●関電の上ぶたはひび割れている疑惑濃厚 「ひび割れが一切ないとは言っていない」「問題となるような損傷はない」 ・ひび割れがあったことを事実上認めた関電 ・「問題となるような損傷」の定義を明らかにしない関電 ・検査機器の精度を明らかにしない関電 円周方向のキズも検知できる検査機器を使っているのか ★ひび割れがなかったとは言えなかった関電。 市民:ひび割れや兆候がなかったとは言わなかった。事実上ひび割れがあったということを認めたということですね。 関電:そういう解釈をするということですね。 市民:一切ひび割れがなかったという答ができなかったんでしょう。 関電:そういう答はしておりません。問題となるような損傷はなかったと答えております。 : : 市民:キズとか損傷がなかったとは言えなかったということですね。 関電:今日の所はそれで。 ★「問題となるような損傷」の定義を明らかにできず。 関電は「問題となるような損傷」と「問題とならないような損傷」と勝手に区別をつけている。その定義については一言も明らかにできず。 ★国に提出している資料では、「損傷本数ゼロ」 国に報告している「損傷本数ゼロ」とは、「問題となるような損傷がゼロ」ということか。そういうふうに国に報告したのか。 ★「検査の精度」については、「十分な精度」と一般論を繰り返すばかり。 横割れも見つけることができる回転式コイルを使っているのか等に関しては一切答えず。低い能力しかもたない検査機器であれば、当然キズは発見されない。どのような検査機器を使っているのか、その精度はどうなのかが重要な問題にもかかわらず、答えず。 |
●10年前の検査で「損傷ゼロ」だから、「予防保全」で取り替える 取り替え直前に検査しないのは、損傷隠しのためか。 ※:アメリカの原発、例えばTMI1では1999年の検査では損傷ゼロにもかかわらず、2年後の2001年の検査では損傷が8本見つかっている。 ★4年前の検査で「損傷ゼロ」、だから「予防保全」で取り替え? 「予防保全」で取り替えたと言いながら、美浜2号の場合、取り替え工事を開始したのは1999年。上ぶたの最後の検査は1995年12月。この間約4年間、一度も検査していない。取り替えの時に検査をしておればひび割れがあったかもしれない。直近の検査もせずに、4年前の検査で「損傷ゼロ」だから「予防保全」とは、ますますあやしい。 ★バッフルフォーマーボルトの検査も、10年ほど前に1〜2度やっただけ。 ・現在取り替え中の美浜1号炉では、1990年と93年に検査して「損傷本数ゼロ」。9年もたっているのにそれ以降一切検査なしで「予防保全」のため取り替えという。「予防保全」とは、現在は損傷はないが、将来発生する可能性があるために事前に、予防的に取り替えるというもの。しかし、10年近くも検査せずに「予防保全」の名目で取り替えとは驚いた。「予防保全」とは「ひび割れ隠し」のためのものという疑惑が益々濃厚。 ・大飯3・4、高浜4号では、一切検査なし。 |
★なぜ取り替えた圧力容器上ぶたを検査対象に含めないのかについては、「検査対象は供用中のもの」を繰り返すばかり。 ・東電事件では、「予防保全」のためとして取り替えたシュラウドが、実はひび割れが入っており、その損傷を隠していたことが問題になっていた。東電事件は、「供用中」のものだけで問題が生じていたのではない。にもかかわらず、関電が取り替えた上ぶたを検査の対象としないことは、東電事件を受けての自主検査の調査にもなっていない。四国電力は、取り替えた上ぶたを今回の検査対象とすると発表しているにもかかわらず。 ★交換した上蓋の検査データは破棄した?! 文書保管期間内であっても、すでに交換した機器の検査データは破棄してもよいという。これでは、過去に不正があったかどうか確認しようにもできないということか。 |
★上蓋を交換せず古いインコネル600製の管台を持つ高浜3.4、大飯3・4の検査は「当面必要ない」 ・改良工事による温度低下は高浜3・4で310℃→294℃、大飯3・4で307℃→289℃。運転時間は高浜3・4で12万時間超、大飯3で8万時間超、大飯4で7万時間超。すでにフランスではそれ以下の温度、運転時間で3機の原発がひび割れを起こしている。 ★大飯3・4号炉ではECT検査を一切やっていない。 炉頂部の温度を下げたので安全だと関電は言うが、上蓋改造工事前にすでに傷が入り、その後傷が成長している可能性は否定できない。同じく上蓋を交換していない高浜3・4については、全数検査を実施していない。しかも、高浜3号の検査は1993年11月。高浜4号の検査は1994年1月。それ以降、8〜9年間一切検査していない。これではとても安全とは言えないはず。また、上蓋を交換した大飯1・2については全数検査を実施していない。交換した上蓋に損傷がないとは言えないはず。 |
★関電の耐圧による漏洩検査=通常運転時の157気圧をかけるだけ。 損傷が見つかったフランスのビジェ原発では、207気圧(運転時の設計圧力は155気圧)をかけた耐圧試験で水漏れが見つかっていた。100%の圧力しかかけない漏洩検査ではキズは発見できない。 ★外観検査ではわからない デービス・ベッセ原発の損傷を受けて、NRCは外観検査=目視検査では損傷を見逃すとして超音波検査などの補足的検査を勧告している。 ★デービス・ベッセ原発では、上ぶたの中心部で損傷が起きている。 美浜2号の検査で41本中27本を選択して検査した理由として、「条件的に厳しい外周部を中心にやった」と答えた。しかし、デービス・ベッセ原発では、中心部で損傷が起きている。の新しい事実に即して、取り替えていない高浜3・4号、大飯3・4号について検査の必要があるのではないのか、に対しては、それらは頂部温度を下げているから、検査の必要性はなしを繰り返すばかり。 ★上ぶたは、何年に1度検査するという決まりなし。 シュラウドの場合は、東電が2年に1回の検査から10年に1回へと検査の間隔を延長していたことが問題になっていた。ところが、原子炉上ぶたは、検査の期間も決められていないという。海外で事故などが起きた時に、「水平展開」として関電が「自主的」にやっているだけ。しかし、デービス・ベッセで損傷がおきても、今回は「水平展開」としての検査はしないという。検査するかしないかは、関電の「自主的判断」まかせということ。 |