社団法人「日本広告審査機構(JARO)」御中


 春の暖かい日差しの中、貴社にはますますご清栄のこととおよろこび申し上げます。
 私たちは、貴社の「消費者に迷惑や被害を及ぼすウソや大げさ、誤解をまねく広告を社会から無くし、良い広告を育む活動」の趣旨に賛同し、その趣旨を頼りに、プルサーマルでまさに「ウソや大げさ、誤解をまねく広告」を行っている関西電力に対する苦情を申し立てますので、よろしくご考慮くださるようお願いいたします。
 最近の報道でご承知のことかと思いますが、関西電力は高浜原発で2007年にプルサーマルを実施するためのMOX燃料製造契約をフランスのコジェマ社と結ぼうとしています。高浜原発は元々はウラン燃料を燃やすように設計された原発ですが、そこにウランとは異質なプルトニウムをウランに混ぜた混合燃料(MOX燃料)を使うというものであり、このような方式がプルサーマルと呼ばれているものです。
 プルサーマルをめぐってはさまざまな議論がこれまでありました。東京電力の柏崎刈羽3号機で実施する予定のプルサーマルには、刈羽村住民が住民投票で反対を決定し、その後、新潟県と福島県は計画の承認を白紙に戻しています。
このようなプルサーマルが進まない状況の中で、関西電力は異常とも思えるような大宣伝に乗り出しました。昨年来、福井県のすべての家に32万4千部のパンフレットを配布し、電柱に宣伝プレートを張り巡らし、高浜町民への説得活動を行ってきました。
 それはともかく、私たちが苦情を申し立てる直接の対象は、福井新聞にだされた関西電力の2回のプルサーマル広告です。その問題点は別紙にて説明していますが、私たちから見れば、あまりにもひどい、目に余るほどの虚偽に近い内容だらけなのです。
 原発は内部に膨大な放射能を抱えている本来大きな危険性をもったものです。そこへ、本来の設計とは異なる方式のプルサーマルを実施しようとする場合、安全性について住民や国民に対して正確なくわしい説明を真摯な態度で行うことが関西電力の義務ではないでしょうか。まして、関西電力は1999年にMOX燃料データについての不正事件に関与して、社会から厳しい目で見られているのです。
 関西電力の広告に対抗して社会的に大きく問題点を提示するには、膨大な資金が必要であるため、私たちには事実上不可能なことです。ぜひ以上の趣旨を汲み取っていただき、苦情の申し立てを取り上げて適切な措置をとってくださるよう、再度お願いいたします。
(なお、関西電力の福井新聞広告のコピーや添付資料は後ほど郵送でお送りします。)

2004年3月15日
 
グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
  京都市左京区田中関田町22−75−103 TEL:075-701-7223; FAX:075-702-1952

美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
  大阪市北区西天満4−3−3 星光ビル3階 TEL:06-6367-6580; FAX:06-6367-6581