漏えいを見つけるのは、怒れる母親 (ケビンさんの話より) |
イリノイ州でトリチウムが大量に漏れた例があります。それは4年間にわたって、1996年から2000年の間、22回漏えいが起こりました。そのうちの2回は、ものすごい大量の水が漏えいしました。ひとつずつが1200万リットルの水が漏えいしたのです。これが起こったのはエクセロン社の施設だったのですが、10年間会社はこれを隠し通しました。原子力規制委員会はこんな漏えいが起こっていることを何にも知らないということになっています。このことで分かると思うのですが、モニタリングシステムがいかに不十分であるか、設備が足りないかということです。1200万リットルの漏えいが検知できないわけですから、モニタリングシステムは全然だめなわけですね。こんなに大量にエクセロンが漏れを起こしていたということが、どうやって発覚したかというと、一人の女性の努力によるものです。シンシア・サワーという人です。2001年にシンシアさんの娘、サラが脳腫瘍を持っているということが発見されました。それは7歳の時です。自分の娘、サラが脳腫瘍になった。でも、自分の娘が通っていた小学校に、なんと5人の子供に脳腫瘍が発生していることを知った、彼女が調べて分かったわけです。どんどん調べていったら、自分たちが住んでいる郡の中で20も小児の脳腫瘍があったということが発覚したわけです。この郡は人口がすごく少なくて、平均でいうと1例も起こらないはず。それだけの人間しか住んでいない。シンシアさんは、もう、この官僚あの官僚、いろんな人をつかまえて、そして一体何なのか、どうなっているのかということを一生懸命聞いて回りました。どういう人たちかというと、地元の水道局からホワイトハウスまで、いったいこれはどうなっているのかということを尋ねたわけです。何年間もいろいろ調査して、その結果、十分な情報を手に入れることができたのは、情報公開請求によってでした。情報公開を請求したら、10年間、この電力会社が漏えいを起こしていたことが初めて発覚したのです。原子力規制委員会というところが、どんなにひどいのかというと、これだけこの郡に脳腫瘍が発生し、これだけの漏えいを発電所が起こしていたということが分かったのに、因果関係はまったく見られないといっているわけです。ですから、原子力規制委員会が今何をしようとしているかというと、前も1回やったことがあるんですけれども、原子力発電所の周りのガンの発症率の調査を今はじめようとしています。これから調査を始めるということで審議会が開かれて、そこにサラ、今は16歳になっていますけれども、そのサラさんが他の子供たちが自分のように苦しまないように、絶対に行動を取ってくれということを主張しました。全米ガン協会と原子力規制委員会は1990年に一度、原子力発電所の周りのガンを調査しています。その調査では原子力発電所とガンの発症率との因果関係は見つかりませんでした。しかし、当時シンシアさん、サラのお母さんはいろいろな人と話をしていましたから、ある日夜中に電話が彼女にかかってきて、それはあるNRCの職員からの電話でした。そしてこの膨大な調査の何ページの何行を見なさいというふうに言われました。そこに埋もれていたのは、この調査の方法にはいろいろな問題があると書かれていたのです。その調査の問題は、原子力発電が設置されている郡のガンしか見ていなくて、風下とか下流の郡の発ガン率を見ていなかったわけです。われわれの考えは、そのような間違いというのは意図的にやっているもので、わざとやっているのではないかと思います。だから、今度の調査が、これからもう一度手がけられようとされているのですが、もう本当に徹底的な監視をします。ごめんなさい。モニタリングをどうやってやるんですか、どうやって漏えいを見つけるんですかということについての非常に長い回答でした。それが私の回答です。つまり、[漏えいを見つけるのは]母親、怒る母親だったんですね。 |
(10/08/21UP) |