関電はコジェマ社とのMOX製造契約を狙っている
「近い将来交渉を始めるだろう」
(関電の秋山会長、「フィナンシャル・タイムス」のインタビューで)
関電は2001年に60億円の賠償金を支払った

コジェマMOX製造中止の真相と責任を明らかにせよ




<「近い将来交渉を始めるだろう」(関電の秋山会長)>
 9月4日付の英国新聞「フィナンシャル・タイムス」は、「関西電力はMOX燃料契約の交渉に向かう」との記事を掲載した。この記事は、関電の秋山会長とのインタビューに基づいている。記事によれば、関電は間もなくMOX燃料の製造契約について交渉を開始するという。関電は、契約相手先として、データねつ造事件を引き起こした「BNFLを契約先として検討するのは『困難』」と話している。そして記事は、最もありそうな契約相手として、フランスのコジェマ社をあげている。ベルギーのベルゴニュークリア社は生産規模が小さいため「関電の需要に応えるには不十分」としている。
 関電の秋山会長は、インタビューで「近い将来、交渉を始めるだろう」「一端取引が締結されれば、製造を開始するのに最低でも24ヶ月かかるだろう」と述べている。記事は、交渉が今年はじまり、来年には燃料契約が結ばれ、2006年に製造が開始されるとしている。コジェマのメロックス工場でのMOX燃料製造には少なくとも数ヶ月かかるという。
[フィナンシャル・タイムスの記事「Kansai to negotiate Mox fuel contract」
http://search.ft.com/search/article.html?id=030904006247&query=MOX&vsc_appId=totalSearch&state=Form

<MOX製造契約先からBNFLを外し、コジェマ社との契約を狙う関電>
 関電はこれまで、MOX燃料の製造契約先としてBNFLも選択肢に含めて検討し、今年度中に契約を締結すると述べていた。しかし福井県議会では保守系議員から「BNFLを対象に含めるのは県民感情としていかがなものか」との苦情もだれさていた。さらに、BNFLの新MOX工場(SMP)では、MOX燃料を製造することができないことか明らかになった。BNFLは、ドイツ・スイス向けのMOX注文をフランスのコジェマ社とベルギーのベルゴニュークリア社に作ってもらうという事態にまで陥っている。またソープ再処理工場は2010年までに閉鎖することが明らかとなり、今後BNFLは廃棄物処理会社へと転業せざるをえなくなっいる。これらの事情から、関電は、MOX契約先からBNFLを外し、コジェマ社と契約を結ぶことを狙ったに違いない。

<2001年、コジェマ社でのMOX製造中止の真相と責任は未だ闇の中>
 しかし、コジェマとの契約ならば問題はないのか。否である。関電はかつて1999年にコジェマ社のメロックス工場でMOX製造を開始した。しかし、2001年12月26日に突然製造中止を発表した。なぜ製造を中止したのか、その責任はどこにあるのか、未だに明らかにしていない。
 7月14日に行った関電交渉では、コジェマMOX製造中止について、「関電は悪くない、輸入燃料体検査を通さない国が悪いとでも思っているのではないか」と聞くと、「確かにこの辺ではブーブー言ってたかも知れません」と机の下で手を回し、表面上は国の決定に従ったが、社内的には不満一杯だったというジェスチャーである。さらに「国の決定に不服でも、プルサーマル全体のことを考えればしかたがないということで、国の判断をお受けした」と発言し、自らの責任を認めようとしなかった[7/14関電交渉報告はこちらhttp://www.jca.apc.org/mihama/kanden/kanden_kosho030714.htm]。
 しかし、この時関電は、損害賠償としてコジェマ社に60億円も支払った。もちろんその原資は、私たちの電気料金からである。このことは、客観的には関電に非があったことを認めたものである。しかし、その真相については一切明らかにしていない。
 コジェマ製MOXには、大きなプルトニウム・スポットができる等その品質に問題があること、さらに、当時関電がMOX製造を行った時期は、フランス政府のプルトニウム持ち込み許可が出されておらず、違法な製造だったのではないかという疑惑があった。しかし関電は、これらについて何も明らかにしていない[コジェマMOX疑惑に関してはこちらhttp://www.jca.apc.org/mihama/stop_pu/kanden_cogema_mox_doubt.htm]。

<「プルサーマル推進会議」でも、コジェマ社での製造中止には一切ふれず>
 関電は、これまで5回の「プルサーマル推進会議」を行い、「品質保証体制の強化・改善」に向けた社内検討を行っているという。関電のHPでも公開されているその資料には、検討課題として、BNFLの品質管理問題はあがっている。しかし、コジェマ社の燃料製造中止の件については一切ふれていない。あたかも、コジェマ社でのMOX製造中止などなかったのかのごとくである。

<コジェマ社との製造契約を阻止しよう>
 原子力委員会は、8月5日、委員会決定として「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」を出した。そこでは、プルサーマルが実施できなければ、六ヶ所再処理工場は動かせないとする旨の基本姿勢を明らかにした。福島県・新潟県がプルサーマル事前了解を白紙撤回した中で、さらに電事連会長を出すことになった関電は、なんとかプルサーマルを推進し、破綻続きの「核燃料サイクル」が生きてることを描きだそうとしている。

 関電のコジェマ社とのMOX契約を阻止しよう。そのために、2001年12月のコジェマMOX製造中止の真相とその責任を徹底して追及しよう。関電のプルサーマル計画を阻止し、六ヶ所再処理工場に反対する運動と連帯しよう。