「対話集会」を地方自治法の専門家が批判
「住民投票結果は対話集会より重い」

(7月20日付「新潟日報」の特集記事より)


 7月20日付「新潟日報」に、「住民投票結果を住民集会で検証する試みは全国的にも例がない。はたして集会は有効なのか」との特集記事が掲載されました。地方自治法の専門家等の見解を紹介し、「住民投票」と「対話集会」との「重み」を比較検討しています。
 専門家が下している結論は、「『対話集会』には、『住民投票結果』を覆す有効性はない」というものです。以下にその内容の一部を紹介します。 

◇「1年あまりで投票結果が左右されるのはおかしい」。(石橋誠也・新潟大教授−地方自治法)
 「集会は、例えば画期的な安全技術が確立されたとか、国民世論が大きくプルサーマル実施に傾いたとか、村の内外にこの1年間で反対の結果を覆す事実が生まれ、村民の意見を聞く必要性が出てきたときに限られる。しかし、そのような変化はない。ならば集会は不必要で、村長は条例の『尊重』条項を守るのが筋」。
 村民集会が住民投票結果を覆す結論になったらどうなるのか。「全有権者が集会に参加するとは限らないし、衆人環視の集会で自由に発言できるともいえない。村長は再度、住民投票を行って有権者に判断を仰がなければならない」。

◇憲法第8章「地方自治」の解釈から、住民投票結果には法的拘束力がある。投票結
果を無視する村民集会は無意味。(杉原康雄・駿河台大教授−憲法)
 「住民投票という制度に対抗するには、対等かそれを超える制度が必要」。
 杉原氏は、地方自治法94条は議会に替わる有権者による総会(町村総会)を認め、95条では条例制定により総会が議会と同じ機能を果たすことを認めていると指摘する。「町村総会は直接民主主義そのもの。住民投票は自治体の諸課題を1つの争点に絞って直接、住民に問うもので、町村総会の1形態とも解釈できる。従って、村民集会が条例に基づく町村総会なら住民投票に対抗しうるが、条例なしなら有効性はない」。

◇「大衆集会を開いて首長が独断で判断を下すことは、やってはいけない」。(高畠通敏・駿河台大教授−政治学)
 「民主主義は首長の判断を議会がチェックすることで成立する。議会手続きを省き、集会結果だけの政策判断は独裁につながる」。

◇「地方自治は転換期にあり、住民とのパートナーシップが大事になっている。住民投票で示された結果を揺るがす状況変化がないのに集会を開くことは、村長が住民との関係を断ち切ることで、混乱要因になる」。(白藤博行・専修大教授−地方自治法)



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