通産省は9月から高浜4号の
データねつ造の疑いを知っていた


この間の経緯はここをご覧ください

 昨年9月20日付けの通産省からNII(英国原子力施設検査局)に向けた書簡とそれに対する9月21日付のNIIの通産省向けの返信が、1月17日になって公開された。それは、福島瑞穗議員と秘書竹村氏の働きで、通産省の原子力発電安全管理課から公開されたものである。それによれば、通産省は関電の中間報告(9月24日)以前の段階で、高浜4号燃料の不正の疑いを知っていた事実がはっきりする。2つの書簡で明らかになった事実は以下の3点である。

明らかになった新事実

1.通産省は、関電の中間報告以前に、高浜4号には不正がないという証言をNIIに求めた。
(9月23日を回答期限にした9月20日付 在英日本大使館経済担当参事官 猪俣氏の書簡)

日本政府・通産省は、英国NIIの判断を非常に重視して、高浜4号用MOX燃料にデータ偽造がないことの確認をNIIに求めようとした。すなわち、NII局長の証言が、日本政府・通産省にとって重大な意味を持っていることを、この書簡は意味している。

2.英国NIIは、通産省の書簡への返信で、不正の疑いがあるロットが福井に向かっていると明記。
   
   通産省の書簡への返答でNIIは、「“通常ではない(unusual)”結果を示した1つのMOX燃料ペレットが福井県に現在向かっている燃料集合体2体の製造に使用された」と不正の疑いがあるロットが福井に向けて出航していることを明記。「よって改竄(ざん)がこの燃料の記録に影響を与えるものではないとは現段階では申し上げることができません」と通産省の要望を拒絶。この事実はこれまでに「お話」していると以前から通産省に伝えていることを付記。更に「10月末以前に、即ち関電の原発に燃料を装荷する予定の日に先立ち、この質問に対してより完全な回答ができるように」すると明記している。 (9月21日付 NIIから通産省に向けた返信)

3.通産省はこの事実を隠して、9月24日付の関電の中間報告を認める。

 関電を指導監督する監督官庁としての通産省の立場からは、英国で同様の立場であるNIIの指摘を重視しなければならない。そこで、通産省は、高浜4号には不正が無いという英国NIIの証言を取ろうとした。しかし、それに失敗し、逆にNIIの返信には、疑惑の燃料が福井に向かっていると明確に記載された。それにもかかわらず、通産省はその書簡の存在を隠し、高浜4号には不正がないとする関電の中間報告を認めた。このことは重大な問題である。
         

(日本大使館参事官から英国原子力安全局への書簡、仮訳)

1999年9月20日
ローズコート
2 サウスワーク ブリッジ
ロンドン SE1 9HB
健康安全部
原子力安全局
局長 L.Williams殿

Williams 局長 殿

当方はセラフィールドのMOX実証施設で製造されたMOX燃料ペレットのデータ改竄に関連し書状を書いております。BNFL社における改竄問題については、大変残念です。

本日、外務大臣より日本大使館に対し、日本に向かっている燃料には改竄の影響が無いことを原子力安全局内部の高官レベルで確認すること、並びに原子力安全局により確認された発送に関わる情報を入手するよう指示がありました。

ご多忙であると承知しておりますが、MOX燃料を積載している船舶は9月27日に福井県の港湾に入る予定ですので、遅くとも9月23日までに回答を頂けると幸いです。

本件に関するご支援に対し大変感謝しております。

敬具

猪俣 弘司
経済担当参事官
在英日本大使館
(英国原子力施設検査局から日本大使館への返信、仮訳)

在英日本大使館
経済担当参事官
猪俣 弘司殿
1999年9月21日

猪俣殿

セラフィールドのMOX実証施設で製造された燃料ペレットに関連する9月20日付けの書簡を有り難く頂きました。Williams局長は現在海外出張中ですので、当方が局長に代わりご返答している次第です。

当方は同僚とともに9月20日に通商産業省の桜田殿及び田代殿と面会し、本件に対し、保健安全執行部原子力施設検査局が現在実施している調査の背景についてご説明しました。
当方からは日本に現在向かっている燃料に関わる全てのデータを確認するためには若干の時間、恐らく数週間はかかるでしょうと説明しました。

当方は、BNFL社が、セラフィールドを訪問した日本チームの方々に対し、外径に係る2次サンプリング調査で“通常ではない(unusual)”結果を示した一つのMOX燃料ペレットのロットが福井県に現在向かっている燃料集合体2体の製造に使用されたことを既にお話ししたと理解しております。よって改竄がこの燃料の記録に影響を与えるものではないとは現段階では申し上げることは出来ません。しかしながら、当方は本年10月末以前に、即ち関西電力の原子力発電所に燃料を装荷する予定の日に先立ち、この質問に対してより完全な回答ができるようにいたします。

一方、原子力施設検査局としては、安全上の観点から燃料を高浜にて陸揚げすべきではないとする理由は何ら見出し得ません。また、我々は、製造時にペレット外径の自動全数(100%)確認が行われており、セラフィールドのMOX実証施設で製造された総ての燃料が使用上安全であるという高い確信をもっております。

貴職の最後の点につきましては、特定の燃料の発送に際して品質保証の確認を実施することは当局の所掌の一部ではありません。適切な品質保証のチェックが行われていることを確認する責任は、BNFL社とその顧客の商業上の事項であります。

以上の回答がお役に立つことを希望しております。
敬具
B J Furness
副主任検査官
原子力施設検査局


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