%ですか、そういう2つを入れた形で民間を解釈する書き方になるということですかね○竹下主査 たしか最初の議論はそうだったと私は記憶しています。何ヵ月か前なので余りクリアではないですが、前の議事録をひっくり返してみればおわかりいただけるかと思います。」

分科会第6回(H13.6.29)
★配布資料「M分第6−1号」の「委員からのコメント」欄にM分第5−4号と同じ文章があり、その後に次が付加「MOX粉及びPuO2単体も適用対象とする。」――これが2重線で囲まれて、その横に、「了解」がやはり2重線で囲まれて付加。これについて速記録では以下の議論。
○事務局  続きまして、2ページを開けていただきますと「適用対象」のところでございますが、「民間MOX燃料加工施設」を対象と、主工程は乾式工程ということで、一応了解ということであったかと思います。 それから、原料粉につきましては、MOX粉及びPuO2 単体粉も適用範囲とすると、そういうような議論があったかと思います。 そういったところを二重枠で書き出してございます。この資料については、以上でございます。」
○竹下主査 どうもありがとうございました。 ということで、大体前回の議論を一応まとめた形で事務局の方で整理していただいたのですけれども、まず二重角で囲ったところ、こういうことだったのではないかと思うのですが、何かコメントはございますでしょうか。 それでは、特にコメントがないようでございますので、前回までの議論では、指針3の途中といいますか、事故時条件のところまで一応議論をしたのですが、事故時条件については、まだこの二重角のまとめにありますように若干考え方等を整理する必要があるということなので、これはちょっとひとまず置いておきまして、きょうの議論は特定ウランとか再処理の指針で言うところの放射線管理の方、ここから議論を進めたいと思います。」
★ということで、2重枠で囲まれた部分であるPuO2単体も原料に入ることがここで確定されてしまった。第5回の上の議論からどうしてそうなるのか極めて不可解。

分科会第7回(H13.7.3)
       第8回(H13.9.4)
――「対象」議論なし

分科会第9回(H13.9.14)
資料「M分第9−6号 MOX指針策定に係る方向性について」の中に次の記述
「I.適用対象
○原料粉については、MOX及び二酸化プルトニウム単体も適用範囲とする。→コメント反映
 注)○:分科会での合意事項。」
分科会での合意事項として確認している。これについて議論なし。

分科会第10回(H13.10.11)
資料「M分第10−1号 MOX加工施設安全審査指針 平成13年10月11日 事務局」
「I.適用対象
 ただしMOXとは、ウランとプルトニウムの混合割合が任意のものをいい、ここでは二酸化プルトニウム単体も含むものとする。」
★ここで初めて「混合割合が任意のもの」という表現が現れた。このときの議論は非常に錯綜していて、いろいろとレベルの違う議論が入り混じっているように思える。最後の方だけ収録すると
○古屋委員 その下の文章と関連してくるんですが、例えば、軽水炉用加工施設であってということになりますと、ウランとプルトニウムの混合割合はもうある程度決まってしまうんです。任意のものとは言えないんです、逆に言うと。ですから、「MOXを軽水炉用燃料に加工する施設であって」を取れば、その下の文章も生きてくるんです。ですから、下の文章の表現もちょっとおかしいんですが、その上の文章と下の文章が一体化していまして、多分そういうことで書かれたんだろうと私は推測するんですが、例えば、軽水炉用燃料と決められたら、もうプルトニウムは20%以上入ることはほとんど考えられませんので、この表現はちょっとおかしくなってしまうんだろうと思うんです、任意という話は。ですから、軽水炉用燃料に加工する施設を取れば下も生きてくるという感じはすると思うんですが、いかがですか。○竹下主査 ありがとうございます。要するに、この限定をした場合に、本当にこの後の全体が何も変更なければ、ここでわざわざ押さえる必要はないということですね。内藤委員。○内藤委員 私はどちらかというと、なるべく限定したいという立場なんです。というのは、指針の中を検討するときに、事故をイメージして考えているわけですね。そのときに、私みたいに知識がないからだと思うんですけれども、一般的なMOXの加工施設というのがどこまでいくのかちょっとわからない。では、これがあるとどうしてだめなのかちょっとわからないんですけれども、とりあえず今我々が要求され、使うのは、これ以外にあるのかなと。なければ、できるだけ限定して、イメージをはっきり浮かばせながら指針をつくって、それからはみ出たものについてはまた別に指針をつくるという方がいいと私は思っているんですけれども○竹下主査 小山委員、いかがですか。○小山委員 私は別に特にこだわるつもりはないんで、あえてここで書かれると、後で、今まさに内藤先生がおっしゃったように、それぞれまた変わったときに別途指針をつくるということになるわけですけれども、恐らく施設の性格的には余り変わらないのではないかなと思ったものですから、それだけです。○竹下主査 多分内藤委員は、まだ本当に大丈夫かな、心配だというところがあるということですね。○内藤委員 この指針でいこうといったときに、本当にいいのと言われたときに、そうすると同じことですね。そういうことです。ほかのことをイメージしなければいけないことがあるのかなというのがわからないので、できるだけイメージしやすいものだけに限っておいた方がいいんじゃないかと。○竹下主査 大谷委員。○大谷委員 とりあえず、もう軽水炉に限っておいていただきたいんですが。というのは、恐らく、この次のステップでどんなのがあるのかのイメージがはっきりしないので、例えば耐震設計の重要度分類などは書けなくなってしまうんじゃないかという心配をするんです。というのは、それこそもうどんどんプルとウランとが半々になって、50:50になったものが本当にグローブボックスで処理しちゃっていいのというのが、本当にいいんですかと私が聞かなければいけないんだけれども、ということになると、それによって耐震重要度分類、今でも苦労しているのが書けなくなるので、私としては、軽水炉でともかく今考えているもののある程度そのバリエーションは考えるにしても、その範囲におさめてほしい。○竹下主査 古屋先生。○古屋委員 折衷案じゃないけれども、熱中性子炉でどうですか。そうすると比較的、例えば新たにまた重水炉が有望になったときにも適用できるということで、熱中性子の燃料を。ちょっと余りにも広過ぎるかもしれないんですが、50:50になることはないと思いますが。○竹下主査 今、内藤委員と大谷委員がこの後ろの指針でちょっと心配だということであれば、やはりここは限定させていただいて……。○小山委員 済みません。言い出しっぺですから、軽水炉の加工施設ということをここに書かれることは構わないんですが、今の先生方の意見でちょっと心配するのは、軽水炉だから10%なんだという発想はおかしいと言いたいんです。つまり、原料は50%のプルトニウムとウランという粉末からスタートするんです、この施設の中でも既に。だから、場合によれば、ここに「二酸化プルトニウム単体も含むものとする」と書かれていますから、そうすると100%プルトニウム粉末が原料として入荷する場所があるし、最初のスタートは100%の粉末でも動き得るということなんです。だから、そこの理解はしておいていただきたい○竹下主査 ここで限定しても、こう広げているではないかということなんですが、やはり念頭に置くのは軽水炉だということにさせていただいて……。○小山委員 はい、それは結構です。○竹下主査 一応、では原文のままということにさせていただきたいと思います。」
★はじめの古屋委員の議論は、製品としてできるMOXと原料MOXを混同している。この中で注目すべきは、内藤委員や大谷委員のような限定論が出ているのに、その検討が何もないままで放置されたということ。

分科会第11回(H13.10.25)
資料「M分第11−1号」指針案の中に次の記述
「I.適用対象
 本指針は、・・・、MOX粉末を軽水炉用燃料に加工する施設であって、主要な工程が乾式である施設に適用される。ただし、MOXとは、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のものをいい、ここではプルトニウム酸化物単体も含むものとする。」
★ここでは明らかに、MOXは原料として規定されていると解釈できる。

○及川管理官 適用対象のところでございますが、2ページでございます。4行目でございますが、MOX粉末という形で、「MOXを」となっていたところに「粉末」をつけ、「主たる」を「主要な」というふうな形にさせていただいてございます。」

★この後、「粉末」をとるべきかどうかの錯綜した議論があった後、次のような議論になった。
○飛岡原子力安全委員  「MOXとは、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のものをいい、ここではプルトニウム酸化物単体も含むものとする」、ここの縛りはほんとにこれでいいですか。例えば、特定ウランのときには5%から20%の濃縮度と書き、プルトニウムの燃料3分の1炉心、ABWRのフルMOX炉心では、富化度、その他の縛りをかけているわけですよね。解釈として、結局、100%プルトニウム富化度でも構いませんという格好で頑張れますか○竹下主査  これは、たしか最初のころこういう議論があって、0%から100%までということで、特段縛りをかけなくても、この後のいろんな指針といいますか、安全設計あるいは安全評価上制限になるということはないだろう、そういう議論だったように記憶していますけど。○飛岡原子力安全委員 そうしたら、特定ウランのときに、なぜあれを20%というたがをはめたか。あれだって基本的な考え方は同じですよね。それとバランスがとれなくなるんじゃないですか。○竹下主査  特定ウラン加工のとき20%にした経緯は、当面20%を超えるものが予測されないというようなことがあって一応20%にしたと記憶しておりますけど。○飛岡原子力安全委員 同じようにMOXだって100%富化度の単体ということは多分使いっこないと思いますし、そこで逆に縛りをかけなくていいのか。今の論旨でいくと、うまくつながるとは思わないんですけど。○竹下主査  古屋先生。○古屋委員  「ただし……」以下を削除したらいいんじゃないですかね。私は特に必要ないような気がするんですね。上の文章と混乱するので、特にこれ、必要ないんじゃないかなと思いますが、いかがでしょうかね。○竹下主査  松本委員。○松本委員  私も混乱して記憶が定かじゃないんですけれども、原料が100%のものとウランを混合するということが場合によってはあり得るという話が初期のころあったので、こういう表現になったんだろうと思いますが、その意味と、今、飛岡委員がおっしゃっているのは、製品としてできるMOXのコンテントが100%になるということではないと思うんですよね。その辺、初期の原料の話と最終的な製品のMOXの富化度との話が混乱しているんじゃないかなというふうに受けとめているんですが。○竹下主査  私も、インプットされる原料がPuO2 も入ってくる、それをブレンドすることもあり得るということだったから、富化度という観点からすると0から100%になりますねと。加工工場の中でそういうものを扱い得る、範囲を決めるときにたしかそういう議論があったと思っておるんですけど。 日本原燃さん。○日本原燃  日本原燃が対象であれば、プルトニウム単体ということはございません。1対1、再処理からの原料を使うということで限定していただいて結構です○竹下主査  古屋委員。○古屋委員  後でまた混乱するので、余りそういう制約を設けない方がいい。逆にいうと、上にMOX燃料の定義があるわけですね。要するに、「以下、「MOX」という」と書いてあるわけですよね。MOXである以上、100%のPuO2をまぜる場合もあれば、それをUO2とまぜるわけですね。もしここにただし書きをつけようと思ったら、プルトニウム酸化物単体及びウラン酸化物単体、両方入れなきゃいけない。ですから、混合酸化物である以上、どういうものでも扱えるという形でない方がすっきりするんじゃないかなと思うんですね。 混合ですから、初期には純粋なものを扱う場合もあれば、1対1のものを扱う場合もあるということで、混合という言葉があるから別にそこへ入れる必要はないんじゃないかなという感じがするんですが、もし入れるとすれば、ウラン酸化物単体も入れないとバランスがとれないだろうと思います。どうしても入れようと思ったら。○竹下主査   想定している六ヶ所のJMOXというプラントでは、確かにインプットとしてPuO2がないという説明はもちろん聞いておりますけれども、その議論のときに、特段それを排除する必要もないではないかということで、それを受けてこういう指針になったと私は記憶しているので、議論が蒸し返された形になっておると思います。 安全性を検討する上で、ある縛り、0から100%とするとまだアンノウンなところがあって、例えば50以下だったら今の指針の検討の範囲で安全上何も問題ないということがあればまた振り返って議論することも必要かと思いますが、飛岡委員の方からそういうコメントがございましたけれども、これまでの議論の流れを受けた形、あと、古屋先生の何も書かないというと、今度は一体どうなんですかということになると思うんですね。そういう意味で、私は原案のままでどうかと思うんですが、いかがでしょうか。 小山委員。○小山委員  今、主査がお話しされたとおりだと思いますね。過去の議論を蒸し返すのではなくて、これでいいんじゃないでしょうか。○竹下主査  どうもありがとうございます。議論があればまた振り返るということで、とりあえずここのところは原文のままということにさせていただきたいと思います。」
★原料と製品が繰り返し混同され、同じような議論がまたしては蒸し返されている。50:50とPuO2単体との区別、安全上の違いなどが議論の上で何も規定されないままに進んできたためであろう。

分科会第12回(H13.11.13)
資料「M分第12-1号」
「I.適用対象
  本指針は、・・・、MOX粉末にウラン酸化物粉末を加えてプルトニウムの富化度を調整し、軽水炉用燃料に加工する施設であって、主要な工程が乾式の施設に適用される。ただし、MOXとは、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のものをいい、ここではプルトニウム酸化物単体も含むものとする。」
○及川管理官 適用対象につきまして4〜5行目のところでございますが、MOX粉末という原案であったところでございますが、右側のコメントにございますように「粉末調整工程が読めない」とか「MOXだけでは漠然としすぎ」とのコメントを受けて、一応ここでは「MOX粉末にウラン酸化物粉末を加えてプルトニウムの富化度を調整し」という形の案とさせていただきます。」
○竹下主査  2ページ目で、最初のところは一応前回のコメントを受けてこういう形にしたということなんですが、その次のところ、混合割合が任意で、プルトニウム単体も読めるので、「プルトニウム酸化物単体も含むものとする」としつこく言っているんですけれど、これは必要ないのではないかというコメントですが、これはいかがでしょうか。ちょっと何か補足は。 ○小山委員  私がコメントしたんですが、いわゆるここは任意のものを言うと切ってしまえば、おのずから単体も入るだろうということで、わざわざここで追加する意味もないわけではないんでしょうけれども、どうだろうかなということです。 ○竹下主査  いかがでしょうか。特段なければ、さらりと最初のあれで全部含まれるからということで、削除する形をとってみようかと思うんですが、よろしゅうございますか。」  
★ということで、これ以後「プルトニウム酸化物単体」の表現はなくなった。

分科会第13回(H13.11.22)
「対象」に関する議論なし

■■原子力安全基準専門部会第4回(H13.11.30):この部会はこの分科会を設置した親組織である。そこに分科会から報告が行われ議論の結果8つのコメントが出された(このときの速記録はなぜかホームページからは取れないようになっている)。そのうち、「対象」関係は以下の2つ。

「C3.適用対象を軽水炉用MOX燃料を加工する施設としており、プルトニウム富化度などかなり限定されていると思うが、それが各指針の要求に反映されているか。MOX中のウランとプルトニウムの混合割合を任意としているため、必要以上に過剰なしばりになっていないか?
C8.Pu単体について:まえがきに、"ウラン酸化物とプルトニウム酸化物を混ぜ合わせた混合酸化物を「MOX」という"とあることから、適用対象で"MOXとは、混合割合が任意のものとする"ことで混ぜ合わせていないPu単体も含めるとするのは無理ではないか?」

★このうちのC8は単なる言葉を問題にしているだけ。C3は本質的で、混合割合を任意とすると、安全上などに相当に響くのではないか、それがそうなっているかを問題にしている。

分科会第14回(H13.12.14)
資料「M分第14−3号」で、上のコメントを受けて、指針案の修正提案が以下のようになされた。
「I.適用対象
 ・・・MOX粉末にウラン酸化物粉末を加えて・・・。 ただし、ここでいうMOXとは、次に掲げる各号のいずれかに該当するものをいう。
(1)使用済み燃料を湿式法(ピューレックス法)により再処理し、混合脱硝により製造したMOX
(2)上記(1)のMOXを劣化ウランまたは天然ウランと任意の割合で混合したMOX」

★このMOXの定義だと、「混合脱硝により」によって50:50のMOXということにほぼ限定されることになるし、議論の中でもそのような理解である。この提案によって、議論は完全に第1回目の段階に戻ったことになる。

★このときの議論では、仁科委員、小山委員がこの提案に賛意を表明し、ほぼその方向に行きかけたが、途中から飛岡原子力安全委員の(1)(2)をとった方がよいとの奇妙な趣旨の発言があり、いろいろあったあげく、鈴木原子力安全委員の次の発言で逆転の方向が出た。しかし結局このときは以下のようにペンディングとなった。
○鈴木原子力安全委員  ちょっと私が間違っているかもしれませんけれども、私の理解は、ここで、今までさんざん議論していただいた指針の中身というのは、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のものであってもいいはずで議論しているんですよね。私の理解は。それでよろしいでしょうか。にもかかわらず、いきなりここで適用範囲をどこからそういう話があったから、そうしてしまおうというのは、実は指針の中身はどうなっているのかなというのが率直なちょっと疑問なんです。ですから、そこは、そういうご意見があることは確かなので、したがって、本来、混合割合については任意だという前提で議論していたことを、そこで、では指針の中身をどういうふうにここで考えるか。そういうこととの関連で最終案を出させていただけたら大変ありがたいというふうに思います。○竹下主査  事務局。○仲嶺審査指針課長  今、鈴木安全委員からもお話がございましたが、別途お配りしております資料の14−5のところの1ページにも書いてございますように、1ページの一番下でございますが、ここの適用対象の議論につきましては、当初いろいろなご意見がございました。それで、六ヶ所を想定しているのであるから50:50のそれだけでいいというところから始まりまして、プル単体も一応考慮しましょうと、そういう割合が幾らでもいいではないかというふうに議論が深まっていったところでございます。その議論を受けてこのような提案を事務局からさせていただいているわけでございますので、鈴木安全委員も言われたことですが、それらの議論も全部踏まえた上で鈴木委員が言われたように、ここのただし書き以降が要らないというのであればそのようにご判断いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。○竹下主査  実は、きょうまだずっとたくさん議論しなければいけないところがございまして、今ここで、確かにこれまでの多少紆余曲折があったかと思うんですが、ここのところは事務局と私どもでもう1回問題を整理して、確かに今鈴木先生がおっしゃったように、ここの表現が変わることで、後の指針が本当に変わるのかと言われたって、私は変わらないと思うんですが、だから、そんなに非常に重要なコメントが出されたというあれではなかったけれども、そういうコメント対応ということで、こういうふうな案を考えてみたわけですけれども、ちょっといろいろな議論がありますので、改めてもう1回整理をさせていただいて、それで、改めて、多分次回になろうかと思いますけれども、この部分をペンディングにさせていただきたいと思います。」
★この議論からも分かるように、結局、プルトニウム単体を扱うと指針の中身にどう響くのかという検討がなされていない。
★もうひとつこの日の議論ではじめて分かったことは、50:50のウランでは、劣化ウランと異なって核分裂性ウランが1.6%程度まで含まれているということ。劣化ウランでは0.2%程度なので非常な違いである。フランスやイギリスなどでは、酸化プルトニウムに劣化ウランを混ぜるので、製品としてできるMOX中には核分裂性ウランはほとんど含まれないが、六ヶ所MOX施設ではかなりの核分裂性ウランが含まれることになる。ところが、この影響についてはまったく具体的な議論がなされなかった。

分科会第15回(H13.12.20)
資料「M分第15−1号」の指針案では、適用対象は元に戻った。
○竹下主査 最初に、適用対象の限定のところから議論をお願いしたいと思います。 今、事務局の方で提案いただいたのが2ページ目の説明なんですが、これはいろいろこれまでの議論で紆余曲折があったかと思います。可能なら、できるだけ広げておいた方がいいですねというのと、一方、余り広げ過ぎると、余計な安全上の拘束を与えてしまって、それも具合が悪いのではないかという、だから、適当なところはどこかというのを一種探す話なんですが、前回、特に鈴木安全委員の方からは、基準部会でこう言われたからと、そうすぐ直す必要もないんではないかというようなご意見もあったかと思います。 ということで、一応、事務局あるいは関係の委員の方とも議論した上で、大体こういう案でどうかというのが2ページの案でございますが、いかがでございますか。 大体こんなところでいいのではないかと私も思うんですが……、古屋委員。○古屋委員  そこに「放射線障害」とただ書いてあるだけなんですが、これをどう解釈するかということが、例えば安全審査のときには問題になるんではないかなと思うんですが。○竹下主査  済みません、今、適用対象のところです。それはこの次のところで議論したいと思います。 それでは、適用対象の方は、これでお認めいただいたということで、次に、今の古屋委員もご指摘がありました指針3でございます。」

分科会第16回(H14.1.30)
 「適用対象」について特筆すべきことなし。

■■原子力安全基準専門部会第5回(H14.2.8)
★分科会より以下の報告がなされて、奇妙なことに前のコメントとの関係について特に何も議論なしにそのまま了承された。
○及川管理官 次のページでございます。「適用対象」でございます。4行目のところでございますが、「劣化ウラン酸化物又は天然ウラン酸化物の粉末」という形で、取扱うウランの品位を限定するという形で示してございます。また、前回は、この「適用対象」のところの最後のところでございますが、「ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のもの」というようなところにも関連いたしまして、相澤委員から、不要にこのようなプル単体まで読める表現とすることで指針全体が過剰な要求になっていないのかというコメントがございましたが、実はこの分科会ではこの指針を策定するにあたりまして、まずプル単体であるとか実際に使われるだろう1対1の混合のMOXのものにつきまして、臨界の量にどのぐらいの違いが出るだろうかとか、比放射能であるとか、崩壊熱とかというところを比較をしてみた上でほぼ同レベルであろうという判断をくだしまして、ここでは「混合割合が任意のものとする」という形にしてございまして、最初からそのようなスコープでやってございますので、必ずしも過剰なものとはなっていないというふうに分科会では判断がございました。」 

分科会第17回(H14.3.26)
 意見公募に対して、原料問題では2つの意見が出され、それに対する回答が議論された。
○事務局  意見No.4でございます。
 [意見及び理由] 指針では、「MOXとは、ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のものとする」と記述されています。東海村JCO臨界事故では、高濃縮ウラン加工申請を、低濃縮の審査指針で認めるというずさんな安全審査をしたことが、事故の引き金になったと認識しています。 六ヶ所のMOX燃料加工工場では、プルサーマル用以外の燃料もつくることを視野にいれているのでしょうか。その場合、東海村の教訓は、どう生かされるのでしょうか。
 というご意見でございます。 回答(案)でございますが、 ご指摘のとおり、MOX指針では、MOXを「ウラン酸化物とプルトニウム酸化物の混合割合が任意のもの」としています。 現在、計画中のMOX燃料加工施設では、取扱うMOXのうち、プルトニウム酸化物の割合が最大でも50%と聞いていますが、プルトニウム酸化物単体の特徴とプルトニウム酸化物の割合が50%のMOXの特徴とに大きな差がないため、MOX指針においては、この差を考慮する必要はないと考え、MOX中のプルトニウム酸化物の割合については特に制限を設けなかったものです。この結果、指針としては安全側の要求となっていると考えます。」

★意見11についても、原料に対してはほとんど同じ回答が出された。この回答の中で言っている「安全側の要求となっている」というのは、プルトニウム酸化物単体を扱った方が安全性にとって厳しいので、そこで安全性が確認されれば、50%MOXに対しても安全性は当然確認されたことになるという意味である。安全性が確認されれば当然そのとおりであるが、問題はそのような安全性を確認するという姿勢がとられていないことにある。2つの原料の特徴に大差はないと頭から決め付けて、実際にその差が例えば耐震安全性にどのような差をもたらすかなどという具体的な検討は何もやられていない。そのような懸念の声が委員からも出ていたのに、最後は無視されてしまったのである。