4/11関電交渉速報


「合法的に作った」だけを繰り返す関電

合法的に旧ラインで製造したのか?

「何を言ってるんですか」「あまり突っ込まないでください」

具体的にどう法令を遵守しているのか?

「それを言えばどのラインで作ったかを言わなければならなくなる。」

フランス政府のプルトニウム持ち込み許可はいつ出たのか?

「許可の日を言えば、やっぱりMWFB(新施設)で作ったということになるし。
とにかく合法的ということ」

国際海洋法裁判所の判決よりBNFLを信じる関電



 4月11日、午後5時から約2時間半、市民側10名、関電からはいつもの広報員3名が対応し、交渉を行いました。速報です。

 私達は、3月15日付の追加質問書で、関電が製造を中止したコジェマ社メロックス工場でのMOX燃料はフランス政府のプルトニウム持ち込み許可が出る前に製造され、違法な製造ではないのかという疑惑を明らかにするよう求めていました。当日の関電の対応は、「合法的に製造された」と一般論を繰り返すばかりです(3/15付追加質問と回答参照)。しかし具体的に追及すると、驚くような発言まで飛び出し、疑惑はますます濃くなってきました。

「合法的に作った」と一般論を繰り返すだけの関電
 関電が読み上げた回答は「フランス政府から許可を受けた施設で製造している。だから合法的だ」と言うものです。しかし、プルトニウム持ち込み許可との関係では、具体的なことは何も言っていません。
 そこで初めに、フランス政府のプルトニウム持ち込み許可が出たのはいつかと聞くと、じっと黙ってしまいました。そして「5月だったと・・・」と言いながら一人の広報員が資料をめくり始めます。すると隣の広報員が「我々としては法律は遵守している」「日付の資料は手元にない」などと言い出します。そこで、こちらから「プルトニウム持ち込み許可は2000年4月18日でしょう」と聞くと、また黙り込んでしまい「美浜の会のホームページにそう書いてあることは確認している」などとふざけた回答です。
 あまりに「合法的に作ったことを確認している」と繰り返すので、「合法的に作ったと言うのであれば、フランスEDF用の旧ラインで作ったということか。旧ラインなら新しい許可もいらないし、確認する必要もない。確認したと言っているのは新しい施設だからということになるが?」「古いラインで作ったのか」と念を押しました。すると「何を言っているんですか」と旧ラインでの製造を否定するような発言が飛び出し、さらに「あまり突っ込まないでください」「コモックスの守秘義務に関わることなので、私達はべらべらしゃべれない」などと言いだしました。
 さらに、具体的にどう法令を遵守しているのかと問うと、「それを言うと、どのラインを使ったのかを言わなければならなくなる」。関電自身がフランス政府のプルトニウム持ち込み許可の日を確認しているのかと問うと、「許可の日を言えば、やっぱりMWFB(新施設)で作ったということになるし。とにかく合法的ということです」。
 このように、関電は「合法的につくった」を繰り返すばかりで、具体的に追及されると何も答えられないという全く無責任な姿勢です。
 また、質問に対する回答は、ほとんどが「守秘義務上答えられない」「使用を取りやめたので答える必要はない」という傲慢なものでした。メロックスで製造したペレット数に関しては、当初は16体と述べていたのに、前回の交渉で「32体」と関電側が答えたため、今回新たに数字を確認する質問を出していました。しかし、その回答は「使用を取りやめたので答える必要はない」というものです。前回、関電が「16体か32体かはっきりしなくなったので、改めて質問を出してくれ」と言っていたのにです。とにかく何でも隠してしまえという関電の姿勢には、参加者一同、怒り心頭で、激しく関電を追及しました。
 97年上期(10月)〜98年上期に行ったメロックス工場への資格審査では、ウランではなく、実際にMOX燃料を作らせて確認したとのことでした。プルトニウム・スポットに関しては、「化学エッチング法」では、一次混合でできる30%程度のスポットは確認できるが、10%濃度のスポットは確認できないとのこと。「化学エッチング法」の性能評価は、メロックス工場の内部レポートでだけ確認しており、他での確認は行っておらず、メロックスがいいと言っているから、それを信じているとのことでした。

国際海洋法廷の判決よりBNFLを信じる
 データねつ造された高浜4号MOX燃料返還問題に関しても、関電は驚くべき発言を行いました。昨年アイルランド政府は、BNFLの新MOX工場(SMP)の運転開始に反対し、イギリス政府を相手取り国際海洋法裁判所に提訴しました。この裁判の判決で、2002年10月までは、セラフィールドへの放射性物質の搬入・搬出もないことが確認されています。私達は、この判決をもとに、高浜4号MOX燃料の返還は10月以前には行わないということを関電に確認しようとしていました。当日の回答は「返還の時期は未定だが、可能な限り早く返還したい。返還に関して制約条件はないとBNFLは言っている。裁判については承知していない」というものです。裁判の判決よりBNFLの言うことを信じているというのです。BNFLのセラフィールド再処理工場による放射能汚染に対し、ヨーロッパでは、アイルランドやノルウェー等、国を挙げて反対しています。その声に耳を貸そうともせず、裁判所の判決も無視しようとしています。この関電の姿勢は、BNFLのデータねつ造事件からやはり何も学んでいないことを現しています。


追加質問(3/15)と回答

1.メロックス工場での貴社のMOX燃料製造は、フランス政府の許可等を含め、全て合法的に行われたのか?

(回答)MOX燃料加工にあたってコモックスは、MOX燃料加工に関係する国の法律や規則を遵守することが契約上要求されている。また、コモックスへ事実関係を問い合わせたが、コモックスからは、当局から許可をえた設備を使用して燃料を製造しており、常に法令等を厳守しているとの回答を得た。

2.メロックス工場での貴社のMOX燃料製造は、フランス政府が施設へプルトニウムを持ち込んでもいいという許可を出した後だったのか?

(回答)コモックスへ事実関係を問い合わせたが、コモックスからは、当局から許可をえた設備を使用して燃料を製造しており、常に法令等を厳守しているとの回答を得た。



<国際海洋法裁判所判決より>

(注)2001年12月3日、国際海洋法裁判所のTHE MOX PLANT CASEの判決文に以下の文章があります。国際海洋法裁判所の判決文はイギリス政府の以下の保証を確認しています。従って、アイルランド政府は2002年10月より以前にセラフィールド施設に放射性物質の海上輸送はないと認識しています。

78.2001年11月20日に開かれた法廷で、英国は「MOX工場[SMP]の運転開始の結果として、セラフィールドへも、セラフィールドからも放射性物質の追加的な海上輸送はない」と陳述したことを確認する。

79.同じ席で、英国はさらに「2002年夏までは、その施設からMOX燃料の搬出はないこと」および「その期間内に、MOX燃料を製造する契約に従って、使用済燃料をソープ再処理工場に搬入することもない」と陳述した、および「夏」という言葉は「10月」と読まれるべきであることが明らかにされた、ことを確認する。

80.裁判所は、78項と79項の記述を、英国によって与えられた保証として公判記録に残すことを確認する。



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