|
||||||||||||||
九州電力、四国電力及び中部電力のMOX燃料が、まもなくフランスから輸送されると報道されています。しかし、それらのMOX燃料は臨界事故を起こす危険性があるという疑義が、下記に述べるように新たに浮上しています。 そのため私たちはMOX燃料の輸送を深く憂慮しています。この憂慮は、私たちばかりでなく、輸送ルートにつらなる国々の人たちにも共通するものです。 そのため、この問題について貴省として独自の解析などを行い、私たちの疑問に答えてください。疑義が完全に払拭されるまで、けっしてMOX燃料の輸送を許可しないよう要望いたします。 1.安全審査を通した時の臨界解析 MOX燃料の輸送に関しては、9メートル落下試験をしたという条件の下で、MOX燃料が水に浸かった場合でも臨界に達しないことが要求されています。実際、電気事業者は放射性輸送物設計承認申請書の輸送物安全解析書の中でそのような臨界解析を実施しています。 その際問題になるのは、国土交通省の「船舶による放射性物質等の運送基準の細目等を定める告示」(以下で告示という)第9条第二項の規定です。そこでは、「放射性物質等は中性子増倍率(原子核分裂の連鎖反応において、核分裂により放出された一個の中性子ごとに、次の核分裂によって放出される中性子の数をいう)が最大となる配置及び減速状態にあること」という条件が課せられています。 上記規定では、「中性子増倍率が最大となる配置」を想定することが要求されているのに、事業者が行った安全解析書では、9メートル落下した後でもMOX燃料集合体には何らの変形もないと頭から仮定していました。その結果、臨界には達しないとの結論が導かれ、2007年より前に貴省の安全審査を通っていたのです。 2.新たな問題を提起した2007年10月の論文 上記のような解析の前提に対して、2007年10月、新たな問題が提起されました。それは核燃料輸送事業者の国際団体WNTI(World Nuclear Transport lnstitute)のPATRAM2007において発表されたLyn M.Farringtonの論文です。 この論文によると、加圧水型(PWR)燃料集合体の場合、9メートル落下によって最下部区分の燃料棒が鳥かご型に膨らみ、燃料棒間に介在する水による中性子の減速が進むために中性子増倍率が増大することが指摘されています。燃料集合体の最下部の支持格子が壊れて燃料棒1本当たりに3mmの変形が生じた場合には中性子実効増倍率Keff+3σが1以上となって臨界を超えることが示されています。また、1mm変形の場合でも中性子実効増倍率は0.96を超えています。日本原子力学会の標準(2006年)では、臨界の危険性の基準を0.95にとっているため、わずか1mm変形の場合でも重大な問題が起こる可能性があると考えるべきです。 3.事業者による緊急の試験と解析 この問題提起を受け止めて、電気事業者は直ちに2007年12月から2008年3月までの間に新たな試験を実施したということです(12月24日の近藤正道参議員レクにおける国土交通省検査測度課長の説明。電気事業者がFarringtonの論文を直ちに重く受け止め、緊急な試験を行ったことはとても注目に値するものです)。その試験に関すると思われる公表された資料によれば、それは次のような内容になっています(ただし、この公表資料には作成者と日付が書かれていません)。
この試験結果によって、それ以前に終了していた審査の前提は崩れていないと判断したと、検査測度課長は12月24日に説明しています。しかし、この結論には下記に指摘するような問題があります。 4.事業者の試験と解析に関する疑問点 以下の疑問点に答えてください。
5.結論と要望事項 前項に記述した疑問点が解消されない限り、少なくとも加圧水型である九州電力と四国電力のMOX燃料については、輸送中に臨界事故を起こす危険性があると考えざるを得ません。輸送中に輸送ルートの国の近くで、あるいは日本の港に到着したときに臨界事故を起こす危険性があるのに、それを無視して輸送を強行するのはけっして許されることではありません。 以上の考えに立って、以下の点を要望いたします。 |
||||||||||||||
要 望 事 項 | ||||||||||||||
1.第4項で記述した疑問点に文書で回答してください。 2.臨界の疑義が完全に払拭されるまで、けっしてMOX燃料の輸送を許可しないようにしてください。 |
||||||||||||||
MOX燃料輸送中の臨界事故を憂慮する全国の市民(97団体) | ||||||||||||||
<連絡先> 原子力資料情報室 〒162-0065 新宿区住吉町8-5 曙橋コーポ2B TEL 03-3357-3800 / FAX 03-3357-3801 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 〒530-0047 大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル3F TEL 06-6367-6580 / FAX 06-6367-6581 <団体名> プルサーマルと佐賀県の100年を考える会(佐賀県)/唐津環境ネットワーク(佐賀県)/止めようプルサーマル・佐賀(佐賀県)/脱原発ネットワーク・九州(福岡県)/九電消費者株主の会(福岡県)/北九州から脱原発社会を考える会(福岡県)/たんぽぽとりで(福岡県)/ウィンドファーム(福岡県)/チェルノブイリ友の会(福岡県)/NGO人権・正義と平和連帯フォーラム(福岡県)/核・ウラン兵器廃絶キャンペーン福岡(福岡県)/原発なしで暮らしたい・長崎の会(長崎県)/川内原発建設反対連絡協議会(鹿児島県)/川内つゆくさ会(鹿児島県)/自然の灯をともし原発を葬る会(鹿児島県)/脱原発大分ネットワーク(大分県)/球磨川からすべてのダムを無くし鮎の大群を呼び戻す会(熊本県)/九州住民ネットワーク(九州)/原発さよなら四国ネットワーク(愛媛県)/伊方原発反対八西連絡協議会(愛媛県)/八幡浜・原発から子供達を守る女の会(愛媛県)/原発さよならえひめネットワーク(愛媛県)/阿部悦子と市民の広場(愛媛県)/原発なしで暮らしたい松山の会(愛媛県)/愛媛の活断層と防災を学ぶ会(愛媛県)/放射能を憂慮する市民の会(愛媛県)/東温市・農薬空中散布に反対する会(愛媛県)/子どもの未来と環境を守る会(愛媛県)/愛媛環境ネットワーク(愛媛県)/風をおこす女の会松山(愛媛県)/愛媛−沖縄ゆいまーる(愛媛県)/松山YWCA(愛媛県)/生き活き政治ネット(愛媛県)/教科書裁判を支える愛媛の会(愛媛県)/新社会党愛媛県本部(愛媛県)/未来を考える脱原発四電株主会(徳島県)/環瀬戸内海会議(岡山県)/島根原発増設反対運動(島根県)/原発はごめんだヒロシマ市民の会(広島県)/プルトニウム・アクション・ヒロシマ(広島県)/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(大阪府)/ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン(大阪府)/ストップ・ザ・もんじゅ(大阪府)/若狭連帯行動ネットワーク(大阪府)/さよならウラン連絡会(兵庫県)/グリーン・アクション(京都府)/原子力発電に反対する福井県民会議(福井県)/福井県平和環境人権センター(福井県)/原発設置反対小浜市民の会(福井県)/徳山ダム建設中止を求める会(岐阜県)/平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声(岐阜県)/放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜(岐阜県)/くらし しぜん いのち 岐阜県民ネットワーク(岐阜県)/国労多治見分会(岐阜県)/核のごみキャンペーン・中部(愛知県)/食と環境の未来ネット・中部よつ葉会(愛知県)/浜岡原発を考える静岡ネットワーク(静岡県)/御前崎市浜岡原発を考える会(静岡県)/地震で原発だいじょうぶ?会(静岡県)/食べ物・環境・エネルギーを考える会(静岡県)/原子力資料情報室(東京都)/福島老朽原発を考える会(東京都)/ストップ・ザ・もんじゅ東京(東京都)/ふぇみん婦人民主クラブ(東京都)/グリーンピース・ジャパン(東京都)/原発を考える品川の女たち(東京都)/原水爆禁止調布市民会議(東京都)/STOP!劣化ウラン弾キャンペーン(東京都)/たんぽぽ舎(東京都)/都労連交流会(東京都)/ストップ再処理工場・意見広告の会(東京都)/地震と原発を考える会(東京都)/原発・核燃とめようかい(神奈川県)/プルトニウムフリーコミュニケーション神奈川(神奈川県)/ピース・ニュース(神奈川県)/福島市民事故調査委員会(首都圏)/東電と共に脱原発をめざす会(首都圏)/みどりと反プルサーマル新潟県連絡会(新潟県)/柏崎原発反対地元三団体(新潟県)/原発反対刈羽村を守る会(新潟県)/脱原発をめざす新潟市民フォーラム(新潟県)/ストップ!プルトニウム・キャンペーン(福島県)/脱原発福島ネットワーク(福島県)/三陸・宮城の海を放射能から守る仙台の会(わかめの会)(宮城県)/みやぎ脱原発・風の会(宮城県)/NPO地球とともに(宮城県)/原子力発電を考える石巻市民の会(宮城県)/水俣病に学び放射能から海・空・大地を守る会(宮城県)/三陸の海を放射能から守る岩手の会(岩手県)/花とハーブの里(青森県)/核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会(青森県)/核燃を考える住民の会(青森県)/核燃から郷土を守る上十三地方住民連絡会(青森県)/核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団(青森県)/函館・「下北」から核を考える会(北海道)/ストップ大間原発道南の会(北海道)/大間原発訴訟の会(北海道) |
||||||||||||||
(09/02/16UP) |