玄海3号機のプルサーマルに関する原子力安全委員会への要請書について


平成17年5月17日
原子力安全委員会事務局
審査指針課

 平成17年4月28日付「玄海3号機のプルサーマルに関する原子力安全委員会への要請書」(別紙)については、以下のとおり回答いたします。

1.玄海3号機のプルサーマルに関する安全審査に際し、専門部会を設けての審査を行い、一般からの意見募集を行うべきとの要請について

(答)玄海3号機の審査方法については、過去の審査経験に照らして新たに技術的により幅広い観点からの専門的知見による判断を必要とするかどうかの観点から、既に行った高浜3、4号炉等の審査経験に基づき、原子力安全委員会自らによって十分に審査できると判断して直轄方式によることとした。
 なお、原子力安全委員会における安全審査の方法としては、原子力安全委員会が自ら審査を実施する直轄方式と、原子力安全委員会委員長が原子炉安全専門審査会長に審査を指示する審査会方式がある。
 原子炉安全専門審査会での審議は、原子炉の新増設や全く新しい技術の採用など、技術的により幅広い観点からの専門的知見による判断が必要となるような案件について審査することとしており、過去の審査経験からみて行政庁の行った審査内容の妥当性について原子力安全委員会自ら十分審査が実施できると判断されるものについては、直轄方式による安全審査によって厳正かつ慎重な審査を十分に行うことが可能である。
 このように原子力安全委員会における安全審査は、いずれの審査方式であっても、災害防止及び技術的能力の観点から、行政庁である経済産業省が実施した1次審査の結果の妥当性について厳正かつ慎重に確認を行うものであり、審査方式の違いによって、審査の内容や審査における厳正さ、慎重さが異なるものではない。

 一般からの意見募集に関しては、原子力安全委員会における政策決定等に対する意見の公募に関する平成16年の原子力安全委員会決定「原子力安全委員会における情報公開等の推進について」に基づき、行政庁から諮問のあった安全審査案件のうち、専門審査会で調査審議を行うものについては、行政庁の安全審査結果に対してー定の期間を区切って、当委員会が一般からの意見を公募することとしているが、玄海3号の安全審査の方法については、本年2月14日の原子力安全委員会において、直轄方式で安全審査を行うことが了承されており、当該原子力安全委員会決定に基づく意見公募を行う予定はない。
 なお、当委員会では、当委員会の活動全般に関する一般の方々からの御意見・御質問については、玄海3号の件も含め、原子力安全意見・質問箱によって随時受け付けており、頂いた御意見等に対しては十分に検討の上、ホームページ上で回答している。


2.福島第一3号機(73万kW)より出力の大きい柏崎刈羽3号機(110万kW)の審査に際し、審門部会が設けられたのと同様に、高浜3、4号機(87万kw)より出力の大きい玄海3号機(118万kw)の審査に際しても専門部会を設けないのかとのご質間について

(答)東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所3号原子炉MOX部分装荷においては、原子炉安全専門審査会97部会にて審査を行いましたが、燃料集合体の格子形状はS格子(燃料集合体間ピッチが等間隔)であった。これは、先行して審査した東京電力株式会社福島第一原子力発電所3号原子炉(以下、福島第一3号という。)(第96部会)のD格子(制御棒側の水ギャップ大)と基本設計が異なっている。さらに、スクラムの方式も異なっており、福島第一3号(第96部会)の審査経験に基づく審査ができないと判断したためである。
 一方、九州電力株式会社玄海原子力発電所3号原子炉(以下、玄海3号という。)と関西電力株式会社高浜発電所3、4号原子炉(以下、高浜3・4号という。)(第95部会審査)とでは、申請書によれば、出力が異なっているが、主要な特徴であるMOX燃料装荷規模、Pu含有率、燃料棒配列が同一であるため安全審査上の重要な相違点が見当たらず、高浜3・4号等の審査経験に基づく審査が可能と判断されたことから、原子炉安全専門審査会に対する調査審議の指示を行わず、当委員会自ら審査することとした。
 なお、当委員会の審議過程で仮に専門家の意見が必要な事項が生じた場合においても、専門家の意見を聴取することにより、当委員会が直接安全審査を実施しても、審査実務上特に支障が生じることはなく、厳正に審査できると考えている。


3.日本のプルサーマルは、まず80万kW級原発で様子をみて、後に出力の高い原子炉で、というのがそもそもの計画だったではないか、それをいきなり高出力の原子炉を対象にし、しかもその安全審査をまともに行わないというのは無謀なことではないかとのご質問について

(答)フランスにおいては、MOX燃料の装荷実績は主に90万kW級の原子炉でしか実施されていないが、ドイツにおいては130万kWを超える複数のPWRにおいてMOX燃料の装荷実績があり、多数の照射経験が得られている。
 また、国内外におけるMOX燃料の線出力密度は80万kW級と130万kW級とで同等であるため、130万kW級についても80万kW級と同様に事査を適切に行えると判断している。         
 こういった諸外国における実績や国内外におけるMOX燃料照射後試験等を踏まえ、MOX燃料を使用する上で基本的な技術は確立されているものと判断しており、玄海3号における安全審査は高浜3・4号等の実績も踏まえ、当委貴会自ら適切かつ厳正に審査することとしている。


4.不正事件やデータ開示拒否、住民投票、事故により、プルサーマルに対する住民や国民の不信感はますます高まっていることも踏まえ、玄海3号機の安全審査については、より慎重に、かつ広く国民の意見を反映する形で行うべきとのご意見について

(答)審査は、科学技術的に適切かつ厳正に実施していきたいと考えている。また、ご意見についても、当該審査に限らず、原子力安全委員会の活動一般などについて、ご意見やご質問を随時受け付けており、引き続き国民の皆様のご意見について対応していきたいと考えている。

以上