高浜原発4号機MOX燃料データ不正事件後も―――― |
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2000.9.28(改訂版) 資料翻訳・作成 グリーン・アクション TEL 075-701-7223 FAX 075-702-1952 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 TEL 06-6367-6580 FAX 06-6367-6581 |
2月29日 スウェーデンは研究用原子炉の使用済核燃料4.8トンをセラフィールドへ輸送し再処理することをキャンセル [ENDS Daily3月1日] 3月2日 1996年のスイス向けBNFL製MOX燃料で安全データに不正があったとスイス規制当局(HSK)が確認 [インディペンデント3月3日] 3月2日 セラフィールドで製造された英・ブリティッシュ・エナジー社向けのウラン燃料集合体で溶接部分のひび割れが発見。英国核施設検査局(NII)はウラン燃料4バッチを押収 ブリティッシュ・エナジー社の2つの原子炉に送る予定であった燃料集合体は、集合体の溶接部分のひび割れが原因で押収された。NIIはスプリングフィールドでの燃料生産について新たな調査を開始する。BNFLはブリティッシュ・エナジーの改良型ガス冷却炉の7つ全てに燃料を供給することを中断した。 [オブザーバー3月5日、フィナンシャル・タイムス3月7日] 3月8日 ドイツがセラフィールドからのMOX燃料輸入を中止 ドイツは問題になっているMOXプルトニウム燃料のセラフィールドからの輸送を中断した。ドイツ政府がドイツの再処理契約を貯蔵に返還するだろうとということは、既によく知られている。BNFLはドイツの電力会社のために現在MOX燃料を製造していない。この発表は、セラフィールドのMOX施設(SMP)の将来に痛打であった。SMPは現、最初の10年間に関してその能力のわずか6.7%しか契約をもっていない。これは50トンに相当する。それらの契約の3分の2はドイツの電力会社とのものである。たとえドイツの禁止が解除されるとしても、これらの契約の一部または全ては、いまや危ぶまれているに違いない。新社長のノーマン・アスキューは、SMPは政府の許可を手に入れるのに困難に直面するであろうと認めた。 [インディペンデント3月8、10日 タイムズ3月16日] 3月23日 スイス規制当局(HSK)がBNFLとのMOX契約、使用済燃料のセラフィールドへの搬入・再処理委託を禁止 [インディペンデント3月24日] 3月26日 セラフィールドのガラス固化施設で、高レベル廃棄物を取り扱うロボットアームの電気配線が、意図的に切断 高レベル廃棄物を取り扱うロボットアームの配線が、2月のある日、未知の妨害者によって意図的に切られていた。調査は英国原子力警察隊によって行われており、ガラス固化施設の全ての労働者の指紋がとられている。BNFLはそのダメージは安全上の問題ではないと述べたが、妨害者が次に何をするかわからないという恐怖がある。労働組合は、組合員にそれが誰かを知っているならば妨害者を告知するよう要求した。 [サンデー・タイムス3月26日 ガーディアン3月27日] 3月27日 ブリティッシュ・エナジー社は、英国唯一の加圧水型原発サイーズウェルBの燃料製造契約をBNFLからシーメンスに変更 [イースト・アングリア、デイリー・タイムス3月28日] 3月27日 米国のエネルギー長官は、アイダホ州の国立技術研究所でBNFLが核廃棄物焼却装置を建設するという契約をキャンセル BNFLの失敗の全体のひろがりは、米国の40以上の環境団体と反核グループ連合が、米政府にBNFLとの解体核のクリーンアップ契約を中止するよう誓願し、将来米国でのビジネスの入札からその会社を閉め出すよう要求したとき、明らかとなった。貿易産業省(DTI)がBNFLが部分民営化以前に達成するように設定した目標の一つは、米国での仕事で15%利益を増大することだった。3月27日米国エネルギー省長官はアイダホ州の国立技術研究所でBNFLが廃棄物焼却装置を建設するという契約をくつがえした。 [インディペンデント3月24、29日 フィナンシャル・タイムス3月28日] 3月29日 英国政府がBNFLの部分民営化計画の実施を2002年後半まで延期すると決定 [各紙 3月30日] 3月30日 再処理から廃棄物貯蔵という「考えられなかった」選択 英・下院産業貿易委員会で、下院議員からの再処理の代わりに貯蔵(ワンスルー)を検討するべきではとの質問に、ヒュー・コラムBNFL会長が、「海外の最大顧客2ヶ国が追加の契約を結ばないかもしれないので、再処理から核廃棄物貯蔵という今までは『考えられなかった』選択を考えなければならないかもしれません」と答弁。また政府がBNFLに設定した6つの目標の全てを達成できないと述べた(6つの目標とは:生産性・利益性・健康・安全・環境への負荷の改善、25%のコスト削減、米国での利益をグループ全体で15%上昇させること)。 [インディペンデント3月31日] 3月31日 英・下院産業貿易委員会で、ブリティッシュ・エナジー社が再処理から貯蔵に契約を変更したい旨を発言。 4月1日 BNFLの六フッ化ウラン輸送用容器が仏・原子力安全当局の試験で不合格。容器は、火災時、175秒で破裂すると仏当局は発表している。 [ガーディアン4月1日] 4月2日 セラフィールドの4人の労働者が、数週間にわたって施設への入構パスを変造して使用していたことが発覚し、解雇 4人の労働者が入構パスを偽造したために解雇された。この変造パスは、数週間にわたって警備の目をだましつづけた。労働者たちは構内に自動車をもちこめるようパスを変えていた。 [サンデー・タイムス 4月2日] 4月2日 英・環境庁がBNFLをこきおろす 環境庁は「BNFL社の施設で起こったいくつかの出来事により、核廃棄物に対するBNFLの経営能力、また環境保護に対するコミットメントを深刻に疑うようになった」「(情報提供について)協力的とはいえない態度」「BNFLの態度は、環境管理に積極的な組織のとる態度とは到底いえない」と3月の報告書で記述。中でも、スプリングフィールド、ヒンクリー・ポイント、セラフィールドは、環境規則違反の対象にされている。例えば、ヒンクリー・ポイント原発では、「とりわけ深刻」で、放射能放出について虚偽報告を行い、放射性ガス炭素14を法律の制限以上に放出した。またセラフィールドで、鳩が汚染された施設に巣を作り、屋根から出入りして、近くの村の庭に餌をもらいに飛んでいく。BNFLは庭を除汚しなければならないと述べている。 さらに、スコットランド環境保護局は、昨年9月BNFLが小川に放射性廃棄物を垂れ流しているのは法律違反であると主張。 [サンデー・ヘラルド4月2日、ガーディアン4月15日] 4月2日 セラフィールド工場周辺の海岸地域に住む幼児の脳腫瘍にかかる割合が通常の4倍 アイルランド政府が委託した調査で、セラフィールド工場周辺の海岸地域に住む幼児の脳腫瘍にかかる割合が通常の4倍も高く、5歳以下の子供は内陸部に住む子供よりガンのリスクが倍以上あるとしている。 [サンデー・エクスプレス4月2日] 5月10日 米国政府は、BNFLとのハンフォードでの放射性廃棄物処分契約をMOXスキャンダルと費用の高騰を理由にキャンセル [インディペンデント] 5月11日 ブリティッシュ・エナジー社とBNFLは再処理中止の協議を開始 ブリティッシュ・エナジー社とBNFLが、使用済み燃料の取り扱いを再処理から貯蔵に切り替える協議に入った。ブリティッシュ・エナジー社が、セラフィールド工場との契約を26億ポンド減額するよう要求した。ブリティッシュ・エナジー社の財務部長は「我々にとって再処理は経済的にナンセンスであり、即刻中止すべき」と発言。 [インディペンデント] 6月3日 BNFLに4万ポンド[約600万円]の罰金 3月に、セラフィールド工場で、バルブから硝酸が噴き出し、作業員2人と消防士1人が負傷した事故で、4月にBNFLが安全違反で訴えられた。BNFLは、91年に故障したバルブの補修をすると政府に約束していたのに、補修をしていなかった。すなわち、NIIの勧告に違反していた。この裁判で、BNFLが4万ポンドの罰金が課され、10年間で6回目の安全違反に対して、さらに3万4千ポンド[約510万円]支払うよう命じられた。 [インディペンデント、タイムズ] 6月21日 85%が放射能放出に反対 グリーンピースの依頼で行われた世論調査によると、イギリスの成人85%が、セラフィールド工場からの放射性廃棄物の大気と海への放出をやめるべきと考えているとの結果が出た。 [ガーディアン] 6月22日 セラフィールドからの廃液は減らせない 英政府は、2年前のオスパー会議での「2020年までに放射性廃液ゼロに近づける」との合意に反し、セラフィールド工場からの廃液を20年後に3分の1にしか減らせないと発表した。 [インディペンデント] 6月29日 オスパー会議で再処理中止が決議される 欧州諸国で構成するオスパー会議(北東大西洋海洋汚染防護会議)の総会で、デンマーク等が提案した事実上の欧州での再処理中止決議案が、16カ国中12カ国の賛成で可決した。英・仏は反対。EUは棄権。ルクセンブルクは欠席。英・仏は決議は法的に拘束さるものではないと主張。 7月14日 夜のセラフィールドは射撃練習場になっていた 電気技師が、セラフィールド工場内の「管理区域」に銃を秘密に持ち込み、勤務時間中に銃の射撃練習を行っていた。BNFLは、この事実が世間に知れるのを恐れて、電気技師を解雇せずに、処分を「規律違反」にとどめて、機密扱いにしていた。 6月20日、標的と使用済みプラスチック弾丸がセラフィールドの「管理区域」内で見つかった。イギリスの厳重な警備装置をくぐりぬけて、明らかに銃が工場に密かに持ちこまれていた。 2人の電気技師が、夜間勤務中に工場の仕事場で、銃を修理した後の長時間、銃の「試し撃ち」をして過ごし、そして、銃を家に持って帰っていた。彼らは、使った弾丸と標的をかたづけ忘れていた。 武装した工場の警察が、武器はエアーライフルだと考え、プラスチック弾を発砲した銃をつきとめた。BNFLは、労働者を解雇すれば事件が公になってしまうことを懸念して、この事件をよりきびしい「安全違反」ではなく「規律違反」として、機密扱いにした。先週、2人は、厳しく叱責され、給料がなくなると考えられる3年間の勤務停止を言い渡された。 BNFLのスポークスマンは、銃は、プラスチック弾を発砲した、しかし、たいそうな銃ではなかったと述べた。その銃は、電気技師の子供の1人が所有していたもので、父親が「修理のために銃を持ってきていて、その後、職場内で試し撃ちしていた」。 [ガーディアン] 8月4日 スイスでまたも燃料破損見つかる 3月にデータ不正があると発表された1996年のスイス向けBNFL製MOXの燃料集合体で、新たに4つの燃料集合体で破損が見つかる。スイス規制当局は、検査のためこの集合体すべてを取り出すことを決定。 [NOKプレス発表] 8月8日 低レベル放射性廃棄物を積んだ鉄道コンテナ車が脱線事故 8月2日に、低レベル放射性廃棄物を積んだ鉄道コンテナ車が、セラフィールドからドリッグに輸送中に、脱線事故を起こした。8月8日に、健康安全当局は、車輛の改良とメンテナンスが終わるまで、コンテナ車(KVA型)の使用を禁止した。BNFLの輸送子会社DRS社は、車輛の状態が安全でなかったことを認めている。 この輸送は、週に2回、セラフィールドから西カンブリア海岸に沿って一般鉄道で4マイル南下してドリッグに到着する。セラフィールド施設からの汚染衣料や低レベル廃棄物を運んでいる。 [セラフィールドの環境保護団体COREのブリーフィング] 8月8日 放射性密封容器問題でNIIが告訴 セラフィールドに3500個あるといわれている、放射能検知機の検査用の放射性物質を密封した容器の記録がなされておらず、一部が紛失していた問題で、NIIが今年3月の改善命令に従わなかったとして、BNFLを告訴した。 BNFLは、NIIに、セラフィールドの放射性物質密封容器の取り扱いについての改善通知に従わなかったために告発された。この通知は、1999年3月にBNFLに出されていたものである。審理は8月24日、ホワイトヘブン行政裁判所で行われる。 密封容器は、放射能を検知し、測定する装置をテストしたり、測ったりするのに使われている。BNFLの試算では、3500個がセラフィールドの180ヶ所に保管されている。容器の多くは、放射能の規定により、記録されていないことがわかった。いくつかは、なくなっていた。NIIが3月の改善通知への対応が不十分だとした1999年9月以来、記録にない容器が、マグノックス再処理工場(B205)、酸化物貯蔵池、硝化燃焼施設、技術者の仕事場、道具倉庫、研究所で見つかった。幾つかはすでになくなっていた。 1999年10月に、BNFLは密封容器をセラフィールドからドリッグに輸送したとき、間違った型のコンテナが使われたと報告(BタイプでなくAタイプ)。また、何年間かこの問題が続いていることを認めている。 [COREのブリーフィング] 9月4日 核廃棄物処分費用が跳ね上がる 将来の原子力施設の解体と核廃棄物処分とマグノックス原発の燃料再処理に必要な(割引前)準備金が、昨年より71億ポンド[約1兆650億円]増えて、342億ポンド[約5兆1300億円]になった。増加の主な原因は、セラフィールドにある施設の解体処分費が膨れ上がった。 [フィナンシャル・タイムス 9月5日] 9月13日 モニタリング測定値を報告せずで環境庁が強制執行通知 環境庁が行った7、8月の2回の監査で、セラフィールドの再処理工場とガラス固化施設が排出している希ガスのモニタリング報告が不適切だとして、環境庁がBNFLに報告改善の強制執行通知を出した。BNFLは、一部のモニタリング装置の測定値を報告しなかったり、ヨウ素131について全く報告しなかったり、数値が上昇したことを報告しなかったりしていた。 [COREのブリーフイング] 9月14日 BNFL史上最悪の赤字 1999.4/2000.3の会計報告で、3億3700万ポンド[約505億円]というBNFL社史上最悪の赤字を発表。 原因は、(1)MOXスキャンダル対策費として、1億1300万ポンド[約170億円]。このうち、4000万ポンド[約60億円]が関西電力への損害賠償費。7300万ポンド[約110億円]が燃料返還費。(2)ヒンクリー・ポイント原発の閉鎖の前倒しにかかる費用1億5000万ポンド[約225億円](1億2500万ポンド)。(3)アメリカでの放射性廃棄物処分契約のキャンセルに伴う損金、1億3900万ポンド[約208億円]。これらの特別費用が、大赤字をもたらした。(1)(3)はMOXデータねつ造事件が原因であり、赤字の4分の3を占めている。 [インディペンデント、ガーディアン 9月15日] 9月14日 新MOX工場運転開始のためには日本の契約が不可欠 このMOX工場(SMP)は、環境庁の許可がなければ操業を開始でない。そして、BNFLが操業するために必要な注文と、また施設のプルトニウム汚染除去にかかる費用を十分に確保できることを証明できるまで、許可はおりない。 BNFLはスイスから、いくつか注文を受けているが、日本からはまったくない。「日本からの受注がなければ、MOX工場を操業開始することを正当化できない」と、ノーマン・アスキュー社長が述べた。「日本の注文(契約)なしではこのMOX工場の営業を開始する正当性はない。時間はない。もし1月か2月までに日本側を説得出来なければ、計画を断念せざるをえない」。 [9月15日 ガーディアン] BNFLは、安全データのねつ造を行ったセラフィールドのMDF工場が、商業向けの製造のために再開することはないと発表した。かわりに、BNFLが4億ポンド[約600億円]かけ、1年前に完成したSMP工場の運転許可が政府からおりるのを待つ間、MDF工場は、「開発工場」に戻るだろう。・・・・ノーマン・アスキューBNFL社長は、今年末までに日本の顧客が新たなMOX契約にサインし、2001年中に商業向け製造を開始できるよう、政府と原子力規制局から運転許可をえることを期待している、と述べた。 [9月15日 インディペンデント] 以上 |