BNFLは生産性を上げるために安全性を引き下げた

ザ・インディペンデント紙(ロンドン) 2000年3月7日
スティーブ・コナー、科学編集者
 英国核燃料会社(BNFL)は、問題のプルトニウム燃料の生産を高めるためにその安全性基準を引き下げた。その燃料にはこの会社の営業上の将来がかかっている。
 インディペンデント紙が検証したところでは、BNFLは、海外の顧客から注文されたプルトニウムとウランの混合酸化物(Mox)燃料の生産が遅れないようにするために、安全性の規則を(秘密裏 に)変更した。この暴露は、最近のねつ造MOXデータに関するスキャンダルについてデータねつ造は安全性を損なうものではなく、単に品質管理が不十分だったにすぎないと主張していたこの社の主張の根幹を覆 した。
  しかしその会社内部の情報源によれば、BNFLは、MOXペレットがMOX製造の全体が依存している基準安全検査に引っかかりそうになったとき、基準以下でも安全だと保証したのである。
 この問題は、数千の円筒形ペレットの正確な直径に関係している。そのペレットは長い燃料棒の中に納められ、燃料集合体に組まれて原子炉の中に装荷されるのである。BNFLは各ペレットの直径をレーザーマイクロメータで、上中下の異なる3点で自動的に測定するようにしている。3点測定は、本当の直径がペレットの全長さに沿って同じであると保証するためである。
  しかし、MOX製造が、カンブリアにあるBNFLのセラフィールド再処理施設で始まって間なしに、ペレットは研削過程から「植木鉢型」をして現れることが明らかになったと、情報源は言っている。 このことは多くのペレットの一方の端が著しく広いことを意味しており、したがって、自動レーザーマイクロメータは安全仕様の許容範囲からはずれる多くをぺけにした。
 BNFLは「上」と「下」の読みの位置を、ペレットの端ではなく、中央の読みの位置から2ミリメートルの範囲内になるように変えた。だから「植木鉢型」でさえ、原子炉で使っても安全であると保証され得るのだと、情報源は語っている。
 先月ねつ造データに関する破滅的な報告書を公表したNIIは、13mm長のペレットの3カ所の直径の読みの位置は、中央の読みの位置から2ミリメートルの範囲内でとられていることを確認した。BNFLはNIIに対し、ペレットの直径は「高度に揃っている」ので、各ペレットの端を読みとる必要はないと話した。NIIはこのことを受け入れるが、植木鉢型のペレットについてはまったく感知していなかった。
 NIIの報告書は、ペレットのランダムサンプルについて手動で測定された直径に関するねつ造問題に集中している。検査官はねつ造データでも安全性を損なわない、なぜなら全ペレットがすでにレーザー検査を通っているからだと言った。「100%第1次検査だけで、全ペレットが仕様の範囲内にあるという適切な安全性にかなっているという強い事実がある」とNIIの報告書は述べている。
 BNFLは昨日コメントするのを断った。しかし、BNFLが基準以下のMOXペレットを製品にするために自動検査の条件を故意に変えたことの暴露内容は、今日、イギリス国会下院特別産業委員会 (Commons Select Committee on Industry) によって調査されるだろう。この委員会はNIIの主席 検査官のローレンス・ウイリアムスにインタビューする予定だ。
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