関西電力にはMOX燃料の申請者資格がないという問題等に関する
質    問    書


原子力安全・保安院長 佐々木宜彦 様

2004年1月26日

 私たちは、1月23日、関西電力本店にて、関西電力が出した10月23日付「海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について」(以下「報告書」という)の内容について、交渉を行いました。この交渉の中で、私たちが理解している貴院の見解と関西電力の回答内容には、大きな乖離があり、驚きを感じました。そのため、1月23日の交渉内容を踏まえて、以下の点について、質問いたします。

1.関西電力にはMOX燃料の申請者資格がないという問題について
(1)貴院の10月23日付プレス発表について
 関西電力が10月23日付「報告書」を発表した際、貴院は同日、「報告書」の受領にあたってプレス発表されました。その中で、「報告書」の性格を「これは、・・・・『関西電力が再度MOX燃料の輸入燃料体検査申請を行うためには、通商産業省が同社の品質保証体制(注)が申請者資格を有するに足るよう改善されていることを確認する作業が必要』との方針を受け、提出されたものです。」と、2000年6月の電気事業審議会報告書を引用して、規定されています。
 [1]貴院としては、現在のところ、関西電力にはMOX燃料の輸入燃料体の申請者資格はないと認識されていると理解してよいですか。

 [2]現時点において、関西電力以外に「輸入燃料体の申請者資格のない」電力会社がありますか。

(2)貴院の関西電力への立入検査について
 貴院が行われた1月14日から16日の関西電力への立入検査について、関西電力は交渉の場で、「MOXの報告書を出したのは当社だけであり、だから、当社に立入検査が行われた」と回答しています。
 [1]貴院の立入検査は、上記のとおり、2000年6月の電気事業審議会の報告書を元に、「申請者資格を有するに足るよう改善されていることを確認する」ためにも行われたのではないのですか。

(3)申請者資格がないことを認めない関西電力の姿勢について
 1月23日の交渉で、関西電力はこの問題について「資格があるかないかについては言えない」と答え、申請者資格が現在ないことを認めませんでした。これは、貴院の見解と全く異なるものと思われます。さらに交渉では、「保安院が関西電力には資格がないと言っている事実そのものは認めますか」と問うと、「それについても社として責任をもって答えられない。主管部門に確認しなければならない」とし、再度回答するということになりました。
「電気事業審議会報告」は既に2000年6月に出されたにもかかわらず、関西電力は現在にいたってもこのような姿勢をとり続けています。BNFL事件を引き起こした関西電力には、自らの非を認め、規制当局の見解を重視しようとする姿勢がみじんも見受けられません。
 [1]@以上のような関西電力の姿勢についてどのように思われますか。

2.関電の10月23日付「報告書」と国の新基準JEAC4111-2003について
 [1]関西電力は、10月23日付「報告書」について、JEAC4111-2003で評価していると断言しました。貴院もそのように判断しているのですか。

 [2]関西電力は交渉の中で、「JEAC4111-2003策定案」とJEAC4111-2003の違いは、「トップの規定を、経営層から社長に置き換えるだけだ」と述べました。このような認識でよいのですか。

3.貴院の12月9日付、関西電力宛「通知文書」について
 貴院は昨年12月9日付で、関西電力宛の「通知文書」を出されました。この中で、「当院は、貴社の海外MOX燃料調達に関する品質保証活動の改善状況について、現在構築中の新しい品質保証体制との整合性についても確認することが適当であるとの認識の下、今後貴社が保安規定変更認可申請を行った後、書類審査に加え、立入検査も併せて行い、十分な審査を行うこととした」と述べられています。
 しかし、関西電力は1月23日の交渉で、上記の通知文書の中の、「新しい品質保証体制」とは、「10月23日の『報告書』のことである」という驚くべき見解を述べました。
 [1]貴院の言う「新しい品質保証体制」とは、原子炉等規制法に基づく省令改正・施行に伴い品質保証活動が保安規定に位置づけられたことを受けて、関西電力はじめ全電力会社が行っている保安規定の変更申請の内容を指すのではないですか。

 [2]関西電力は、「報告書」と保安規定の変更申請は別物だと述べました。両者で重なるのは、発電所内での核燃料にかかわるハンドリングぐらいだとも言っています。
貴院の12月9日付「通知文書」は、関西電力のMOX燃料調達に関する品質保証活動が、保安規定の改定内容と関連しているため、両者の「整合性についても確認する必要がある」と判断されたと理解してよいですか。

4.「BNFL社のデータねつ造は、安全性を損なうものではない」という関西電力の見解について
 関西電力はこれまで、BNFL社のデータねつ造は、「安全性にかかわる問題ではなかった」と公的な場でも繰り返し述べています。
 他方、貴院の昨年10月23日プレス発表文書では、「品質保証体制」という言葉の注意書きとして、「原子力安全に影響を与える活動を体系的に実施するために構築された管理体制。」と記載されています。
ところが、「データねつ造は『品質保証』の問題ではあるが、原子力の安全性を損なう問題ではない」というのが関西電力の基本姿勢です。いったい何のために品質保証活動を行うのでしょうか。関西電力の品質保証活動に対する根幹的な姿勢に大きな問題があるのではないでしょうか。これでは、品質保証活動について「報告書」等でいくら美辞麗句を並べても、住民の安全を守ろうという姿勢が関西電力にはないと考えます。
 [1]「BNFL社のデータねつ造は、安全性を損なうものではない」という関西電力の考えについて、貴院の見解を明らかにしてください。

 以上の質問について、2月2日(月)までに、文書でご回答いただくようお願いします。

2004年1月26日


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