関西電力の6月14日付け調査報告書
「BNFL製MOX燃料問題に関する調査結果について」
に対するコメント



2000年6月14日
           グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会


1.今回の本報告は、不正の評価などに関しては基本的に3月1日付け中間報告と変わっていない。それに「再発防止対策」を付け加えたものである。ねじ混入問題についてはかなりのウエイトで述べているが、まるで根拠がない。この問題で関西電力が責任を感じている相手は、社会一般ではなく、プルサーマル推進の特殊な社会に限定されていることも前回と変わっていない。

2.新たに不正防止策をいうのであれば、これだけ問題があると書き立てたBNFLと手を切ることをまず第1に表明すべきであるが、それには一言も触れていない。それでは、BNFLには改善の余地があると判断しているのだろうか。それならなぜNIIの勧告に対するBNFLの回答がまだ完了していないこの時期に本報告をまとめたのだろうか。NIIの15項目の勧告に対して、4月18日付けBNFLの報告書では、完全な回答はわずか3項目(5項目でなく)しか出されていない。残りは7月末までに出されることになっている。
 関西電力の今回の報告書は、もっぱら株主総会に間に合わせるための作文にすぎない。

3.この調査の目的が明確に規定されていない。目的らしきものは、12頁の「調査結果」の項目に、「今回のデータ不正の実態を解明するとともに、品質保証・品質管理の問題点を抽出し、さらにそれらの背景を明らかにすることによって、有効な再発防止対策を導き出すこと」と書かれている。「データ不正の実態を解明する」とは、主にBNFLの実態を指しているのであり、不正を許し、不正が明るみに出た後でも自力で解明しようとしなかった関西電力自らの実態は何ら明らかにされていない。
 たとえば、なぜロットP824に不正なしとしたのか、不正があるかどうかを自分で統計的解析も行うことによってなぜ解明しようとしなかったのか、なぜそのような積極的な姿勢をとれなかったのか、それらの原因究明が関西電力内部の実態に即してなされていない。ただ言葉で反省しているだけである。

4.植木鉢型ペレットはあり得ないという見解を、センタレスグラインダの性能を根拠にして述べている。しかしそれならどうして全数測定では中心に近い位置を測っているのか、その理由が明らかでない。「欠け」が端部の方に多いからだと書かれているが、それならば、より端部の近くを測定する抜き取り検査での方が外径が小さくでる傾向になる。ところが事実は逆で、昨年11月最終報告図3−4が示しているように、抜き取り検査の方が外径が大きくなっているのである。関西電力はこの事実を無視し、こうなる理由をまったく考えようとしないが、この事実は、ペレットが片側が大きい「小麦の束型」をしていることと整合している。
 なお図Vー1は、3点測定値の最大と最小の差が多くは2〜3ミクロンの範囲内にあることを示しているが、それ以上に開いたものも相当数あることを示している。やはり全数測定と抜き取り検査での外径の差をより重視して判断すべきである。いまになってもまだ、BNFLの言うことやグラインダのあるはずの性能を信頼して判断しているだけで、「小麦の束型」をしていないという事実確認を行っていない。



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