関電高浜3・4号機プルサーマルに関する質問書
プルサーマルを敢えて実施する理由について
パンフレット「関西電力のプルサーマル計画について」の内容等に関して

関西電力(株)社長 森 詳介 様

2008年11月21日

 貴社は11月10日に高浜3・4号機のMOX燃料輸入燃料体検査申請書を国に提出しました。また、新たに「関西電力のプルサーマル計画について」と題するパンフレットを発行しています。最初の頁では、「プルサーマル計画を着実に進めてまいります」と題して、「プルサーマルは、限りあるウラン資源を有効に利用し、エネルギーのリサイクル社会を切り開くための重要な技術」と位置づけています。
 これらに関連する問題について質問しますので、速やかに回答の場を設定してください。

1.プルサーマルを敢えて実施する理由について
 高浜3・4号機はもともとウラン燃料を使用するように設計されています。ウランと核特性の異なるプルトニウムを混ぜた燃料を使用することは、本来想定されていない方式であり設計に反しています。事故時などに予想もしなかった危険が生じる可能性は否定できません。

(1)それなのになぜプルトニウムを混ぜたMOX燃料をわざわざ使用するのか、その理由を簡潔に分かりやすく説明してください。

2.プルサーマルの実施によって、ウラン資源の可採年数は何倍になるのですか
 (パンフレット5頁の図「エネルギー資源の可採年数」について)
 5頁では、「プルサーマルの必要性について」書かれています。その中で示されている「エネルギー資源の可採年数」の図では、「高速増殖炉の実用化によるプルトニウムの利用によりウランは数倍から数十倍利用年数が延びます」と説明されています。ところが、プルサーマル実施によってウラン資源の可採年数が何倍になるかは書かれていません。

(1)「高速増殖炉の実用化」ではなく、日本の現在のプルサーマル計画(2010年度までに16〜18基)の実施で、ウラン燃料の可採年数は何倍になるのですか。

3.使用済み燃料の「約95%がリサイクルできる」という宣伝について
 (パンフレット6頁「天然ウランの消費を節約できます」について)
 この6頁の表題は、「プルサーマルのメリットについて」となっており、使用済み燃料の「約95%がリサイクルできる」と書かれています。
 95%の内訳は、回収ウラン94%(ウラン238が93%、ウラン235が1%)と、プルトニウム1%、残り約5%は高レベル放射性廃棄物で「処理・処分」となっています。

(1)再処理によって取り出した貴社の回収ウランの量は、これまでいくらですか。

(2)その内、これまで使用した回収ウランの量はいくらですか。年ごとの使用量を示してください。

(3)メロックス工場で製造予定のMOX燃料に、貴社の回収ウランを使用しますか。使用しない場合は、その理由を示してください。

(4)ウランの新燃料をつくる過程で大量に発生する劣化ウランについて、貴社はこれまで、劣化ウランを米国にタダで譲渡してきました。なぜ使わないのですか。使用した実績があればどの原発でいつ使ったのかを示してください。

4.「高レベル放射性廃棄物を半分以下に減らすことができる」という宣伝について
 (パンフレット6頁「高レベル放射性廃棄物を半分以下に減らすことができます」について)
 6頁では、使用済み燃料を再処理した場合としない場合を比べて、再処理した場合の高レベル廃棄物の「量」は、使用済み燃料を直接処分した場合より半分になると書かれています。

(1)この場合、「量」とは何ですか。ガラス固化体と使用済み燃料の「体積」のことですか。

(2)使用済み燃料の再処理によって出てくる放射性廃棄物は、ガラス固化体だけでなく、例えばTRUや様々なレベルの放射性廃棄物があります。これらを考慮すればどのような評価になりますか。

(3)再処理をすれば大気と海洋に大量の放射能が放出されることは不可避であり、そのことを多くの人たちが心配しています。使用済み燃料を再処理しなければこのような問題は起きないことになりますが、その点はどう評価していますか。

(4)「処理・処分」を予定している高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、六ヶ所再処理工場のアクティブ試験でも製造されています。そこでは、イエロー・フェーズを含んだ欠陥品のガラス固化体が製造され、国の委員会でも、地層処分に耐えられないという懸念の声が出ています。このようなガラス固化体の「処理・処分」についてはどうするのですか。

(5)ガラス固化体の最終処分場は未だ決まっていません。少なくともパンフレットにそのことを明記すべきではありませんか。

5.MOX燃料の費用などについて
 パンフレット8頁の囲みでは「電気料金への影響」という記載がありますが、ここでは「電気料金への影響は小さい」と一般的に書かれているだけです。

(1)ウラン燃料と比べて、MOX燃料の費用は1トン当たりどれくらい高いのですか。

(2)ウラン燃料の費用には、ウランの採掘・濃縮・加工・輸送等の各工程の費用が含まれているはずです。MOX燃料の費用に含まれているのは、どのような工程ですか。

(3)再処理費用は、使用済み燃料1トン当たりいくらですか。


2008年11月21日

  グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
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(08/11/27UP)