不正MOX燃料返送用輸送容器の検査に関する要望書


福井県知事 栗田幸雄 様

 高浜4号用不正MOX燃料を返送するための輸送容器について、すでに国土交通省の検査が始まっています。この検査ではたして輸送容器の安全性は保証されるのかという点について、私たちは強い疑問を抱いています。
 ご存知のとおり、フランスに置かれている東京電力のTN型輸送容器のオーバーレイに腐食のあったことがレジンなどをはがした検査によって確認されました。関西電力のTN型にも同様の腐食があるという疑いが、非破壊検査によって浮上していますが、まだ東電と同様の確認検査は行われていません。
 問題は、今回の不正MOX燃料返送に用いられる輸送容器に同様の腐食がないと言えるのかという点です。前回伺ったとき福井県安全対策課としては、腐食の原因は水であり、返送用のEXCELLOX型はTN型と構造が違うので水が入ることはなく、したがって腐食は絶対にあり得ないとの立場を表明しました。腐食があっても目視で確認できるとのことでした。
 それでは、腐食の原因が水だということはどのようにして確認されているでしょうか。これは関西電力の推測であると国土交通省は認めています。また仮に水が原因だとして、フィンと外装板との溶接部に隙間が生じていないことが確認されているでしょうか。6月17日から始まった検査では、隙間の確認は行わないことを国土交通省は認めています。しかも外観検査はすでに17日に行われ、わずか1時間をかけただけでした。約100もあるフィンの両側の溶接部をわずか1時間でどれだけの検査ができるでしょう。
しかもこの容器は容器承認を得ていません。容器が設計どおりの状態にあるという確認を、わずか1時間の腐食目視検査で済まされてよいのでしょうか。これでは、はたして容器が本当に安全な状態にあるのかに、私たちは深い疑問を抱かざるを得ません。
思い起こせばこの不正MOX燃料については、1999年秋当時、関西電力も国も頭から不正はないと頑強に言い張り、高浜4号への装荷を強行して人々を危険にさらそうとしてきました。この問題はまだ喉元を過ぎてはいません。ずさんな検査を見過ごすべきではないと思います。当時の教訓に立って、ぜひ福井県としては、あくまでも念には念を入れて安全を守るという立場を貫いてほしいと要望します。
この件で関西電力は、自らの検査を全て終えているのに、私たち市民に対する説明を頑強に拒んでいます。このような関電とは明確に一線を画し、批判的な姿勢を貫いてください。
返送用輸送容器について、せめてレジン等をはがして腐食のないことを確認するように関電を指導してください。これまでどおりに容器承認を得た容器でなければ輸送しないように関電に申し入れてください。以上の点を要望します。

2002年6月20日

グリーン・アクション 代表:アイリーン・美緒子・スミス
   京都市左京区田中関田町22-75-103   TEL075-701-7223 FAX075-702-1952
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表:小山英之
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