■フランスで保管中の核物質輸送容器に腐食が見つかる
★返送MOX用輸送容器について
中性子遮へい材レジンをはがし、輸送容器の腐食検査を行え


要求書及び質問書
関西電力株式会社 御中

 フランスに保管中の貴社の核物質輸送容器で、放熱用フィンと胴体部との溶接箇所に腐食が生じていたことが明らかとなった。
 6月7日、貴社は、4基のTN−12P(M)型MOX燃料輸送容器の1基で「(フィンの)わずかに浮き上がり兆候があることが判明し」、その原因として「容器本体胴外表面の低炭素鋼製オーバレイの一部に腐食が発生し、放熱用フィンの溶接部が剥離、放熱用フィンが浮き上がったものと推定される」と発表した。
 同時に、そのプレスリリースの中で、BNFL社製不正MOX燃料の返送用として間もなく使おうとしている輸送容器は、EXCELLOX型で「放熱用フィンの構造が異なる」ため「影響はない」と述べている。何の検査もなしに、「影響なし」としてしまう貴社の姿勢は、これまでの安全軽視の姿勢そのものであり、断じて許されるものではない。
 フィン溶接部での腐食の発生に関しては、「構造の違い」ではなく、材質そのものがまず問題となる。フィンが溶接され腐食していたオーバレイは低炭素鋼製であった。今後製造する容器はステンレス製に変更すると貴社は発表しているが、返送MOX用輸送容器は炭素鋼であり、腐食の可能性が十分考えられる。
 よって、返送MOX用輸送容器の腐食に関して、中性子遮へい材レジンをはがして徹底した検査をまず行うよう要求する。腐食が発生した溶接箇所はレジンで被われており、レジンをはがした検査を行わなければ、腐食の状況等は把握できない。
 放熱用フィンの検査に関しては、貴社が昨年行ったのは外観検査であり、この外観検査では異常を発見することはできなかった。今回新たに「非破壊検査(サーモグラフィー法及び電気抵抗法)」を実施して初めて、「わずかな浮き上がり」を確認したという。しかしこの検査方法は、レジンが存在する状態で行われているため、どれだけの浮き上がりがあったのか、溶接箇所はどの程度剥離していたのか、腐食の状態はどうだったのか等々を明らかにすることはできていないと考えられる。
 さらに貴社は、当初4月16日には、返送用容器の設計承認の後、容器承認を申請すると公言していた。ところが、返還スケジュールを最優先させ、4月26日に容器が英国を出港してしまったため、国の立ち会い検査ができなくなり、容器承認申請を放棄した。そのため、返送用輸送容器は、容器承認も持たないという前代未聞の容器である。そのような状況の中で、フランスに保管中の輸送容器に腐食が確認されるという新たな状況が加わったのであるから、徹底した調査によって、腐食等が存在しないことが確認されない限り、返送用輸送容器の使用は許されるべきではない。
 なお、「輸送物発送前検査要項」(貴社の2001年10月公開:EXCELLOX(M)R型輸送物安全解析書ハ−A−2頁)では容器本体に関しては「外観検査」しか記載されていない。上記に述べたよう、「外観検査」では腐食は発見できなかった教訓を踏まえ、徹底した検査を行うことが重要である。


要  求  事  項
1.中性子遮へい材レジンをはがし、BNFL社製不正MOX燃料返送用輸送容器の腐食検査を行うこと
2.その調査結果を公表すること
3.腐食等がないことが確認されない限り、当該返送用輸送容器を使用しないこと


質  問  事  項
1.貴社用の1基で見つかった「わずかに浮き上がりの兆候」について、浮き上がりの寸法、「溶接部の剥離」の状況等を具体的に明らかにすること。

2.今回腐食が確認されたTN−12P(M)型と返送用のEXCELLOX型について
@「構造の違い」とは何か。
A「構造の違い」によって腐食が起きないとする根拠は何か。
BEXCELLOX型の材質等は何か
C今回の返送用輸送容器について、腐食の検査を行ったか。行ったのであればその日付と検査結果を明らかにすること。

2002年6月10日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
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美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
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